生物6

リゾチームによる細菌分解反応〜はたして体内できちんと働いているか〜
茨城県立水戸第二高等学校
矢口歩美(2),石塚なつみ(2),塙千広(2)
,浜田健志
1. はじめに
酵素について学習しているとき、その複雑な働きに興味をもった。私たちが扱うのはリゾチー
ムで、細菌を殺す働きがある。文献によると、最適温度は 50℃だが、ヒトに含まれるリゾチーム
は体温である約 37℃で働いている。私たちは、リゾチームが体内でどの程度働いているのか疑問
をもち、酵素活性と温度の関係について詳しく調べることにした。
2. 実験方法
・実験①
㏗ 7.0 の 0.1M リン酸緩衝液に Micrococcus luteus の凍結乾燥粉末を加え、吸光度
が 0.9~1.0 の懸濁液(細菌懸濁液)を作製した。リン酸緩衝液を溶媒とし、0.015μM のリゾ
チーム溶液を作製した。細菌懸濁液 9.675mL とリゾチーム溶液 0.325mL を混ぜ、37℃、47℃、
57℃それぞれについて、波長 660nm のもとで濁度の経時的変化を測定した。
・実験②
リゾチームはヒトでは唾液、涙、鼻水などに含まれている。そこで、実験①のリゾ
チームを唾液に変え、37℃で同様に実験した。※M.luteus は細菌で、リゾチームの基質である。
3. 結果・考察
実験 1
実験 2
・47℃は初速度の値と濁度減少幅が大きかった。57℃は初速度は大きいが、濁度減少幅は小さか
った。これは反応途中で失活したと考えた。37℃は初速度は最も小さく、濁度減少幅は 47℃に
次いで大きかったので時間をかけて細菌を分解すると考えた。以上より 47℃が最適温度に最も
近い温度であったと考えられ、最適温度が 50℃であることをほぼ確認することができた。
・37℃の初速度は 47℃の約 80%であった。また、15 分後の濁度減少幅は 47℃の約 50%であっ
た。体温付近では最適温度付近に比べて 50~80%の活性で働くことが示唆される。
・唾液の場合、濁度がほぼ横這いか上昇した。唾液中のリゾチーム濃度が低く、加えた唾液量で
は十分な効果が得られなかったことが考えられる。あるいは、唾液中のリゾチームが正常に働
かなかった可能性もあるので条件設定を再検討したい。
4. まとめ・今後の課題
・鼻水、涙などでも実験を行う。
・M.luteus 以外での身近な細菌を採取し、同様に実験する。
・加える唾液量を増やして再度実験を行う。
生物6―①
マガイニンの生体マップをつくる
~アフリカツメガエルの生体防御機構の実態~
茗溪学園高等学校
佐久間恵吾(2 年)
担当教員:鈴木朋子
1.目的:アフリカツメガエルのどの場所に一番多くマガイニンが分泌しているかを探る。
2.手順:
①アフリカツメガエルの背側 A~X、腹側 A´~X´の
位置を決め滅菌した綿棒でこすった。
②培地にミクロコッカス・ルテウスを培養し、それに
①の綿棒をのせて恒温槽(30℃)に 3 日間入れた。
③3 日後、シャーレ 1 枚 1 枚を三脚で固定したカメラ
で撮影し、撮った写真を印刷し培地の透明なところ(阻止円)を切り取り、重さを量った。
3.結果
写真の重さは D´が 1 番重かった(0.095g)ので、D´を 100 として全て相対値で表した。
A
7
G
8
M
4
S
32
A´
72
G´
99
M´
7
S´
53
B
25
H
6
N
14
T
0
B´
79
H´
40
N´
37
T´
31
C
14
I
11
O
11
U
32
C´
65
I´
25
O´
23
U´
3
D
1
J
14
P
14
V
21
D´
100
J´
15
P´
44
V´
19
E
21
K
42
Q
13
W
6
E´
5
K´
12
Q´
16
W´
7
F
13
L
37
R
7
X
35
F´
33
L´
0
R´
2
X´
14
4.考察
アフリカツメガエルは、全身の皮膚にお
いてマガイニンを分泌している。しかし、
分泌量は場所によって異なっている。背側、
腹側の阻止円の相対値の平均は、背側 16.2、
腹側 33.4 であり、明らかに腹側の方がマ
ガイニンの分泌量が多かった。特に腹の中
心の A´B´C´D´が多かった。体の中心に大事な器官が集まっていて、また腹側は周り
の石や砂泥などとの接触も多い。最も分泌量の多かった D´は総排出孔に近く、外部から
の細菌などの侵入経路になる可能性が高い場所である。よって常に細菌を殺し、傷がつい
たときにも体の中に細菌が入らないようにしているのだろうと考えられる。これらのこと
からアフリカツメガエルは、細菌などの侵入のリスクが高い場所により多くのマガイニン
を分泌している実態があると考えられる。
(参考文献)京都大学大学院薬学研究科.新しい薬をどう創るか.BLUE BACKS,2007.
