仕様書 1. 件名 平成27年度二国間クレジット取得等

仕様書
1.
件名
平成27年度二国間クレジット取得等インフラ整備調査事業(排出量取引等に係る
排出枠の効率的管理に関する調査研究)
2.
事業目的
我が国は、我が国が世界に誇る低炭素技術や製品の普及等を積極的に推進し世界規
模での地球温暖化対策を進めていくため、低炭素技術(省エネ技術、新エネ技術、石
炭火力等)の普及等による温室効果ガスの排出削減を適切に評価し、またクリーン開
発メカニズム(CDM) 1を補完し、地球規模での温室効果ガス排出削減・吸収行動を
促進することにより、国連気候変動枠組条約の究極的な目的の達成に貢献する新たな
仕組みである「二国間クレジット制度」(以下、「JCM」という。)を推進している。
JCMは、日本と署名相手国の企業等によって実施されるプロジェクトによって実
施された温室効果ガス排出削減への貢献を定量的に適切に評価し(1トン/CO2ごと
にシリアル番号を付して数量管理を行う。)、排出削減目標の達成に活用することを目
的としている。したがって、同制度の運用に当たっては、この定量化された排出削減
分(以下、「クレジット」という。
)の発行及び移転等を管理する「クレジット登録簿
(以下、「JCM登録簿 2」という。)」を構築し、適切に運用することが極めて重要と
なる。
本事業は、JCMの適切な運用を図る観点から、京都メカニズムでクレジットの管
理に用いられる国別登録簿システム 3に関する国際的議論及び京都メカニズムのクレジ
ット管理の在り方についての国際的議論の動向を調査・把握するとともに、調査結果
の分析を行い、国別登録簿システムに関する現状の課題を抽出することで、JCM登
録簿の構築に資することを目的とする。
3.
実施内容
国別登録簿システムの国際的議論の動向を調査・把握するため以下(1)及び(2)
の事業を実施する。
なお、日本の国別登録簿システムは経済産業省及び環境省の国別登録簿システム管理
者が管理しており、国別登録簿システムの保守・運用は環境省の委託事業により実施し
1
Clean Development Mechanism。京都議定書第 12 条により規定されている、温室効果ガス排出量の上限が設定されて
いない国(気候変動枠組条約に参加しているが、同条約の附属書Ⅰに記載の無い国)において、排出削減または吸収プロ
ジェクトを実施する活動です。プロジェクトの結果生じた排出削減量(または吸収量)は認証排出削減量(クレジット
[Certified Emission Reduction: CER])として発行される。
2
JCM登録簿システムは現在開発に関する検討段階。
3
Dicision19/CP.7 ANNEX Ⅱ.A.( http://unfccc.int/resource/docs/2005/cmp1/eng/08a02.pdf#page=23)で定義され
る National registry を指す。
ているため、当該委託事業を実施するに当たっては、国別登録簿システムの仕様及び運
用業務について十分に理解した上で、環境省が実施する国別登録簿システムの保守・運
用事業を一体として捉え、下記のステークホルダと緊密に連携し効率よく遂行すること
が必要である 4。下記ステークホルダとの連携にあたって必要な連絡先等は当該業務の落
札者に経済産業省産業技術環境局地球環境連携室担当者(以下、
「委託事業担当者」とい
う。
)より共有する。
✓
経済産業省の国別登録簿システム管理者
✓ 環境省の国別登録簿システム管理者
✓ 環境省との契約に基づき国別登録簿システムの運用・管理業務を行う委託事業者
✓
経済産業省及び環境省との契約に基づき JCM 登録簿システムの開発と運用保守業
務を行う委託事業者
(以下、
「関連業者」という。
)
調査実施に当たって、国別登録簿システムに関する詳細な技術情報等が必要な場合に
は、関連業者の支援を要請することとする。支援要請・提供の方法については、委託事
業担当者を介して本調査受託事業者と関連業者との間で調整し、必要な情報を準備した
うえで業務を進めることとする。
国別登録簿システムの概要に関しては以下の公開資料を参照のこと。
■国別登録簿システムの概要を説明した国連ホームページ
http://unfccc.int/kyoto_protocol/registry_systems/items/2723.php
■国別登録簿システムの機能を定義した京都議定書締約国会合決定
http://unfccc.int/resource/docs/2005/cmp1/eng/08a02.pdf#page=23
■国別登録簿システムの一般的な要件を定めた気候変動枠組条約締約国会合決定
(ページ 45)
http://unfccc.int/resource/docs/cop8/07a03.pdf#page=45
