「合板耐力壁マニュアル」 を見てね 構造用合板による耐震補強 屋根の場合は、形状が様々であるので、場合 屋根構面から耐力壁への力の伝達である。た に応じた工夫が必要である。切妻屋根でたる木 る木方式では、桁側ではたる木を桁に留め付け 方式の場合は、軒先に鼻隠しを設け、これに合板 ているあおり止め金物が水平力を伝達してくれ 7.1 特徴と注意点 を釘打ちしてフランジの役目を負わせると強くな るが、水平力が大きい場合は、それだけでは不 既存建物の耐震補強では、構造用合板を利 ④真壁造りでは補強が容易である。 る。ただし、鼻隠しに継手を設ける場合は、存在 十分な場合もある。妻側ではさらに工夫を要す 用するのが効果的である。 ⑤大壁造りや、既に筋かいが入っている場合で 応力に対して継手を設計する必要がある。 る場合が多い。 ①構造用合板は、全国で入手可能でかつ安価 登りばり方式の場合、 「川の字釘打ち」、 「川 また、セットバックや下屋の部分などでは、屋 の字+桁・棟木に釘打ち」、 「四周釘打ち」の釘 根構面と耐力壁との接合が重要である。耐力壁 ②施工が容易で、確実な補強ができる。 打ち方法があり、この順に耐力が高くなるが、 の外側にたる木を沿わせ、あるいは耐力壁に奥 ③多くの種類があり、必要な仕様と強度に応じ 桁を設けてたる木を掛け、たる木や奥桁から耐 場合は、野地合板が桁・棟木に釘打ちできるよ 力壁へ釘を打つ等によって、野地合板から耐力 うに登りばりの仕口を工夫する必要がある。 壁合板への水平力の伝達を図ることが肝要であ 屋根の施工でもう一つの重要なポイントは、 る。 (P. 5 5 図 6 4 参照) あっても、構造用合板を張ることにより、さら に強くすることが可能である。 である。 ⑥改修補強した壁の外周部などでは、基礎と柱 を金物により固定することが耐震性を確実に 高める上で重要である。 た選択ができる。 梁 (桁) 200以下 「川の字+桁・棟木に釘打ち」、 「四周釘打ち」の 7 7.2 耐震補強壁 耐震補強に使用できる構造用合板張り壁に は次の3 種類がある。 ①(一財)日本建築防災協会による耐震補強壁 天井 間柱 合板上端 胴つなぎ 柱 ②国土交通大臣認定の耐力壁 構造用合板 (厚12) ③(一財)日本建築防災協会の評価を受けた耐 震補強壁一例を図 5 0に示す。詳しくは「合板 合板下端 CN65@100以下 耐力壁マニュアル」を参照ください。 床 150以下 6 6.4 合板張り屋根構面の施工方法 土台 上下開口付き両側柱大壁仕様 梁 (桁) 柱 200以下 梁 (桁) 天井 受材 胴つなぎ 胴つなぎ 200以下 間柱 天井 合板上端 合板上端 柱 柱 構造用合板 (厚12) 構造用合板 (厚12) CN65@100以下 合板下端 土台 上下開口付き入り隅大壁仕様 床 150以下 床 150以下 合板下端 CN65@100以下 土台 上下開口付き柱間隔 2 P 真壁仕様 図50 耐震補強壁の例 41 42 「合板耐力壁マニュアル」 を見てね 7 7.3 耐震補強における合板張り耐力壁の 基準耐力と基準剛性 表25. 12㎜ 構造用合板張り大臣認定耐力壁の基準耐力と壁基準剛性 工法 仕 様 認定を取得した合板張り耐力壁の基準耐力を 準剛性については、 (一財)日本建築防災協会 示した。また、大臣認定の耐力壁の基準剛性 より表 2 3、2 4 の値が 提案されている。また、 については、関係者等からのアドバイスに基づ 国交大臣認定の耐力壁の基 準耐力について き、実 験における水平変形が 1 / 2 0 0 rad時の は、同協会の「2 012 年改定版 木造住宅の耐 耐力の平均値(信頼率 75%)から算出した。こ 震診断と補強方法 指針と解説編」 (P. 3 7)に、 のとき、同協会の一般的な誘導方法にならっ 大臣認定の値に基づいて算出する旨が記され て、施工精度や雨濡れ等による剛性の低減は ている。これに基づき、表 2 5、2 6には、大臣 考慮していない。 軸組 枠組 外周 工法 軸組構法 構造用合板 (耐力壁仕様) 伝統的構法 構造用合板 (準耐力壁仕様) 枠組壁工法 構造用合板 (耐力壁仕様) 接合具 留付間隔(㎜) 認定番号 100 以下 4.0 * * FRM-0335 CN50 75 以下 3.8 7.4 1500 FRM-0416 CN50 100 以下 3.1 6.1 1220 FRM-0415 CN65 100 以下 3.6 7.1 1410 FRM-0334 CN50 75 以下 3.6 7.1 1510 FRM-0414 CN50 100 以下 3.2 6.3 1390 FRM-0336 CN65 100 以下 4.0 * * FRM-0339 受材真壁床勝ち CN65 100 以下 3.6 7.1 1240 FRM-0483 CN50 100 以下 3.5 6.9 1350 FRM-0338 受材真壁 CN50 100 以下 3.4 6.7 1290 FRM-0337 CN65 50 以下 5.0 9.8 2110 TBFC-0114 CN50 50 以下 4.8 9.4 1800 TBFC-0112 CN65 75 以下 4.5 8.8 1650 TBFC-0111 CN65 100 以下 3.6 7.1 1400 TBFC-0113 大壁床勝ち 大壁 N50 150 CN50 外周100中間200 5.2 (1.5) 200 以下 200 以下 7 表26. 