生物6-②
ハーブを用いた抗菌スプレーの作成
茨城県立日立第一高等学校
滑川
はじめに:
裕那(2年)
安齋
正人
ハーブと呼ばれている植物にはさまざまな効果・効能があることが知られている。
最近,ハーブの抽出液を使った人体に安全な抗菌スプレーの存在を知った。そこで,その抗菌効
果に注目し,抗菌効果の強いハーブの抽出液を使えば,より効果が高い抗菌スプレーを作ること
ができると仮定し研究することにした。
目的:
抗菌効果の強いハーブの抽出液を使った効果の高い抗菌スプレーを作成するため,ハ
ーブの抗菌効果を調べる。
実験方法:
強い抗菌効果があるとされる,コモンセージ(Selvia officinalis),シルバータ
イ ム ( Thymus spp. ), レ モ ン グ ラ ス ( Cymbopogon citrates ), ロ ー ズ マ リ ー ( Rsmarinus
officinalis)を実験材料とする。
←左からコモンセージ,シルバータイム,レ
モングラス,ローズマリー
<実験1>実験に使うハーブに抗菌効果が本当にあるかどうかを調べため,寒天培地に大腸菌
懸濁液(LB 液体培地と大腸菌)を展開し,そこにすり潰した実験材料サンプルと,対照実験とし
て石,消しゴムそれぞれ 0.5gをのせて,37℃のインキュベーターで 20 時間培養する。<実験
2>寒天培地を LB 寒天培地にかえて,37℃のインキュベーターで 20 時間培養する。<実験3
>コロニーのできる過程を見るため,36℃にセットしたヒーターの上に LB 寒天培地を置き,カ
メラで 10 分おきに撮影する。<実験4>市販の精油を用いて,37℃のインキュベーターで 20
時間培養する。また,インキュベーター内で実験3と同様に写真で撮影する。
結果・考察:
<実験 1>全ての寒天培地にコロニーがひとつも見られなかった。栄養源を含ま
ない寒天培地だと,大腸菌は増殖できないと考えられる。<実験2>全てのサンプルの周りにコ
ロニーが見られた。栄養源が豊富な条件下では,ハーブの抗菌効果より大腸菌の繁殖する力が勝
っているのか,または,ハーブに抗菌効果がないのか,どちらも考えられる。<実験3>ヒータ
ーで下から温めたため,シャーレの蓋に結露し詳しく観察できなかった。また,実験1~3です
り潰したハーブは,熱で乾燥してしまった。<実験4>タイムの培地には全くコロニーが見られ
ず,セージ,レモングラス,ローズマリーの培地には,サンプルの周りにコロニーが見られなか
った。また,コロニーはサンプルから遠いところほど形成されていたのが観察できた。
まとめ:
実験1~3では,ハーブが乾燥してしまったためか,有用なデータを得られなかっ
た。実験4では,精油を用いたことでサンプルの乾燥を防ぐことができ,セージ,タイム,レ
モングラス,ローズマリーに抗菌効果がみられた。
今後の課題:
抗菌効果のある成分の抽出方法などをさらに検討し,最終的に,人体に安全で
より効果の高い抗菌スプレーを作成したい。
生物6-③
食品の揮発性物質によるカビの抑制
茨城県立水戸第二高等学校
鈴木葵(2 年)仙波望美(2 年)高砂知沙(2 年)浜田健志
1.はじめに
私たちはお弁当に入っている抗菌シートにワサビの成分が入っていることを知り、食品の抗菌効
果について興味を持った。そして、お弁当シートは食品に直接触れているため殺菌効果を発揮す
るとされるが、食品に触れないとどうなのか疑問に思い、この研究を始めた。
2.実験目的
一般に抗菌効果があるといわれている食品はカビに対する抑制効果があるのか、特に揮発性物質
