「文化ってなに?」第51号

佐世保出身のフルート奏者
若松純子さんが母校でコンサート
アルカス SASEBO の「アウトリーチ事業」では、
ホールを出て地域の皆様や子どもたちに文化芸術
に触れる機会をお届けしています。
今 回 は「ランチタイムコン サ ー ト Ⅶ ∼ 佐 世 保 出 身
の演奏家を迎えて∼」
( 1月3 0日 開 催 )に 出 演 し た フ
ル ー ト の 若松 純子さん 、ピ アノの 藤田 雅さんが、前日
の1月29日
(木)に佐 世 保 北 中 学 校 を 訪 問 し ま し た 。
参加した生徒は、演奏とともに若松さんの佐世
保北高校の思い出についてのお話しに興味深く耳
を傾けていました。
過去に光を当てることによって、
未来への展望をひらく
第34回佐世保文学特別賞
佐世保地域における文芸の振興、発展に寄
与するため、佐世保文化協会が毎年「佐世保
文学賞」として顕彰されています。今年度の
特別賞に、中島眞澄さんの『佐世保初代市長
渡邊修に関する調査報告』と久村貞男さんの
『三 川 内 窯 業 史』が 選 ば れ ま し た。佐 世 保 の
歴史を研究されたもので、お二人の学術的な
知見を存分に盛り込んだものとなっていま
す。歴史を掘り起こし「過去に光を当てるこ
とによって、未来への展望をひらく」ことが
できる内容が、今回の授賞理由でした。
シリーズ「佐世保市の文化財」No.12
(国指定重要文化財)
『黒島天主堂』
佐世保市の西方約12 kmの海上にある黒島は、
人口の 8 割以上が
カトリックという信仰の島として知られています。
島に住むカトリック
信徒のほとんどは、
江戸時代後期に迫害を逃れて移住してきた潜伏キ
リシタンの末裔です。
彼らのシンボルであり、誇りでもある黒島天主堂は、1897年 ( 明治
30 ) にフランス人のマルマン神父により建設が始められました。
島の信徒たちも全員が建設に参加し、
1902 年 ( 明治 35 ) に完成し
ました。
天主堂はロマネスク様式を基調とする外観で、間口 16m、奥行き
35 mの規模があります。建築に使われた 4 0万個もの煉瓦は、ひと
つひとつ信徒たちの手で積み上げられました。基礎には黒島御
影石を、
祭壇床には有田焼のタイルを用いるなど地方色も見せて
います。
内部にはリブ・ヴォールト形式 ( こうもり天井 ) の天井が張られ、
10 体の聖人像や脇祭壇、説教壇が置かれています。さらにステン
ドグラスをはめ込んだ窓を取り付けるなど、その内装は日本屈
指の美しさを誇ります。黒島のような小さな島でこのような立派
な天主堂を建てるということは、それ自体が奇跡といえるでしょ
う。その奇跡を成し遂げてしまうほど、信仰の復活と自由に対す
る喜びは大きなものだったのです。
2007 年 ( 平成 19 ) 、我が国におけるキリスト教の歴史の中で、島
しょ部に逃れて信仰を継続した代表的な例として、「長崎の教会
群とキリスト教関連遺産」の構成資産に選ばれ世界文化遺産の
暫定一覧入りを果たしました。「黒島の宝」が「世界の宝」とな
る日も、そう遠くないかもしれません。
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文化ってなに? vol.51
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