食流機構 2015 公益財団法人 食品流通構造改善促進機構 http://www.ofsi.or.jp/ 3 月号 No.231 OFSI ORGANIZATION OF FOOD-MARKETING STRUCTURE IMPROVEMENT I N D E X 第 24 回優良経営食料品小売店等表彰について ② 水産加工業における東日本大震災からの復興状況アンケート結果 ⑥ 平成 26 年度生鮮取引電子化セミナーのお知らせ ⑦ インフォメーション ⑧ 巻 頭 言 先日、日本穀物検定協会から2014年産米の食味ランキング が公表された。全国の133銘柄のうち最高評価の特 A は42銘 柄で、13年産より3銘柄多く過去最多とのことである。 同協会によるコメの食味ランキングは昭和46年産米から始め られたという。しかし、当初はまだコメの生産は生産性の高いも の、すなわち収量の多いもの、作りやすいものに重点が置かれ、 食味の良し悪しはあまり問題にならなかったと記憶している。当 時は食管制度のもと政府がすべてのコメを一定価格で買い上げる ことになっており、食味による価格差はなかったからである。そ の後コメ過剰時代を迎え、自主流通米の拡大とともにコメの品質 評価がそれまでの外形上の等級(整粒歩合など)に加えて食味を 重視するようになり、昭和50年代半ばには新潟のコシヒカリと 宮城のササニシキがおいしいコメの代表的銘柄としてもてはやさ れた。この二大銘柄は世間で高く評価され取引価格も高かったた め、両県以外にも多くの地域で栽培されるようになり、その結果、 同じ銘柄でも地域の条件によって食味に大きな差が生ずることが わかってきた。 ササニシキ・コシヒカリの銘柄米としての高い評価は、全国の コメ生産に携わる人々の銘柄米生産への意欲を掻き立て、北海道 から九州まで各地域の農業試験場などで、各地の条件に適合した 食味の良いコメを作るべく、品種改良や栽培技術に真剣に取り組 むようになった。その結果、近年ではかつては食味の評価が低く 政府が買い入れても売れないといわれた地域の産米の中からも特 A の銘柄がでるようになり、これらの地域の産米全体の食味の水 準も他の地域の産米に引けを取らないようになりつつある。 このように食味の良いコメの生産に関係者が努力を傾注し、そ の成果も上がりつつあることは大いに喜ばしいことである。しか し、コメ全体の消費は依然として減退傾向にあり、価格も下がり つつあるのはなぜだろうか? かねてから官民ともにコメの消費拡大に取り組んでいるが、な かなか目に見える成果に結びつかないように見える。食味の良い コメの生産が、多くの消費者にもっとお米を食べたいという気持 につながっているのだろうか。ひょっとして食味重視の米作りが ガラパゴス化してはいないだろうか。 かつてササ・コシ全盛時代に、生産者、流通業者、消費者の皆 さんに本当においしいコメとは何かという議論をしてもらったこ とがある。その時、米小売商の委員が「どんな銘柄米でも米の砥 ぎ方、水加減、火加減がきちんとできなければおいしいご飯にな らない、普通のコメでも扱いが良ければおいしいご飯になる」と 言っていたが、いかに食味が良いコメが増えてもその良さを生か す技術や方法が充分でなければコメの消費拡大につながらないの かもしれない。 公益財団法人 食品流通構造改善促進機構 会 長 馬場 久萬男 第24回 優良経営食料品小売店等表彰 ● ● ● ● ● 入賞店決定 ● ● ● ● ● 食流機構では、農林水産省及び日本経済新聞社、そして日本政策金融公庫にご後援いただき、 「優良経営食料品小売店 等表彰事業」を実施しています。この事業では、経営内容、仕入の工夫、販売促進、店舗管理、コスト削減、情報管理、 人材育成等に焦点をあて、斬新な経営技術と業種の特性を発揮し、地域社会に密着しつつ収益性と成長性の高い経営に より業績を上げている食料品小売店を発掘のうえ、表彰を行っています。 