について調べようと思いこの研究を始めた。
3.実験方法
実験に使用するカビは、餅と白米から採取した 3 種類(Fusarium, Penicillium, Arthrinium)で
ある。はちみつは 2g 測り、はちみつ以外の食品は刻んで乳鉢ですりつぶし、シャーレのふたの内
側に置いた。培地に上記にうちの1種類のカビを塗抹し、ふたをして逆さに置き、25 度で培養し、
2 日後に結果を観察した。実験はそれぞれ各カビについて5回行った。
4.結果・考察
下表の数値はカビの相対面積が対照実験より下回った実験回数を示す。対照実験でのカビの面積
を 1.0 としたときの相対面積が5回の実験中4回以上 1.0 を下回る場合は効果あり(下表○)と
した。
ミント
シソ
ショウガ
はちみ
つ
レモン
梅干し
ニンニ
トウガラ
ク
シ
フザリウム
3 ×
4 ○
5 ○
4 ○
4 ○
5 ○
5 ○
0 ×
ペニシリウム
4 ○
5 ○
4 ○
5 ○
2 ×
5 ○
5 ○
0 ×
3 ×
5 ○
1 ×
4 ○
1 ×
5 ○
5 ○
0 ×
アースリニウ
ム
トウガラシ以外の食品にはカビに対する一定の抑制効果が認められた。シソ・はちみつ・梅干し・
ニンニクはすべてのカビに抑制効果を示し、特に梅干しとニンニクは高い再現性を示した。ショ
ウガは2種類、ミントとレモンは1種類のカビに対して効果を示した。揮発性物質でカビの増殖
を抑制できることから、有効成分を抽出してさらに研究を進めていきたいと考えている。
5.今後の課題
・揮発成分を抽出して有効成分を分離し、効果を検証する。
・研究を重ね、信憑性を高める。
生物6―④
納豆菌が口内環境に与える影響について
文京学院大学女子高等学校
竹村美帆香(2年),宮下真侑(2年).
..岩川暢澄
背景
私たちは細菌に興味を持ち、調べたところ納豆菌の強さについて知った。また、食中毒の原因で
ある病原性大腸菌 O-157 を殺菌したデータにはとても驚いた。納豆菌が他の菌を殺菌できること、
納豆菌からできる納豆は食べ物だということから、それを摂取した場合、細菌をたくさん持つ人
間にどのような影響があるのかを知りたいと思った。そして一般的に口臭の原因は口内細菌であ
ると知られているので、そこに着目した。
目的
納豆を食べることで納豆菌が人間の口内の細菌に及ぼす影響について口臭に着目して調べる。
方法
① 納豆を食べる前、食べた後の口臭を 10 分おき 50 分間の変化を計測する。
② 50 分後の口内を水でゆすぎ細菌を採取し培養する。
③ 培養した菌に NaOHaq(pH13)を添加し納豆菌以外の菌を取り除く。
④ 1 日放置した後、納豆菌が残っているか観察する。
結果
納豆を食べると次第に口臭が減っていった。
NaOHaq を添加した後、納豆菌の存在を確認できた。。
考察
口臭が減ったこと、NaOH を添加した後菌が残っていたことから納豆菌が口臭の原因となる口内
細菌を減らしたのではないかと考えられる。
結論
納豆菌は口内細菌を減らすことがわかった。
これは納豆菌が直接口内細菌に作用しただけではなく、納豆のねばねば成分であるポリグルタミ
ン酸が唾液の分泌を促進し間接系に口臭を減らしたとも考えられる。
生物6-⑤
抗菌効果を探る
~大腸菌に対するマヌカハニーの温度効果及び希釈効果~
茨城県立緑岡高等学校
池田和香奈(2),岩田結里子(2)
,川﨑裕生(2),田中大夢(2),綿引大介(2),筑内雅明
1 はじめに
