企業を強くする 3 つのソリューション - 富士フイルムグローバルグラフィック

page2015 FFGS セミナーレポート[3]
企業を強くする 3 つのソリューション
~営業を強くする、生産を強くする、財務を強くする~
富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ株式会社
平成 27 年 3 月 10 日
2 月 4 日から 6 日にかけて開催された『page2015』において、富士フイルムグローバルグラフィッ
クシステムズ(社長:渥美守弘、以下 FFGS)は、展示会場でのソリューション紹介に加え、「省資
源」「Web to Print」「ワークフロー」に関するソリューションをより深く掘り下げて解説する FFGS セミ
ナーを実施した。
本稿では、2 月 6 日開催の「企業を強くする 3 つのソリューション ~営業を強くする、生産を強く
する、財務を強くする~」の概要を紹介する。
----富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ株式会社
ワークフロー事業部 販売戦略部 部長代理 前田正樹
印刷市場を取り巻く環境は、印刷物出荷高の減少、原材料費や電力コストの上昇、紙媒
体からデジタルメディアへの移行、マスからパーソナルというマーケティング手法の変化、
環境問題への対応など、引き続き厳しい状況にある。こうした市場環境において印刷会社
が強くなるためには、
「製造業」
「ソリューションプロバイダー」という 2 つのポジション
を再確認する必要がある。
本セミナーでは、これら 2 つのポジションを踏まえ、企業の体質強化を実現するソリュ
ーションを、製造基盤強化・営業強化・顧客価値提供の 3 つの観点から紹介する。併せて、
これらのソリューションの核となる『XMF V6.1』で採用した、アドビシステムズ社の最新
技術である「Adobe PDF Print Engine 3」
(APPE3)および「Mercury RIP アーキテクチ
ャ」の特長についても解説する。
●製造基盤強化ソリューション
印刷会社が製造基盤を強化するためには、
「固定費・変動費の削減」
「生産効率向上」
「経
営の見える化」といった取り組みが求められる。こうした取り組みにおいては、生産フロ
ーの中枢にあるワークフローシステムが大きな役割を果たす。
『FUJIFILM WORKFLOW XMF』
(以下 XMF)は、RIP 数(ワークステーションの数)
を削減する「ダウンサイジング」を通じて、維持管理費やバージョンアップ費などの固定
費の削減を実現する。これは、演算処理効率を大幅に高める Adobe 社の新技術「Mercury
RIP アーキテクチャ」をベースにした『XMF V6.1』により可能となった。また、標準搭載
のインキ削減機能や CMS・リモートプルーフ・ソフトプルーフを活用することで、変動費
の削減も図ることができる。
XMF はまた、生産効率向上にも大きく貢献する。Mercury RIP アーキテクチャによる
CPU の稼働率向上に加えて、
「JOB テンプレートを活用した工程の自動化」
「サーバ/クラ
イアント機能を活用した複数人による作業分担」などが実現するためである。
「経営の見える化」は、FFGS が現在最も力を入れている分野であるが、これは、XMF
と MIS の連携強化を進めることで実現する。仕事の処理にかかった時間や材料使用量とい
った生産情報を、XMF から MIS にフィードバックすることで、ジョブごとの利益を把握
できる。
ここで、MIS と Web ポータルシステム『XMF Remote』を組み合わせて活用している海
外の印刷会社の事例を紹介する。この会社では、仕事を受注後、MIS にジョブを登録した
段階で、ジョブパラメータがセットされた作業フォルダが自動的に生成される仕組みを構
築・運用している。作業フォルダは『XMF Remote』上で公開しており、クライアントは
そのフォルダに PDF をアップロード、あるいはオンライン校正・検版・承認を行なう。ク
ライアントが承認すると、XMF でジョブパラメータがすでにセットされているので、その
まま CTP 出力や POD 出力が可能な状態となっている。
直前まで印刷機が決まっていない、あるいは直前で印刷機が変更になるといった場合に
は、XMF のストリーム切替えが役立つ。この機能により、印刷機に合ったプレートや面付
けパターンが自動的に選択される。
XMF は、生産設備の中核、センターRIP システムとして、製造基盤強化のためのソリュ
ーションを提供する。
●営業強化ソリューション
Web ポータルシステム『XMF Remote』は、インターネット環境さえあれば、どこでも
誰でもデータ入稿・校正・検版・承認などの作業が行なえるシステムで、印刷会社の売上
拡大に貢献する。
国内のある印刷会社では、XMF Remote・ノート PC・iPhone を組み合わせたモバイル
営業を実践している。営業が校正紙とノート PC、iPhone を持って顧客を訪問。修正があ
る場合にはその場で XMF Remote から現場に指示を出す。承認が下りた場合には、画面上
の校了ボタンを押すことで、即座に下版することができる。
また、XMF Remote の「JOB テンプレートを活用した印刷ジョブ発行機能」により、営
業はジョブの進行に必要な作業を外出先から行なうことができる。これは、トータルのジ
ョブ処理時間を短縮し、営業と顧客との接点の増加をもたらすほか、プリプレスオペレー
タの負荷の大幅な低減にもつながる。
XMF Remote では、ジョブの進捗管理も、外出先からノート PC や iPad で行なえる。ま
た、Web to Print システム『iAutolay Magic』の在庫管理機能を併せて活用することで、