今年度は平成 26 年 11 月 20 日(木)に執り行われた審査委員会において、第 24 回優良経営食料品小売店等表彰 の入賞店が決定し、平成 27 年 2 月 24 日(火)の午後 3 時から法曹会館(東京都千代田区)において、表彰式典及び 祝賀会が開催されました。今回は農林水産大臣賞 2 店、農林水産省食料産業局長賞 4 店、日本経済新聞社社長賞 4 店、 日本政策金融公庫総裁賞 6 店、そして当機構会長賞 12 店及び会長奨励賞 1 店を決定いたしました。 中小の食料品小売業を取り巻く経営環境は、個人所得が伸び悩む中での大型店の進出や低価格路線、さらには後継者 問題など、非常に厳しい状況にあります。他方、消費者ニーズについても低価格志向、安全性や利便性、健康重視など 多様化しており、中小小売店にとっては高度な対応が常に求められています。こうした状況の中で、入賞店は独自の経 営努力によって、小売店としての特性を発揮して優れた経営技術を確立し、地域社会で消費者の支持を得て業績を伸ば している点が今回の評価につながりました。以下に今回の入賞店とその特徴をご紹介いたします。 第24回 優良経営食料品小売店等表彰 入賞店 農林水産大臣賞(2店) 業種 生鮮食品等小売業(食肉) 店舗名 代表者名 株式会社大正亭 特定加工食品小売業(パン) 株式会社ZOPF(ツオップ) 店舗所在地 村松 直観 静岡県藤枝市 伊原 靖友 千葉県松戸市 敬称略 農林水産省食料産業局長賞(4店) 業種 生鮮食品等小売業(食肉) 店舗名 代表者名 黒豚ミート・花園バーク 店舗所在地 笠原 稔精 埼玉県深谷市 特定加工食品小売業(菓子) 株式会社白樺堂 小林 久子 長野県北佐久郡軽井沢町 特定加工食品小売業(菓子) 有限会社レジエール 水田 禮二 大阪府大東市 特定加工食品小売業(豆腐) 株式会社豆の匠 中島豆腐 中島 昇治 岐阜県中津川市 敬称略 日本経済新聞社社長賞(4店) 業種 店舗名 代表者名 店舗所在地 特定加工食品小売業(牛乳) SK乳販株式会社 中島 一成 北海道札幌市豊平区 特定加工食品小売業(パン) 有限会社ビーブルー 大泉 裕一 東京都町田市 特定加工食品小売業(菓子) 天使の林檎 中川 正三郎 埼玉県鶴ヶ島市 特定加工食品小売業(蜂蜜) 有限会社荻原養蜂園 荻原 義三 長野県北佐久郡軽井沢町 敬称略 OFSI 2015 3 月号 No.231 2 日本政策金融公庫総裁賞(6店) 業種 店舗名 代表者名 店舗所在地 生鮮食品等小売業(鮮魚) 株式会社丸み佐藤商店 佐藤 睦 北海道函館市 生鮮食品等小売業(食肉) ミートショップ松井 松井 隆 兵庫県神崎郡福崎町 特定加工食品小売業(牛乳) 森永星ヶ峯ミルクセンター 德山 隆一 鹿児島県鹿児島市 特定加工食品小売業(菓子) 菓子匠 壽康庵 長友 千穂 宮崎県宮崎市 特定加工食品小売業(甘露煮) 株式会社魚甲商店 市川 章人 長野県佐久市 総合食料品小売業 糟谷 勝商 愛知県豊田市 彦平商店 敬称略 (公財)食品流通構造改善促進機構会長賞(12店) 業種 店舗名 代表者名 店舗所在地 生鮮食品等小売業(花き) 有限会社Dandy Lion 内田 秀明 富山県富山市 特定加工食品小売業(パン) プロティア 安田 知彦 山形県山形市 特定加工食品小売業(菓子) 有限会社いとうや 伊藤 雅博 宮城県仙台市 特定加工食品小売業(菓子) 合資会社浜岡屋商店 岡部 登 埼玉県深谷市 特定加工食品小売業(菓子) 株式会社ほていや 小倉 久子 千葉県香取市 特定加工食品小売業(菓子) パティスリーミヤマ 深山 秀樹 千葉県柏市 特定加工食品小売業(菓子) 有限会社バレンタイン 