マヌカハニーには他のハチミツにはない抗菌成分のメチルグリオキサールが含まれている。
私達はそのはたらきに着目して,マヌカハニーが最も良く抗菌効果を示す方法を探り,日常生
活に役立つ製品を作製する。
2 試料および培地,サンプル
試料:大腸菌(NBRC-3301)
培地:LB 培地
サンプル:ニュージーランド産マヌカハニー(UMF18+または MGO800+)
3 実験方法
・実験1:温度効果(マヌカハニーはUMF18+を使用)
(1)マイクロピペットで大腸菌懸濁液(LB800μL と大腸菌)を 200μL ずつ滴下し,スプレ
ッダーで大腸菌懸濁液を培地全体に展開する。
(2)マヌカハニーの温度は,実験室で再現可能な-20℃から 120℃まで 20℃間隔とする。
(3)各温度のマヌカハニーに浸した濾紙をプレートの中央に置き、37℃で一晩培養する。
・実験2:希釈効果(マヌカハニーはMGO800+を使用)
(1)マヌカハニーをLBで希釈する。(2,10,20,40,80,100倍希釈)
(2)ペーパーディスクに各濃度のマヌカハニーを滴下したものを,大腸菌を広げたプレートに
置き,37℃で一晩培養する。
実験1:温度効果
4 結果・考察
高温になるにつれて効果が小さくなる。
低温では効果に差がみられない。
→過酸化水素の影響が考えられる。
・40℃を最適温度とする。
実験2:希釈効果
どの希釈でも効果が現れない。
→マヌカハニーは原液のまま使用した方がよい。
その反面,大腸菌の量が多いことや,培地まで
サンプルが浸透していないことが可能性とし
て挙げられるため,追加実験の必要がある。
図1:温度実験 結果
5 今後の課題
・実験1と実験2で使用したマヌカハニーのメチルグリオキサールの含有量が異なるため,含
有量を揃えて追加実験を行う。
・マヌカハニーの特性を利用してハンドソープやうがい薬を作製する。
生物6-⑥
米粉パン~米粉の発酵条件に関する研究~
文京学院大学女子高等学校
発表者 1 猪股彩瑛(高校 2 年生),発表者 2 松本美希(高校 2 年生) 担当教員名 草薙美生 大杉美貴
「背景」
小麦アレルギーの原因は小麦に含まれているグルテンであり、日本だけではなく全世界の人が
悩んでいるアレルギーである。本校ではタイとの交流がありタイ特有の素材を用いた研究をし
ている。米粉パンはタイにおいて新しいグルテンフリー食品として普及する可能性がある。
日本では、小麦アレルギーの人でも食べられる日本米で作ったグルテンフリーの米粉パンがあ
るが、タイではタイ米を原料とした米粉パンは製造されていない。
「目的」
日本米(コシヒカリ)・タイ米(インディカ米)で発酵しやすい温度条件を決定する。
「方法」
コシヒカリとインディカ米の酵母液の入ったキューネ発酵管を 30℃・40℃・50℃に保ち、5分
毎に二酸化炭素発生量を計測した。
「結果」
コシヒカリ・インディカ米において大きな差異は見られなかった。
「考察」
コシヒカリ、インディカ米について、それぞれの温度での二酸化炭素発生量に大きな違いは見
られなかった。40℃と 50℃で大きな差異は見られなかったが、30℃では明らかに二酸化炭素発
生量が少なかった。これらのことより、一般的に酵母菌の発酵における最適温度と言われてい
る 40℃付近が米粉においても最適な温度であると言える。
「結論」
日本米とタイ米の発酵における最適温度を発見することができた。
「今後の展望」
今後は米粉のアミロース・アミロペクチン含有量を計測し、結果につなげたいと思う。
また、小麦グルテンにかわる増粘物質を発見する。
生物6-⑦