ケースカンファレンス症例1

第15回 検査血液学会学術集会
形態診断のためのケースカンファレンス
症例 1
伊東 貴美
国立病院機構 仙台医療センター
臨床検査科
症例1 60歳代の女性
平成○年他院の術前検査にて、単クローン性
高γグロブリン血症を指摘され、当院紹介受診
MGUSとして3年間MP療法やMCNU-VMP療法
施行。その後13年間は無治療経過観察であっ
たが貧血と血小板減少を認めたため骨髄検査
を施行、MDS(RCMD)と診断。治療1年半経過
後、汎血球減少が進行したため、骨髄穿刺を施
行した。
症例1 入院時検査所見
〔血液一般〕
WBC
1.8 x109 /L
RBC
1.99 x1012/L
Hb
5.5
g/dL
Hct
17.6
%
PLT
10
x109 /L
Reti
1.4
%
Myelo 6.0
Meta
0.0
St
2.0
Seg
5.0
Eo
0.0
Baso
2.0
Mono 32.0
Lym
51.0
Other 2.0
NRBC 14
%
%
%
%
%
%
%
%
%
/100WBC
〔止血・血栓〕
PTs
13.5
秒
PT%
72
%
PT-INR
1.20
APTT
38.3
秒
Fbg
363
mg/dL
FDP
µg/mL
D-D
7.3 µg/mL
AT
%
〔生化学〕
TP
6.8
ALB
3.4
LD
835
AST
36
ALT
12
ALP 383
ChE 134
T-Bil 1.1
BUN
19
Cre
0.68
Ca
8.0
UA
6.3
CRP
3.8
g/dL
g/dL
U/L
U/L
U/L
U/L
U/L
mg/dL
mg/dL
mg/dL
mg/dL
mg/dL
mg/dL
症例1 末梢血所見
【末梢血MG染色】
症例1 骨髄所見 1
【骨髄MG染色】
症例1 骨髄所見 2
【骨髄MG染色】
巨赤芽球様変化
多核巨大赤芽球
核の辺縁不整
核融解像
空胞形成
細胞質不染部
核の断片化
顆粒減少
低分葉好中球
pseudo Pelger核異常
低顆粒巨大好中球
低顆粒巨大好中球
巨大血小板
POD染色
PAS染色
PAS染色陽性赤芽球
Fe染色
sideroblast 75%
ring sideroblast9%
blastoid 14%
(NEC 45.2%)
proerythroblast 22.4%
(total EBL 56.8%)
骨髄は過形成で、赤芽球系は全ての分化段階の細胞がみられ、中でも幼若な赤
芽球が多くみられた。
赤芽球系細胞は、多核や巨赤芽球様変化など異形成は顕著で、細胞質には多数
の空胞を認め、他顆粒系や巨核球系にも明らかな異形成を認めた。
芽球様細胞はANCの14%、NECの45.2%、赤芽球系細胞は、PAS染色陽性でANC
の56.8%と、50%以上みられた。
細胞表面形質
CD3⁻
CD4⁻
CD5⁻
CD8⁻
CD10⁻
CD19⁻
CD13⁺
CD33⁺
CD34⁻
CD56⁻
CD41⁻
CD38⁻
GPA⁺
HLA-DR⁺
染色体
45,X,add(X)(q22),-3,del(5)(q?),-7,-13,-13,-15,-16,-18,-19,-20,-22
赤芽球50%以上の診断 (WHO 2008)
BM中の
赤芽球細胞%
末梢血・骨髄所見
その他
診断
50%以上
PBまたはBM ANCの
20%以上がblast
AML with MDS-related
changesに適合
AML with MDSrelated changes
80%以上がほとん
ど未分化な赤芽球
myeloblastはほとんど
ない、あっても少数
顆粒球系成分はあっ
ても少数
Pure erythroid
leukemia
50%以上
BMのANC、PBでblast
が20%未満
blastがNECの20%以上
50%以上
BMのANC、PBでblast
が20%未満
Acute
erythroid/myeloid
leukemia
BlastがNECの20%未満 MDS
Erythroleukemia(erythroid/myeloid)
顕著な貧血を呈し、末梢血に有核赤血球がみられること
が多い
de novoあるいは治療関連、MDSやまれにCMPDから急性
転化する
急性赤白血病は、複雑な染色体核型異常を有することも
多く 複雑な核型では、予後不良である。
myeloblast と proerythroblast
plasma cell と proerythroblast