学生のみなさんへ

学生のみなさんへ
健全な科学の発展のための
研究活動における不正行為の防止について
2015年4月
1
はじめに
北海道大学における科学者の行動規範
科学と科学研究は人類社会の平和と安全および公
正で豊かな未来のためにあり、科学技術の発展と科学
者の主体的な判断に基づく研究活動は、社会からの信
頼と負託を前提としてはじめて社会的認知を得ることが
できる。それゆえ、科学者は研究活動においてその透
明性を維持し、社会に対する説明責任を果たすとともに、
厳しく高い倫理観を要求されていることを常に自覚しな
ければならない。
※ 学生の皆さんは、これから実験・研究を実施するにあたり、
この資料の内容に十分留意してください。
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研究活動における不正行為とは
不正行為とは、研究者倫理に背馳し、その本質ない
し本来の趣旨を歪め、科学コミュニティの正常な科学的
コミュニケーションを妨げる行為に他なりません。
具体的には、得られたデータや結果の捏造、改ざん
及び他者の研究成果等の盗用に加え、同じ研究成果
の二重発表、論文著作者が適正に公表されない不適切
なオーサーシップなどが不正行為の代表例です。
なお、科学的に適切な方法により正当に得られた研
究成果が結果的に誤りであったとしても、それは不正行
為に当たりません。
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<ケース1:捏造>
捏造とは、存在しないデータ、研究成果等を作成す
ること。
科学者
この世界的に注目のある
分野で,いち早く成果を発
表して注目されたい。
そうすれば,地位も名声も
多額の研究費も期待できる
が確保できるかも・・・
実際には実験していないけ
ど,この架空のデータや,
別の論文の画像を流用し
てしまおう
科学者
4
<ケース2:改ざん>
改ざんとは、研究資料・機器・過程を変更する操作を
行い、データ、研究活動によって得られた結果等を真正
でないものに加工すること。
この世界的に注目のある
分野で,いち早く成果を発
表したいけど,思った実験
結果が得られないな・・・
困ったな・・・
科学者
画像を加工して,想定して
いるデータが得られたこと
にしよう
科学者
5
<ケース3:盗用>
盗用とは、他の研究者のアイデア、分析・解析方法、
データ、研究結果、論文又は用語を当該研究者の了解
又は適切な表示なく流用すること。(いわゆる「コピペ」もこれに
該当します。また、二重投稿は、適切な引用がされていない場合、自己盗用
とみなされることがあります。)
科学者
キャリアアップのためには論
文の本数が足りていない。
困ったな・・・
このままだと,希望のポスト
に就けないな・・・
どうしよう・・・
手っ取り早く,いろんな論文
を参考に,加筆修正して自
分の業績として発表しよう
科学者
6
不正行為に対する現状
博士論文は、北海道大学学位規程第15条において、「イ
ンターネットの利用により公表しなければならない。」と、され
ております。
いったん、世の中に公表されますと、中にはコンピュー
ターなどを使って、様々な形で評価する人もいます。
これは、近年、学生が論文などを作成する際に、インター
ネットなどからの盗用が社会問題となっているという背景も
あるからです。
指導教員も、不正行為を防止するため、不正行為を判定
するソフトなどにより論文等をチェックすることがあります。
◆事例
OO大学医学部の学生が発表した論文について、論文中のデータが捏造、改ざんの疑惑があるとの告
発があった。大学による調査の結果、論文中のデータについては捏造と改ざんがあると認定し、指導教員
を含め懲戒処分とした。
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不正行為を行った場合のペナルティ
不正行為を行った場合、停学または退学処分となる
ことがあります。この場合、卒業期間が延期するのみで
はなく,延期分の授業料の納付や,奨学金の停止・廃
止されることもあります。
また、指導教員も管理監督責任が問われ、服務上の
処分が科せられることになります。
※
出所を明記せずに引用したり,ウェブや書籍,論文から
「コピー&ペースト」してレポートを作成する行為は,明ら
かな著作権法違反であり,刑事罰の対象となります。