後藤 信夫 富山県高岡市 特定加工食品小売業(菓子) 中井春風堂 中井 輝男 奈良県吉野郡吉野町 特定加工食品小売業(菓子) 有限会社ナルセ 成瀬 武弘 和歌山県岩出市 特定加工食品小売業(菓子) 株式会社 BooFooUooJAPAN 石川 淳子 福岡県久留米市 特定加工食品小売業(漬物) 八福 狩野食品株式会社 狩野 隆俊 宮城県大崎市 特定加工食品小売業(茶) 株式会社荻野園 荻野 真仁 埼玉県大里郡寄居町 敬称略 (公財)食品流通構造改善促進機構会長奨励賞(1店) 業種 特定加工食品小売業(茶) 店舗名 代表者名 お茶の八百香園 三橋 広士 店舗所在地 和歌山県御坊市 敬称略 第24回 優良経営食料品小売店等表彰式 農林水産大臣賞(平成 27 年 2 月 24 日 於:法曹会館) 3 OFSI 2015 3 月号 No.231 ■ ■ ■ 本年度受賞店の特徴 ■ ■ ■ •千葉県松戸市のパン屋さんは、パンは生鮮食品との考え方から 独自の商品と品揃え、個性的な店作り、 対面販売を生かしたサービス 常に300種という圧倒的な品揃えで、かつ手作業を重視しな 優良経営食料品小売店等表彰事業は、各地域において優れた経営を実 践し、繁盛店として存続している食料品小売店を発掘表彰するとともに、 その経営ノウハウを取りまとめ、広く関係者の参考に供して食料品小売 業の振興発展に寄与することを目的として実施しており、本年で24回 目、当機構の前身である社団法人食料品流通改善協会の時代から通算す がら焼き立てのものを切らさないというコンセプトで販売して おり、また店づくりについても、お店の外から中を見せず、扉 を開けた瞬間、お店に溢れるパンという驚きを演出して顧客の 心をつかみ、地域の消費者の支持を得ている。 •静岡県藤枝市の肉屋さんは、仕入は一社取引で、A5ランクの 国産和牛の1頭買いという形で仕入れ、それぞれの部位の特徴 ると38回目に当たる歴史のある表彰事業です。 本年度におきましても、29店舗に上る食料品専門小売店の皆様方に ご応募いただきました。昨年度の40店舗に比べますと、応募店舗数は やや減少いたしましたが、ご応募いただき、かつその経営内容を開陳し を生かしてアイテム数40種類の多くの商品を作って販売して いるが、これは知識と技術がなければできない仕入れ方法で、 多くの顧客から信頼を得ている。また、地元市場や農家からの 野菜の仕入れ販売、原材料の良さを生かした多様な惣菜の販売 ていただきますことに、改めて感謝申し上げる次第であります。 各受賞店の選考につきましては、審査委員会による厳正な審査及び受 賞候補店に対する現地調査(一部省略)により行われました。レベルの 高い、また個性的なお店が多く、各賞の格付けに当たっては、審査委員 間でも意見が分かれる場合もありましたが、厳正な審査を経て各賞の決 定が行われました。受賞の栄誉に輝かれた各店舗の皆様方には、心から など、当店でしか買えない商品を揃えて集客を行っている。 •東京都町田市のパン屋さんは、住宅地の幅広い顧客層のニー ズに応えるため、常に焼き立て、揚げたて作り立てのパンを 100アイテム以上提供するよう心掛けており、またお店の施 設を音楽、照明、店内装飾などについて工夫して、あたかもア ミューズメント施設にいる様な演出をして集客を図っている。 お祝いとお慶びを申し上げます。 さて、食料品専門小売店の経営環境は、なかなか厳しいものがあると 存じます。かつては、町の商店街にある八百屋さん、魚屋さん、肉屋さ んなどで買い物をするのが一般的な風景でありましたが、高度経済成長 の過程の中で量販店やコンビニエンスストアなどの新たな業種・業態の 拡大、モータリゼーションの進展による商業立地の変化、国民のライフ スタイルの変化、更には猛烈なIT化の進展など、私たちの身の回りや 生活はすっかり様変わりをしてしまいました。