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光触媒薄膜を用いたリソグラフィプロセスの開発Ⅱ
Development of Lithography Process using Photocatalytic Thin Films II
府大高専 1,豊橋技科大 2
OPUCT 1, TUT 2
中野 瑞記 1,植村 公亮 1,尾﨑 亮 1,前田 篤志 1,松田 厚範 2
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M. Nakano1, K. Uemura1, R. Ozaki1, A. Maeda1, A. Matsuda2
E-mail: [email protected]
【はじめに】環境調和型微細加工プロセスとして光触媒リソグラフィが注目されている[1].アナ
ターゼ型 TiO2 に代表される光触媒の酸化力をエッチング能として利用することにより,環境負荷
の大きい溶剤を用いることなく金属薄膜のパターンニングが可能となる.本研究では,チタン酸
ナノシートを用いた光触媒リソグラフィプロセスの確立を目的に,その予備実験として高光触媒
活性 TiO2 薄膜による Cu 薄膜のパターニングを試みた.
【実験方法】TiO2 薄膜は,ゾル-ゲル法により調製した TiO2 ゾル[2]をガラス基板上にスピンコー
ティングし,乾燥後,温水処理を施すことにより作製した.なお,光触媒活性の向上を目的に,
出発原料をオルトチタン酸テトラブチルからオルトチタン酸テトライソプロピルに,温水処理時
間を 3 時間 30 分から 4 時間に変更した.一方,被加工体は,マグネトロンスパッタ装置を用いて
成膜した Cu 薄膜表面にフォトリソグラフィ法でポジ型レジストパターンを形成することで作製
した.エッチング実験では,TiO2 薄膜と被加工体を 1mm 厚のスペーサーを介して重ね合わせ,70℃
の超純水に浸漬し,紫外光を 2 時間照射した(Fig. 1)
.
【結果と考察】Fig. 2 に示すとおり,上記プロセスにより 10m のボックスパターンが部分的にエ
ッチングできた.光励起により TiO2 の価電子帯に生成した正孔が,周囲の H2O 分子から電子を奪
うことで非常に酸化力の強いヒドロキシルラジカル(・OH)を発生させ,それらが間接的に Cu
薄膜をエッチングしたことを示唆している.しかしながら,被加工体には Cu の残渣も存在する.
これは,TiO2 薄膜の光触媒活性が低く,Cu が完全にエッチングされる前に酸化し,エッチング反
応が停止したためと考えられる.現在,ゾルの作製に使用する原料の変更,ゲル膜の多層コーテ
ィング,ゾルの濃縮等の検討を行い,より光触媒活性の高い TiO2 薄膜の作製を試みている.
[1] W. Kubo and T. Tatsuma: Ceramics, 39 (2004) 548.
[2] 松田厚範: 塗装工学, 6 (2004) 230.
Fig. 1 Etching Method
Fig. 2 10m Box Pattern