平成27年5月9日 第12回排尿機能検査士講習会 尿流動態機能検査 症例検討 長野県立こども病院 泌尿器科 市野みどり 自覚症状と下部尿路機能は必ずしも一致しない。 下部尿路機能障害の病因・病態は多岐にわたり,複雑な 病態を呈する症例も少なくない。 ↓ 適切な治療法選択のため、正確な下部尿路機能の評価が 必要 尿流動態検査 実際、検査を始める前に! (非侵襲的な情報の収集) パッドテスト 内服薬の確認 (排尿に影響を与える薬は?) 1)何を知りたいのか? 症状、非侵襲的検査から予測されることは? どこに異常がありそうか 蓄尿期 排尿期 膀胱 尿道 知覚 2)どの検査が必要か? 検査法の選択 (尿流測定 残尿測定) • 膀胱内圧検査 • 内圧尿流測定 • ビデオウロダイナミクス • 腹圧下漏出時圧測定 • 尿道内圧測定 3)被験者に利益があるか? 症例 43歳 女性 数年前から頻尿、尿意切迫 感がある。 排尿困難はなし 排尿日誌 1回排尿量40-50ml UDSで予測される結果は? 蓄尿期 排尿期 尿流測定 量が少ない 再検が必要? 排尿量 41ml Qmax 4.7ml/sec Qave 3.3ml/sec 排尿時間 12sec 残尿 0ml 症例 43歳 女性 蓄尿 36ml 初発尿意 蓄尿期の所見は? 60ml 漏れそう。 症例 43歳 女性 排尿 排尿期の所見は? 尿流率 膀胱内圧 腹圧 排尿筋圧 最大排尿筋圧76cmH2O 自覚症状と検査所見は一致 する? 治療方針を決定する上で、 ほかに調べることは? 症例 13歳女児 夜尿症にて、小児科にて数年来加療 を受けたが改善しない 尿切迫感不明。 昼間尿失禁ごく少量。昼間はあまり 困っていない。 UTIの既往なし。 排便は不定期。身体所見、 尿検査異常なし 時刻 排尿量 7:00 70 8:30 50 10:30 75 12:15 65 14:15 100 16:30 70 18:10 75 20:43 125 21:05 70 21:40 55 失禁 150 排尿日誌から読み取れることは? 症例 13歳女児 右腎 左腎 膀胱 排尿後 排尿量211ml Qmax 18.4ml/sec Qave 11.7ml/sec 残尿30ml 症例 13歳女児 蓄尿期 コンプライアンスは? 207ml Pves 30cmH2O Pdet 20cmH2O 蓄尿期 初発尿意 91ml 最大尿意 207ml 症例 少量の失禁 13歳女児 排尿指示の前に我慢 できない感じがあり、 全量排尿 再度注入して 排尿指示 蓄尿期、排尿期それぞれの所見は? 診断、治療方針は? 症例 71歳 男性 前立腺肥大症の診断でαブロッカー内服。 尿閉で救急受診→尿道カテーテル留置 600ml流出 前立腺重量100g 排尿 蓄尿 UDS所見は? 尿閉の原因は? 症例 71歳 男性 2か月後 急に尿意が強くなり 排尿 排尿指示 UDS所見は? 1回目との違いは? 治療方針は? 症例 71歳 男性 導尿開始後1か月から自排尿あり 蓄尿 排尿 UDS所見は? 前回との違いは? 治療方針は? 症例 37歳女性 直腸癌術後9か月 尿失禁にて受診。 トイレに行くたびにもれている。体動時に失禁。 尿意はよくわからない 排尿日誌 1回排尿量150-300ml/回 排尿量 残尿 どんな病態が考えられる? 68秒 147ml 10ml 蓄尿期 膀胱 尿道 知覚 排尿期 症例 37歳女性 少しもれ 蓄尿 蓄尿期の評価 知覚 コンプライアンス 失禁の原因は? この後、立位になったとたん失禁 尿意がない場合はいつまで注入する? 症例 37歳女性 排尿 排尿期の所見は? 今後の治療方針は? 症例 37歳女性 5年後 200ml 39cmH2O 408ml 7cmH2O 症例 脊髄髄膜瘤 男児 残尿は少なく、自排尿としていた。 3か月 腎盂腎炎で発熱 3時間毎のCICを開始したが、尿路感染の再発があり、 留置カテーテルとなった。 US:腎に異常なし。 4か月 紹介受診 予想される病態は? 検査すべき項目は? 症例 脊髄髄膜瘤 4か月当院初診 男児 V-UDS施行。 UDSの診断は? 治療方針は? 19ml わずかに 尿の流出 このまま放置するとどうなる?
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