このような中で、食料品 専門小売店の経営も大きな影響を受けてきたことは、今更申し上げるま •大阪府大東市の洋菓子屋さんは、美味しい良いものを作ること を心掛け、材料費に通常のお店の1. 5倍の経費を掛け、独自性 の高い定番商品の開発に成功しており、また、本支店とも南フ ランスの避暑地にいるような店構え、店内装飾、照明を施し、 訪問客に心底寛いで、楽しんでもらえるよう努めている。 •岐阜県中津川市の豆腐屋さんは、通常の2倍の国産大豆を使用 した濃厚な豆乳を国産の海水にがりで仕上げるというこだわり の「御豆腐(おんどうふ)」を製造販売しており、特に各地のデパー トでの催事販売などで人気を博し、口コミによって全国に販路 でもありません。 特に量販店やコンビニエンスストアの拡大、更に最近ではドラッグス トアやホームセンターでも食料品を扱うなど、業種・業態を超えて競争 が激化しており、これらに抗して生き残りを図っていくことは容易では ないと存じます。消費者の日常必要な食料品は、ほぼ量販店やコンビニ で間に合う状況にある中、食品専門小売店で買物をしていただくために は、相当な努力が必要なのではないでしょうか。今回受賞された各店の 皆様方は、これら量販店やコンビニに対し、独自の創意と工夫によって 量販店等にはない魅力を作り出し、集客を実現しています。そのような を広げており、価格競争に巻き込まれない形の販売戦略を採っ ている。 •埼玉県鶴ヶ島市の洋菓子店は、お客様第一という思想をもって 丁寧で安全、かつオリジナリティーを持った独自のお菓子作り を行って顧客の支持を得る一方、美容院を併設して相乗効果を 得るという独自の取組を行っている。イートインコーナーを設 けている店舗は多いが、このような異業種とのコラボを図って いる例は珍しい。 ご努力に対し深く敬意を表しますとともに、その経営ノウハウが広く同 種の小売店の参考となり、繁盛店として存続していただけるようになれ ば誠に幸いであると存じております。 やはり、町には量販店やコンビニにはない個性ある食料品小売店があ り、量販店等とは異なる商品やサービスが提供されれば、町の潤いや個 性が醸し出され、より地域を豊かにしていくことになるのではないかと 思います。 1.独自の商品の提供や個性的な店作り 既述のとおり、現在ほとんどの食品は、近くのスーパーマーケット やコンビニで間に合う状況になっており、更にネットによって全国の 特産品も取り寄せが可能になっているということにかんがみると、食 品専門小売店で買い物をしてもらうためには、取り扱う商品や店作り、 サービスなどで独自の工夫をしながら差別化を図っていくことが重要 であると思います。今回受賞されたお店の中でも、様々な取組が見ら れました。具体的には、次のとおりです。 OFSI 2015 3 月号 No.231 4 農林水産大臣賞(株式会社大正亭の外観) 書き込まれるなど双方向コミュニケーションを確保している。 2.地域の特産品を育て、観光客などのお土産の 定番とする このほか、他販売店と連携して防犯パトロール隊を結成して、 今回の受賞店の中には、観光地に立地しているなどの利点を生かし 青少年への声掛け、高齢者の安否確認などを実施している。 て地域の食材などを利用して特産品に育てあげ、観光客用の土産品と •宮崎県宮崎市のお菓子屋さんは、地元宮崎の素材を使ったお菓 して安定的な売上げを実現しているお店も多くありました。地域の特 子作りで地域に密着したお店を目指している。製造販売するお 産品として知名度が上がれば確実な売上が見込め、お店の経営安定に 菓子は、和風の外観ながら和洋両方のお菓子を揃え、茶の湯と つながることになります。具体的には次のようなお店がありました。 