また、JCM登録簿に関する情報については、JCMに関する制度文書等 5及び委託事
業担当者から必要資料を入手のうえ把握することとする。
(1) 国別登録簿システムに関する国際的議論の動向調査
国別登録簿システムの機能強化及び運用改善等に関する国際的議論の動向(国別登録
簿システムの機能等について定めた下記仕様書の改訂に関する議論を含む)を調査・分
4
環境省による平成 26 年度 国別登録簿システム検討調査及び運用・管理委託業務にて国別登録簿システムの保守・運
用を実施。
5 制度文書等については下記ウェブサイトを参照のこと。
経済産業省ウェブサイト(http://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/global.html)
新メカニズム情報プラットフォーム(http://www.mmechanisms.org/)
析するとともに、国際的議論を踏まえた我が国の対応の在り方や課題について整理する。
また、必要に応じ、国際的議論を統括する国連気候変動枠組条約事務局(以下、
「UNF
CCC」
)に対して質問等を行う。詳細な実施方法は以下(イ)~(ハ)の通り。
対象となる仕様書は以下のとおり。委託調査開始にあたり、最新の仕様書の有無につい
ては委託事業担当者へ確認すること。
✓ データ交換標準 機能仕様書
http://unfccc.int/files/meetings/workshops/other_meetings/application/pdf/fnspecs_1
.0.pdf
✓データ交換標準 技術仕様書
http://unfccc.int/files/kyoto_protocol/registry_systems/itl/application/pdf/data_ex
change_standards_for_registry_systems_under_the_kyoto_protocol.pdf
(イ)UNFCCCホームページ、登録簿関係者サイトの定期的な調査
UNFCCCが取りまとめる、国別登録簿システムに係る仕様書で定められている要
求仕様及びその他諸条件の変更の有無、これら仕様・諸条件を運用するに際しての課題
について、UNFCCCホームページや各国の国別登録簿関係者間で利用されている課
題追跡ツール(エクストラネット及びJIRA)の定期的な更新内容の調査を行う。
また、これらサイトの調査にあたっては、不明点を明確にする等、必要に応じてUN
FCCCや各国の国別登録簿システム関係者等への確認等を行う。UNFCCC及び各
国の登録簿システム関係者等への確認等の連絡については、委託事業担当者からの指示
を受けて、若しくは受託者が自主的に行う場合には事前に委託事業担当者へ確認を行っ
てから行うこととする(電話による軽微な確認等を行う場合を除く)
。
なお、調査に当たっては、技術的な記載内容の確認が主となるため、定期的に電話及
びメールを通じた関連業者へのヒアリングや打ち合わせ(必要に応じて年間5~6回程
度)等を実施し、国別登録簿システムの構造及び現在までの仕様書の更新状況、調整経
緯等について十分理解した上で対応すること。また、仕様変更等が確認された場合には、
現行の国別登録簿システムの運用管理業務への影響範囲を調査し、速やかに委託事業担
当者へ報告すること。
なお、エクストラネット及びJIRAは、UNFCCCに登録された国別登録簿システ
ム関係者間の専用サイトであり閲覧にはID及びパスワードが必要となる。当該サイトに
は以下の情報が公開されている。内容を確認する場合は、都度委託事業担当者に相談する
ことする。
① エクストラネット
UNFCCCから各国の国別登録簿システム管理者への連絡事項等を共有するた
めのサイト。会議開催の案内や議題、技術仕様の変更情報などが共有される。年間
15回程度更新。
② JIRA
各国の国別登録簿システムの開発者間での情報共有サイト。各国の国別登録簿シス
テムの不具合や技術情報等が共有される。年間10件程度更新。
(ロ)登録簿システム管理者会合への参加
UNFCCCの主催する国別登録簿システム管理者会合(以下、「RSAフォーラム」
という。
)へ参加し、国別登録簿システムが備えるべき機能や効率的な運用の在り方等に
関して、議論のフォローを行う。
会議出席にあたり事前準備として、電話及びメールを通じた関連業者へのヒアリングや
打ち合わせ(必要に応じて会議前に2回程度)を実施し、論点及び技術的観点から我が国
が留意すべき事項等をまとめ、委託事業担当者へ提出し十分議論する。また、会合終了後
には、結果をまとめた資料を委託事業担当者へ提出すると共に、委託事業担当者へ報告を
行う。
RSAフォーラムについては、開催地に赴いて参加することを想定している。その渡航
