採択番号 12B1006 表面プラズモン共鳴型光触媒の創製と高活性化 Synthesis of surface plasmon resonance type photocatalysts having high activity 古南 博 a,田中淳皓 a,大沼 明 b,大谷文章 b Hiroshi Kominami,a Atsuhiro Tanaka,a Akira Ohnuma,b Bunsho Ohtanib a 近畿大学, b 触媒化学研究センター a Kinki University, bCatalysis Research Center 背景と研究目的:表面プラズモン共鳴 (SPR)による吸収とは金属の微粒子が特 定の波長の光を吸収すると,金属微粒子の 大きさや種類により色が異なって見えるこ とである.通常,金属中の電子は光と相互 作用しないが,金属表面やナノ微粒子中の 電子は,ある条件で光と相互作用する.近 年,金(Au)担持酸化チタン(Au/TiO2)が 可視光照射下において,有機化合物を酸化 することが報告された[1].この光触媒反応 は Au のナノ粒子に特有な SPR による吸収 に起因する反応であると考えられる.また, 報告者の一部(古南,田中)は,Au 担持酸 化セリウム(CeO2)が SPR による強い吸収 を示し,この触媒系が可視光照射条件下に おいて,水中有機化合物を完全に無機化す ることを見出した[2].しかし,Au の粒子径 や酸化物の物性が異なるため,これらの光 触媒活性に差異が発現する理由は明らかに なっていない.そこで,本研究では,物性 制御した TiO2 上に均一な Au コロイド粒子 を安定に担持することを試みた.また,TiO2 の物性が SPR 吸収特性や光触媒活性におよ ぼす影響を考察した. 実験:Au コロイドの調製はクエン酸ナトリ ウムによる還元法により行った.TiO2 上へ の Au の担持法はコロイド電着法を用いた. Au/TiO2 50 mg を水 5 cm3 に懸濁させた後, ギ酸 100 mol を加え,酸素雰囲気下,緑色 LED(max=530 nm: 0.44-2.0 mW cm-2)を照 射した.生成物である二酸化炭素(CO2) をガスクロマトグラフにより分析した. 結果および考察:調製した Au コロイドと TiO2 上の Au の平均粒径はどちらも 13 nm となり,元の粒径を維持しつつ,Au 粒子を TiO2 上に担持することに成功した.また, この触媒が可視光(> 500 nm)照射下にお いて,有機酸の無機化反応に非常に高い活 性を示すことを見いだした.また,コロイ ド電着法により調製した Au/TiO2 を用いた ギ酸の無機化反応における光強度依存性を 検討した.光量および CO2 生成速度の両対 数プロットは直線となり,その傾きは 1.87 と求められた.このことから,コロイド電 着法により調製した Au/TiO2 上で非線形光 触媒反応が進行していることが示された. 今後の課題:Au コロイドのサイズ効果は評 価できなかった.サイズの異なる Au コロ イドを調製し,これらを TiO2 上に担持する ことにより,Au のサイズ効果を検討したい. また,非線形現象の本質に迫りたいと考え ている. 参考文献 [1] E. Kowalska, R. Abe, B. Ohtani, Chem. Commun., 2009, 241. [2] H. Kominami, A. Tanaka, K. Hashimoto, Chem. Commun., 46 (2010) 1287. 論文発表状況・特許状況 [1] A. Tanaka, K. Hashimoto, B. Ohtani, H. Kominami, Non-linear photocatalytic reaction induced by visible-light surface-plasmon resonance absorption of gold nanoparticles loaded on titania particles, Chem. Commun., 49 (2013) 3419 [2] A. Tanaka, A. Ogino, M. Iwaki, K. Hashimoto, A. Ohnuma, F. Amano, B. Ohtani, H. Kominami, Gold–Titanium(IV) Oxide Plasmonic Photocatalysts Prepared by a Colloid-Photodeposition Method: Correlation Between Physical Properties and Photocatalytic Activities, Langmuir, 28 (2012) 13105.
© Copyright 2024