同様のおもてなしの心で地元の顧客に応対している。 •埼玉県深谷市の精肉店は、100年以上の歴史のある黒豚「バー •愛知県豊田市の総合食料品小売店は、過疎化の進展の著しい地 域の唯一の食料品小売店として、地元顧客のニーズに沿った品 クシャー種」の精肉を取り扱っており、その肉質はきめ細かく 揃えを行うとともに、高齢者のための惣菜の充実を図っている。 歯切れがよく、うまみ成分に富み、風味がまろやかでおいしい と高く評価されている。その良さを知ってもらおうと、サッカー また、買物が困難な地元高齢者等のために週に3回宅配を実施 するとともに、地域の高齢者リストの作成と安否確認、訪問記 チーム「大宮アルディージャ」の試合のある日に、メンチカツ 録の作成など食料品の販売だけでなく、地域の福祉の一翼を担 など肉製品を出張販売して好評を得ており、周辺のゴルフ客や う活動を行っている。 観光客のお土産として、あるいはネットを通じて全国の顧客に 販売されている。 •長野県軽井沢町にあるお菓子屋さんは、避暑地軽井沢という観 4.対面販売を通じた食料品専門小売店ならでは のサービスの提供 光資源を生かし、軽井沢を訪れる観光客のお土産となる定番商 食料品専門小売店と量販店・コンビニの大きな違いの一つは、やは 品の開発に努めている。開発した商品には「軽井沢タルト」「軽 り対面販売を通じたきめ細かなサービスにあるのではないでしょう 井沢ドレッシング」「浅間山火山岩最中」などの地元にちなむ名 か。セルフサービスのお店では、商品の選択は顧客に任されており、 前を付け、観光客のお土産用として高い支持を得ている。 顧客は店内を回遊して必要な商品をかごに入れ、あとはレジで精算す •同じく長野県軽井沢町にある蜂蜜屋さんは、親子2代で養蜂を るだけです。このような買物行動では、その日の一押し食品は何か、 営み、自社で植林を行い、自然採取した安心・安全な新鮮で純 何がお勧めか、などは店内表示がない限りよくわからず、買物パター 度の高い国産蜂蜜を提供しており、観光地軽井沢を背景に軽井 ンは定型的になりがちです。これに対し、対面販売では、その日のお 沢土産品の定番として、ガイドブック、メディア等への露出度 勧め、人気商品などが販売員の説明で良くわかり、買物意欲が喚起さ も高く、蜂蜜、ローヤルゼリー、プロポリスという養蜂関連商 れます。しかし、販売員がしつこいと却ってうるさがられ、買物意欲 品のみで8千万円以上の売上を挙げている。 を阻喪させられます。この辺の呼吸はなかなか難しく、それぞれのお •長野県佐久市にある川魚の甘露煮のお店は、地元千曲川の清流 店で、長年の経験に裏打ちされた独自のノウハウがあるのではないで で育った鯉などの川魚を甘露煮にしており、一尾ずつ丹念に柔 しょうか。このようなノウハウは、なかなか言葉で説明することは難 らかく煮込んでいる。自然の風味を生かすため、合成保存料や しく、この受賞店の概要でも、残念ながらフォローしきれていません。 着色料などは一切使わず、昔ながらのこだわりを持った製品づ しかしながら、販売員の勧め方によって売上が大きく左右されるの くりをしている。観光客だけでなく、楽天市場に出店すること は事実であり、そのような接客のノウハウを蓄積していくことは、極 により全国の顧客を対象に販売している。 めて重要であると思います。ある団体の主催する講演で、JR東日本 3.地域密着型の店作りで地元顧客の支持を得る 今地域密着型の店舗づくりを目指すというのは、地元の顧客を重視 し、比較的狭いエリアで重点的にマーケティングを行うことにより、 効率的に知名度を上げ、リピーターを増やすことができるという意味 で、十分な資本力のない中小小売店にとって重要な経営戦略ではない かと思います。