概要は以下のとおり。
①
開催地:ドイツ ボン市他
②
渡航回数:最大 2 回
③
1 回あたりの対応日数:4 日程度(移動日含む。)
④
事業者からの対応人数:1~2 名
⑤
使用言語:英語(通訳なし)
また、RSAフォーラムへの出席にあたり、必要に応じて、他国の国別登録簿関係者
へ電話やメール、議場等での打ち合わせによる情報交換を実施する。
(ハ)RSAフォーラム傘下の作業部会への参加
RSAフォーラムの下に設置された作業部会(以下、
「作業部会)という。
)の会合に出
席し、国別登録簿システムが備えるべき機能や効率的な運用の在り方等に関して、議論の
フォローを行う。その際、不明点を明確化させる等の必要に応じて会議での発言や質問等
も行う。
会議参加にあたり事前準備として、電話及びメールを通じた関連業者へのヒアリングや
打ち合わせ(必要に応じて会議前に2回程度)を実施し、論点及び技術的観点から我が国
が留意すべき事項等をまとめ、委託事業担当者へ提出し十分議論する。また、会合終了後
には、結果をまとめた資料を委託事業担当者へ提出すると共に、委託事業担当者へ報告を
行う。
なお、作業部会の概要は以下のとおり。
① 開催場所:経済産業省
② 参加方法:電話会議
③ 一回の対応時間:2 時間程度(事前の打合せ等を含む。
)
④ 実施回数:年 6~8 回
⑤ 対応人数:2 名程度
※電話会議に必要な機器等は、経済産業省より提供する。
当該委託事業期間中に開催可能性のある作業部会は、以下のとおり。
A 登録簿システム第三者評価報告(Independent Assessment Report)作業部会
国別登録簿の第三者評価報告制度について、手続書の見直し、評価基準の変更等を議
論する。
B
セキュリティ(Security)作業部会
国別登録簿システムに対するセキュリティ対策等について議論する。
C
第二約束期間(CP2)作業部会
第二約束期間に移行するに伴い想定される諸々の手続き事項について、各国の国別登
録簿にいかに反映させるか等について議論する。
現時点において想定されていない新たな作業部会が開催された場合には、委託事業担当
者に相談の上、対応すること。
(2) 事業報告書の作成
(1)での実施内容について、
(イ)
(ロ)(ハ)それぞれの調査結果及び考察を踏まえ
事業報告書をまとめる。いずれの報告においても当該委託事業の事業目的に則した整理を
行うことに留意すること。
報告書に含める内容は以下のとおり。
① 国別登録簿システムの定義
国別登録簿全体の構成の定義と現状について整理し、報告する。
② 国別登録簿システムに関する平成27年度の国際交渉の実績
主に(ロ)
(ハ)の調査結果を整理し、報告する。
③ 国別登録簿登録簿システムの課題
調査全体を踏まえ、国別登録簿システムにおける課題を整理し、報告する。
4.
事業期間
委託契約締結日から平成28年3月31日まで。
5.
成果物
・調査報告書電子媒体(CD-R) 1式
調査報告書、委託調査報告書公表用書誌情報(様式1※)、二次利用未承諾リスト(様
式2※)を納入すること。調査報告書は、PDF形式以外にも、機械判読可能な形式
※のファイルも納入すること。なお、様式1及び様式2は Excel 形式とする。
・調査報告書電子媒体(CD-R) 2式(国立国会図書館への納本用)
調査報告書及び様式2(該当がある場合のみ)を一つのPDFファイル(透明テキス
ト付)に統合したものを納入すること。
セキュリティ等の観点から、経済産業省と協議の上、非公開とするべき部分につい
ては、マスキングを実施するなどの適切な処置を講ずること。
調査報告書は、オープンデータ(二次利用可能な状態)として公開されることを前
提とし、経済産業省以外の第三者の知的財産権が関与する内容を報告書に盛り込む場
合は、①事前に当該権利保有者の了承を得、②報告書内に出典を明記し、③当該権利
保有者に二次利用の了承を得ること。二次利用の了承を得ることが困難な場合等は、
二次利用未承諾リスト(様式2※)に当該箇所を記述し、提出すること。
※調査報告書電子媒体の具体的な作成方法の確認及び様式1・様式2のダウンロードは、
下記 URL(経済産業省ウェブサイト)から行うこと。
http://www.meti.go.jp/topic/data/e90622aj.html
※機械判読可能な形式
コンピュータプログラムがデータ構造を識別し、データを処理(加工、編集等)でき
る こ と 。 例 え ば
HTML,txt,csv,xhtml,epub,gml,kml,png
等 の ほ か 、
Word,Excel,Powerpoint 等のデータが該当する(スキャンデータのようなものは該当し
ない)
。
6.
成果物の納入場所
経済産業省地球環境連携室