1231-1240 単球走化性タンパク質(MCP-1)は粥状動脈 硬化の複数の段階において重大な役割を果たし ている。 私達は、ABCA1、ABCG1、SR-BI の細胞表面 タンパク質発現の減少により、MCP-1 が HepG2 細胞のコレステロール逆輸送の能力を障害する かもしれないと仮定した。 MCP-1 は ABCA1、SR-BI の総タンパク質と mRNA レベルを減少させたが、ABCG1 のそれ らを減少させなかった。 細胞表面ビオチン法を用いて、細胞表面タンパ ク質の発現を測定したところ、 MCP-1 は ABCA1、 ABCG1、SR-BI の発現を、用量依存的かつ時間 依存的に減少させた。 さらに私達は受容体輸送制御におけるホスホ イノシチド3キナーゼ(PI3K)/セリン/スレオニ ンプロテインキナーゼ Akt 経路の関与について 研究を進めた。 ABCA1、ABCG1、SR-BI の翻訳と転写に関し ては、PI3K/Akt 経路によって制御を受けなかっ た。 しかしながら、ABCA1、ABCG1、SR-BI の細胞膜表面への発現は、PI3K 活性によって制御を受けることが でき、MCP-1 の誘発する、ABCA1、ABCG1、SR-BI の細胞表面タンパク質発現の減少は、PI3K を活性化する ことにより補正された。 さらに、MCP-1 が HepG2 細胞による脂質の取り込みと ABCA1 を介した apoA-1 へのコレステロールの流出 を減少させたが、それらは PI3K を活性化することにより、逆の現象が起こり得ることを見いだした。 私達のデータから、ABCA1、ABCG1、SR-BI の細胞表面発現の PI3K/Akt を介した翻訳後制御によって、 MCP-1 が HepG2 細胞での RCT 活性を障害するということが示唆された。
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