最近では、大手量販店も地域密着をコンセプトとして 掲げて、地元顧客の嗜好に合った商品の開発や品揃え、地場野菜など 地元製品の充実などを図り、集客に努めています。食品専門小売店は、 経営主の考え方ひとつで弾力的な経営が可能であり、地元顧客のニー ズの変化などに敏感に対応できるという利点もあるので、大手量販店 グループ(株)日本レストランエンタプライズの駅弁マイスター三浦 由紀江氏のお話を聞く機会がありましたが、まさに同氏は駅弁販売の プロで、家庭の主婦から44歳で駅弁売りのパートに就き、わずか1 年で駅弁売上を5000万円アップさせるという販売実績を上げまし た。その辺の内容は、同氏の著書に譲りますが、食料品小売店の皆様 にも非常に参考になると思います。これを読んだからと言って、直ち に同氏のような販売実績を上げることは困難だと思いますが、その仕 事への姿勢は学ぶべき点も多いと思います。この受賞店の概要で、販 売サービスのノウハウの紹介が困難であるため、これに代わるものと して、三浦氏の例を紹介させていただきました。 に負けない地域密着型の顧客サービス・店作りができるのではないか と思います。今回の受賞店では、次のような例がありました。 •牛乳販売店は、宅配を通じて地域密着型の店作りを目指すお店 が多いが、北海道札幌市の牛乳販売店は、廃業する販売店を積 極的に受け継ぎ、広範なエリアをカバーして店舗展開をしてお り、きめの細かい宅配サービスや毎月感謝企画を実施し、顧客 への還元サービスを行うとともに、地元の少年野球チームを主 宰し、公認スポンサーになって少年の父兄や祖父母への知名度 のアップを図るなど、拡販に務めている。また、鹿児島市の牛 乳屋さんは、顧客とのコミュニケ―ションを確保するため、毎 月1回「ミルクだより」を発行、管理する自販機にホワイトボー ドを設置してメッセージを書き込み、これに対し顧客の返事が 農林水産大臣賞(株式会社ZOPFの外観) 5 OFSI 2015 3 月号 No.231 水産加工業における東日本大震災からの復興状況アンケート結果 岩手県・宮城県・福島県の水産加工業における東日本大震災からの復興状況を調査するため、平成 26 年2月 28 日~3月 12 日の 13 日間、該当する3県の全国水産加工業協同組合連合会所属組合員(673 企業)に対し、水産 庁と全国水産加工業協同組合連合会によるアンケート調査が実施されました(回収率:34%) 。先般、その調査結 果が公表されましたのでご紹介します。 3.規模(資本金)別の生産能力や売上の回復状況 1.アンケート対象 • 3県の全体では、生産能力が8割以上回復した業者は 41%、売上が8割以上回復した業者は 28% • 生産能力が8割以上回復した業者は、資本金5千万円以 上だと 50%、1千~5千万円で 51%、1千万円以下で 29% • 一方、売上が8割以上回復した業者は、資本金5千万円 以上だと 39%、1千~5千万円で 36%、1千万円以下 で 18% (1)県別 (2)経営規模(資本金) (3)経営者の年齢 (4)売上金額 2.県別の生産能力や売上の回復状況 • 3県の全体では、生産能力が8割以上回復した業者は 41%、売上が8割以上回復した業者は 28% • 生産能力が8割以上回復した業者は、岩手県では 57%、 宮城県 49%、福島県 24% • 一方、売上が8割以上回復した業者は、岩手県では 44%、宮城県 36%、福島県 10% 4.復興における問題点 • 販路確保・風評被害が 31%を占める • 人材不足も大きな問題 OFSI 2015 3 月号 No.231 6 平成26年度生鮮取引電子化セミナー ~ 食料品バリューチェーン構築支援事業に係る成果報告 ~ 主催 締 切 間 近 食流機構が事務局を務める生鮮取引電子化推進協議会では、今年度、農林水産省補助事業「食料品バリューチェーン 構築支援事業(流通過程情報伝達促進事業)」を実施しており、その事業成果を報告するために下記のとおりセミナーを 開催することといたしました。