印刷物の在庫状況を顧客に伝えて発注を促進するという提案も可能となる。
●顧客価値提供ソリューション
ここでは、
「Working Place の提供」
「発注者への簡便な発注方法の提供」
「マーケティン
グスタイルの変革の提供」という 3 つの顧客価値提供の例を紹介する。
Working Place 提供型は、XMF Remote 上、すなわちインターネット上に、顧客が仕事
をするための場所を解放・提供するソリューションである。印刷会社が XMF Remote 上に
ジョブを登録しておくと、顧客側の編集担当者、デザイナー、校了責任者は、どこにいて
も、インターネット上で効率的に作業を進めることができる。事業担当者・編集担当者が
最終的に承認・校了ボタンを押すと、ファイルは XMF 内に RIP 済みデータとして保存さ
れる。
2 番目の「発注者への簡便な発注方法の提供」を実現するのは、Web to Print システム
『iAutolay Magic』である。このシステムを使えば、DTP の知識を持たない顧客でも、イ
ンターネットブラウザ上で簡単に画像の差し替えや文字の変更、印刷物の発注が行なえる。
そのため、地域ごと・店舗ごとにカスタマイズした印刷物も、必要なタイミングで素早く
作成・発注できる。また、顧客が使いやすいようアレンジした専用ポータルサイトを提供
することもできる。
そして 3 番目は、マーケティングスタイルの変革の提供。昨今、企業のマーケティング
においては、パーソナルコミュニケーションのための印刷物のニーズが高まっている。こ
うした中で印刷会社は、XMF と POD を連携させることにより、顧客企業のマーケティン
グスタイルの変革に貢献することができる。ここでは、Web 連携・バリアブル印刷・超短
納期印刷・カスタマイズ印刷など、デジタル印刷の多様な活用により、従来とは違う次元
の付加価値や生産性を実現することがキーとなる。
●Adobe 社の最新演算技術:APPE3・Mercury RIP アーキテクチャ
ここまで紹介した 3 つのソリューションを実現するためには、Adobe 社が 2013 年に発表
した最新技術 APPE3、そして APPE3 に採用されている新しいスケーラビリティフレーム
ワークである Mercury テクノロジーが不可欠である。
Mercury RIP アーキテクチャは、バリアブル印刷のような大量のデジタルプロダクショ
ン印刷におけるスピード要求を満たすために開発した技術である。生産効率化の最大のキ
ーポイントは、複数ページの並列処理を可能にした点である。
Adobe 社のシニアプロジェクトマネージャー、Mark Lewiecki 氏によれば、Mercury RIP
アーキテクチャは、プリントエンジンの複数のインスタンスを同時に管理実行するフレー
ムワークである。これにより、デジタルプレスでグラフィックリッチなバリアブルコンテ
ンツを印刷することが可能になった(バリアブル印刷用に最適化された PDF/VT のサポー
トも含まれる)
。
パーソナライズされたバリアブル印刷のコンテンツは、それを受け取る消費者にとって
は、より興味のある関連性の高いものであるため、発信する企業にとっては高い反応率や
売上の増加につながる。また、商品カタログなどは、消費者の関心に合致した内容になっ
ていれば、現在ほど分厚いものである必要はない。内容を絞り込み、ボリュームを減らす
ことで、印刷や郵送の費用削減も実現する。
このように、Mercury RIP アーキテクチャは、売上の増加やコストの削減によって、バ
リアブル印刷の投資利益率を高めることができる。これは、企業のマーケティング担当役
員(CMO)にとって非常に重要なメリットである。
●XMF の今後
FFGS では、デジタル印刷の市場は今後さらに伸びると考えており、ワークフローを通じ
てこの分野の取り組みを支援していく方針である。たとえば、POD の FA(ファクトリー
オートメーション)化によりミス・ロスをなくすことで、小ロットジョブの生産効率化を
実現する。
また、Web 入稿もさらに増加することが見込まれるため、その対応強化も進める。Web
入稿を JOB テンプレートと組み合わせることで、
「入稿されたら印刷まで自動で一貫処理
できる仕組み」を構築することができる。これを遠隔地のリモート印刷と組み合わせると、
配送費用削減や納期短縮につなげることができる。
さらに、複数台のデジタルプレスの負荷バランスの最適化、オンデマンドパッケージ分
野への対応強化にも取り組む。とくに、オンデマンドパッケージは企業の販促効果を高め
る重要なファクターであることから、『PHOENIX』というパッケージ向け印刷用レイアウ
トソフトウェアのリリースも準備している。
「経営の見える化」は、非常に大きなテーマであると FFGS は捉えている。印刷会社が
強くなるためには、生産効率向上や自動化が本当に利益につながっているかをウォッチす
る必要がある。XMF と MIS の連携をより強化することで、ジョブコスト・材料コスト・
時間コストなどを正確に把握できるようにする。
また、仕組みづくりや自動化に加えて、高い印刷品質を保持することも重要である。FFGS
では、印刷品質維持の重要な要素であるカラーマネージメントのより簡便な管理・運用を
実 現 す る た め に 、 ク ラ ウ ド ベ ー ス の カ ラ ー マ ネ ー ジ メ ン ト ソ リ ュ ー シ ョ ン 『 XMF
ColorPath』を近日リリースする計画である。
FFGS は今後、
「POD とのさらなる連携」
「経営の見える化」
「クラウドベースのカラーマ
ネージメントソリューション」を強化することで、XMF をさらに“パワフルなセンターRIP”
へと進化させていく。