≪国語≫伝記から生き方、考え方を学び、自己の生き方について考えさせる

≪国語≫伝記から生き方、考え方を学び、自己の生き方について考えさせる
単元名 伝記を読んで、自分の生き方について考えよう (第5学年)
教材名 「百年後のふるさとを守る」 河田恵昭
ねらい
○伝記の構成に気付き、できごとや人物の生き方・行動・考え方を自分と関連させながら読
むことができる。
○伝記の中の人物の生き方に共感したことや、関心をもった問題について自分の考えをまと
めて発表し合い、自分の考えを広げたり深めたりすることができる。
本実践とキャリア教育
浜口儀兵衛は、安政の大地震により津波被害を受けた故郷に、度重なる困難にも負けず、
私財を投げ打ち堤防を築きます。この事業は、住民に自助と共助の意識をもたらし、88年
後、昭和21年の大地震による津波からふるさとを守ることにもなりました。
高学年となり、児童会やクラブ活動の運営に参加するなど、日常生活から社会生活への関
心・意欲が高まり、自分の役割や責任などについての自覚が深まるこの時期に伝記を読むこ
とは、偉人の生き方を通して自分を見つめ直し、夢や希望をもって将来の生き方や生活を考
える力や、自らの意志と責任でよりよい選択・決定を行う力などの「キャリアプランニング
能力」の育成につながっています。
単元の学習内容及び他の領域との関連(例)
公共のために役に立つこと
をする。
・グループごとに「あとがき」を紹介し合う。 1
・わたしたちの生活と環境(自
然災害を防ぐ)
<総合的な学習の時間>
・地域の達人に学ぼう(稲作・
環境整備・伝統芸能など)
<道徳>1−(2)
・より高い目標を立て、希望と
勇気をもってくじけないで
努力する。
<道徳>4−(4)
・働くことの意義を理解し、社
会に奉仕する喜びを知って
過
時数
指導上の配慮事項と評価
○配慮事項 ◎キャリア教育の視点 ☆評価
1
導
入
第3場面を読み、儀兵衛のしたことや考えを見 ○既習内容の振り返りを行い、着目の仕方
付ける。
等の定着を図る。
・稼業が傾いても工事を続け、四年の月日をかけ
て、世界でも初めての盛り土堤防が完成した。 ○単元を通しての課題や言語活動を確か
め、課題意識が連続するよう配慮する。
・完成後、傾きかけた家業も盛り返した。
【課題】儀兵衛が、
「なんとしても、堤防を完成させる。」と、最後に決断できたのは、
どのような思いや考えがあったからなのだろう。
儀兵衛の行動を後押しした考え方を本文から ○できごとや行動を示す叙述に着目させ、
儀兵衛の立場や状況を把握し、儀兵衛の
見付ける。
「自助や共助の精神」に気付くことがで
・紀州藩に手紙を出したものの、返事が来ないた
きるようにする。
め、自分のお金で村人の衣食住を整えた。
・外を向こうとする村人の足を止めるため、堤防
の工事費用や賃金の全てを自分で賄った。
・江戸の地震のせいで家業が傾いた時、自分を気
づかいながらも、信じて待つという村人の思い
に応えるために工事を続行する決断を下した。
3 儀兵衛の業績を意味付けている筆者の見方や
「世界でも初めてのもの」
考え方を本文から見付け、自分の考えと関係付け ◎「画期的なこと」
「りっぱに果たし」という表現に着目さ
ながら話し合う。
せ、儀兵衛の、決断力や企画力、遂行力
・自分だったら、目の前の利益を考えて行動して
に気付かせ、自分と関わらせながら考え
しまいそうだし、困難に負けてあきらめてしま
られるようにする。
うと思う。村や村人のことを考えて、何とか打
(キャリアプランニング能力)
開する姿勢や考え方が儀兵衛の素晴らしさだ。
4 儀兵衛の生き方や考え方に対する筆者の意味 ☆「儀兵衛の行動や考え」
「筆者の意味付け」
付けを踏まえて、自分の考えを書く。
を表す言葉を根拠に、儀兵衛の、故郷と
故郷の人々を思う気持ちや画期的な発想
○「あとがき」につながるよう、本時の学習のまとめ
に対する自分の考えを、自分の生き方や
を文章化する。
生活と関わらせて書いている。
◎交流会での発表を前提に、現在の自分の生活や夢と
(ノート・発表)
も関わらせながら、考えを書くようにする。
2
開
1
ま
と
4
学習活動と内容
程
展
主な学習内容
・伝記の特色や読む目的について考え、学習
の見通しをもつ。
(単元を貫く言語活動・課
題の設定)
・全文を読んで初発の感想をまとめ話し合う。
・稲むらに火をつけ、村の人々を救った儀兵
衛の行動や考え方を読み取り、自分の考え
をもつ。第1、2場面
・困難に立ち向かいながらも、百年後に大津
波が来ても村を守れる堤防をつくろうとす
る儀兵衛の行動や考え方を読み取り、自分
の考えをもつ。第3場面《本時》
・筆者が儀兵衛の功績に見いだしている意味
を読み取り、自分の考えをもつ。第4場面
・
「儀兵衛」の行動や考え方、筆者が考えてい
る「意味」について、自分の生活と関わら
せながら考え、伝記の「あとがき」として
まとめる。
<社会科>
≪本時のねらい≫
・「儀兵衛の行動や考え方」「筆者の意味付け」を表す言葉に着目し、儀兵衛の、故郷と
故郷の人々を思う気持ちや画期的な発想が、大事業(住民自ら参加する堤防づくり)
成功の源となったことに気付き、自分の生き方と関わらせて考えをもつことができる。
≪展 開≫
め
実践のポイント
人物の生き方や考え方、偉業に対する筆者の意味付けに関わる叙述を大切にしましょう。
1
伝記を学習材とする取組は、キャリア教育との関連はもとより、道徳との関連や総合的な学習の時
間との関連など、他教科や他領域との学習活動との関連も図りながら実践することが大切です。また、
単位時間の指導においては、人物の生き方や考え方、偉業に対する筆者の意味付けに関わる叙述を見
付け出し、「自分もこうありたい・今の自分の生活で言えばこういうことか」など、自分の生き方や
生活と関わらせながら考えをまとめることが大切です。伝記の中の人物の、様々な場面における選択
や考え方に重ね合わせて読み深めることができるようにしましょう。