本セミナーでは、生鮮食品取引における流通BMSの導入について分かり易く解説する とともに、水産物(鮮魚)取引に流通BMSを導入した実証事業の成果及び課題をご紹介いたしますので、この機会に 是非多くの皆様のご参加をお待ちしております。 ◆開催日及び会場 開催日 3月12日(木) 会 場 3月20日(金) 【大阪会場】 【東京会場】 大阪市中央卸売市場本場 JJK会館(東京都中央区築地 4-1-14) 業務管理棟 16 階 大ホール 2階AB 【定員:100名】 【定員:100名】 •JR 環状線「野田駅」下車(徒歩約 10 分) •地下鉄千日前線「玉川駅」下車(徒歩約 10 分) •東京メトロ地下鉄日比谷線・都営地下鉄浅草線 交 通 •京阪電車 中之島線「中之島駅」下車(徒歩約 「東銀座駅」6番出口より徒歩3分 •都営地下鉄大江戸線 15 分) •大阪市営バス 野田阪神前行き/鶴町四丁目行き 「築地市場駅」A3出口より徒歩5分 「中央市場前」下車(徒歩約 2 分) ◆プログラム(各会場共通) 時 間 講 演 内 容 14:00 ~ 14:10 主催者挨拶 14:10 ~ 14:50 生鮮食品取引における流通BMS導入について 流通BMS協議会事務局 14:50 ~ 15:00 15:00 ~ 15:50 質疑応答 水産物取引における流通BMS導入実証事業の成果報告 ㈱サイバーリンクス 流通クラウドビジネス事業部 SCM推進部 部長 三浦 明 氏 15:50 ~ 16:00 質疑応答 16:00 閉 会 ※ 講師及び講演内容は都合により変更となる場合がございます。 ◆お申込方法等 申込方法:こちらのウェブサイト(URL:http://www.ofsi.or.jp/kyougikai/seminar/BMS-seminar.htm) から簡単にお申込みいただけます。 参 加 費:無料(事前登録制) 申込締切:2015年3月6日 ( 金 ) ◆後 援 ( 一社 ) 全国中央市場青果卸売協会 ( 一社 ) 全国青果卸売市場協会 全国青果卸売協同組合連合会 ( 一社 ) 全国水産卸協会 全国水産物卸組合連合会 ( 公社 ) 日本食肉市場卸売協会 ( 一社 ) 日本花き卸売市場協会 ( 公財 ) 食品流通構造改善促進機構 ( 一財 ) 流通システム開発センター ◆お問い合わせ先 担当:田中 生鮮取引電子化推進協議会事務局(TEL:03-5809-2867 / FAX:03-5809-2183) 7 OFSI 2015 3 月号 No.231 OFSI OFSI インフォメーション 食品流通構造改善緊急対策事業のご案内 当食流機構では、食品販売業者、食品販売事業協同組合等の方々が情報化への取組、物流効率化への取組等に必要な設備・ 機器をリース方式で導入する場合に対して支援する「食品流通構造改善緊急対策事業(略称:緊急対策事業) 」を実施しています。 平成 21 年 4 月に本緊急対策事業の支援内容が次のように拡充され、 設備・機器の導入者のメリットが高まっています。設備・ 機器の新設や更新をお考えの皆様、ぜひ本事業をご利用ください。 【事業の概要】 ★導入者のメリット★ ○ 事業の目的 設備・機器の導入資金(消費税別)の 2/3 相当額を 5 年間、無利息で支援 食品流通構造改善促進法に規定する食品販売業近代化事業の一環と して、食品販売業の構造改善を緊急に実施することにより、食品流通 リース料の低減『利息の 2/3 相当の値引き!』 ★月額リース料金★ 物件価格+諸経費(固定資産税、保険料)+金利 の合理化と流通機能の高度化を推進する。 ○ 事業の仕組み リース期間の月数 ○ 事業対象者 1. 