24㎜ 構造用合板張り大臣認定耐力壁(ネダノン スタッドレス5 +)の基準耐力と壁基準剛性 3.1 (1.5) 仕 様 5.4 くぎ種類 くぎ間隔(mm) 外周 倍率 6.8 * * FRM-0297 大壁床勝ち 7.0 13.7 2400 FRM-0296 * * FRM-0298 CN75 100 以下 5.0 仕様 接合具 大壁 真壁 軸組構法・伝統的構法 N50 ビス (φ2.8以上、 長さ28∼40mm) 構造用合板 直張り 特類、 2級以上、 厚7.5以上 N50 N50 大壁 枠組壁工法 特類、2級、 厚7.5以上 特類、1級、 厚7.5以上 2級、 特類、 厚9以上 特類、1級、 厚9以上 CN50 留付間隔 (㎜) 壁基準耐力 (kN/m) 壁基準剛性 (kN/rad/m) 5.2 860 3.4 1040 川の字@150 3.1 470 四周@150 5.0 910 貫3本以上に @150 3.0 430 川の字@150 4.0 730 5.4 850 四周@150 外周100 中間200 6.2 900 6.2 900 6.8 950 出典:(一財)日本建築防災協会編:2012年改訂版 木造住宅の耐震診断と補強方法 指針と解説編、p.65∼70、2012.6 9.8 5.9 受材真壁床勝ち 表24. 精密診断法1での壁基準耐力および壁基準剛性 柱脚柱頭 壁基準耐力① 壁基準耐力② 壁基準剛性 認定番号 接合用倍率 (kN/m) (kN/m)(kN/rad/m) 大壁 受材真壁 構造用合板 直張り (kN/m)(kN/rad/m) 壁基準耐力(kN/m) 注:かっこ内は胴縁仕様の場合。 出典:(一財)日本建築防災協会編:2012年改訂版 木造住宅の耐震診断と補強方法 指針と解説編、p.31、2012.6 構造用合板 受材仕様 構造用合板 貫仕様 構造用合板 受材仕様・床勝ち・上部開口 壁基準耐力 壁基準剛性 壁基準耐力は、倍率×1. 9 6で計算 。 壁基準剛性は、評価書の1/ 2 0 0 rad 時の信頼水準 75%の 5 0%下限値より計算(低減係数なし)。 *の値については(一財)日本建築防災協会より評価を取得しているので表 2 7を参照のこと。 表23. 一般診断法での壁基準耐力 工法の種類 中通り 倍率 CN65 大壁 構造用合板を張った耐力壁の基準耐力と基 くぎ間隔(mm) くぎ種類 壁基準耐力①は、倍率×1. 9 6で計算 。 壁基準耐力②は、柱頭柱脚接合用倍率×1. 9 6で計算 。 壁基準剛性は、評価書の1/ 2 0 0 rad 時の信頼水準 75%の 5 0%下限値より計算(低減係数なし)。 *の値については(一財)日本建築防災協会より評価を取得しているので表 2 7を参照のこと。 表27. 日本建築防災協会認定の評価を受けた構造用合板張り耐震補強壁の壁基準耐力と壁基準剛性 仕 様 合板 12㎜ 上下開口付き壁 合板 12㎜ 無開口壁 合板 24㎜ 無開口壁 壁基準耐力 (kN/m) 壁基準剛性 (kN/rad/m) N 値計算用 等価壁倍率 ①両側柱大壁仕様 6.6 960 3.4 ②両側柱真壁仕様 4.8 800 2.4 ③間柱補強大壁仕様 6.3 880 3.2 ④間柱補強真壁仕様 5.4 860 2.7 ⑤柱間隔 2P 大壁仕様 5.1 850 2.6 ⑥柱間隔 2P 真壁仕様 3.3 860 1.7 ⑦後施工柱大壁仕様 6.6 960 3.4 ⑧後施工柱真壁仕様 -1 4.8 800 2.4 ⑨後施工柱真壁仕様 -2 6.8 980 3.5 ⑩入隅大壁仕様 6.6 960 3.4 ⑪大壁仕様 7.8 1320 4.0 ⑫入隅大壁仕様 7.8 1320 4.0 ⑬床勝ち真壁仕様 7.8 1410 4.0 ⑭床勝ち真壁 600㎜仕様 6.2 1160 3.2 ⑮大壁仕様 13.3 2400 6.8 ⑯入隅大壁仕様 13.3 2400 6.8 ⑰真壁仕様 11.6 2090 5.9 ⑱真壁 600㎜仕様 10.1 1830 5.2 ⑩、⑫、⑯においては、壁長さは有効壁長(合板張り付け柱(受材)の心々距離とする)。 2 0 0 4 年版の一般診断法での上限は 9 . 8 kN/m、2 012 年版の上限は10 kN/m 。 2 0 0 4 年度を用いる場合には、壁基準耐力を壁強さ倍率 Cと読み替える。 43 44
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