食流機構は、食品販売事業協同組合等のニーズを踏まえ、食品 販売事業協同組合等と共同して食品販売事業の近代化に必要な 情報機器、物流機器、品質管理設備等の設備・機器を開発し、 (食 流機構が業務委託している)リース会社を通じて取得します。 2. 食流機構は、リース会社が設備・機器を取得する際に要する経 費の一部を負担します。 1. 食品販売業者 2. 食品販売事業協同組合等 (食品販売業者を構成員とする法人) 3. 民法第 34 条に規定する社団法人 ○ 対象設備・機器 情 報・・コンピュ-タ、情報ネットワークシステム、P O S、 3. 食流機構は、取得した設備・機器をリース会社を通じて、リー ス方式又は割賦方式で食品販売業者に引き渡します。 4. 食品販売業者は、導入した設備・機器の取得に要した経費(設備・ E O S システム等 物 流・・冷凍・冷蔵車、電動フォ-クリフト、電動ターレ、 移動販売車等 機器の価格)、諸経費(固定資産税、保険料)及び金利相当額を 多温度帯・・冷凍・冷蔵ショ-ケ-ス、冷凍・冷蔵庫等 リース料としてリース会社に支払います。 省 エ ネ・・各業界固有の省資源型の食品製造・加工設備等 5. リース会社は、②で食流機構が負担した経費を食流機構に返済 します。 廃 棄 物・・廃棄物回収・保管・運搬設備・再資源化設備、 減量化設備・機器等 ○ 支援の内容 ◆対象とならない設備・機器◆ 1. 食流機構は、設備・機器をリース会社が取得する際に必要とな る資金(設備・機器の価格)の3分の2部分について、リース 会社に無利息で5年間貸与します。(残りの3分の1部分はリー ス会社が調達します。) 2. 食品販売業者は、設備・機器の取得に要する資金の借入利息の 3分の2相当額が、リース料の低減という形で支援が受けられ ます。 × × × × × × × × × × × 建物、建築物、撤去費、内装費用、保守料等 店内の照明、空調設備 開発(改良)後、相当の年月を経過しているもの 中古品 店内配送車(カートラック、トレイカート)等 常温ショーケース(陳列棚、棚板、ラック等) マイクロバス等 テーブル(作業台等) その他備品的なもの 消費税等税金類、保険料 指導料、研修会費等 編集後記 第 24 回優良経営食料品小売店等表彰の入賞店が決定し、その表彰 式典と祝賀会が先日開催されました。何れも優れた特色を有する優 良店揃いですので、お近くのお店に是非お立ち寄りください。 在するという事実を厳粛に受け止め、決して風化させてはならない と思います。 ようやく春らしさを身近に感じられるようになってまいりました。 東日本大震災から今月で 4 年が経過しました。被災された当事者以 しかし、それは同時に花粉症の季節でもあります。今年は特に関東 外の方はともすると忘れてしまいがちですが、復興作業は未だ継続 や東北地方で花粉の飛散量が多いそうです。症状は飛散量に比例し 中であり、特に原発事故により当分居住できない地域が我が国に存 て悪化する傾向にあるそうなのでくれぐれもご用心ください。 (T) 編集 OFSI OFSI 食流機構 ◆2015 年 3 月号 / 通巻 231 号 ◆平成 27 年 3 月 1 日発行 公益財団法人 食品流通構造改善促進機構 業務部 □総 務 部 ☎ 03-5809-2175 〒101-0032 東京都千代田区岩本町 3-4-5 第1東ビル 6F FAX 03-5809-2183 □業 務 部 ☎ 03-5809-2176 ☎ 03-5809-2176 e-mail [email protected] γȜθβȜΐ http://www.ofsi.or.jp/ ▼再生紙を使用しています。
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