経営分析II 12月8日 将来性分析:企業価値の評価(3) 12月15日 将来性分析:企業価値の評価(4) 12月22日 将来性分析:企業価値の評価(5) アウトライン EVA(超過NOPAT)による企業評価 その他の企業評価法 資本コスト 企業評価のまとめ EVA(超過NOPAT)に よる企業評価 超過NOPAT 経済的付加価値(EVA) 教科書の超過NOPATと同義 EVAはStern Stewart(SS)社による登録商標 主な特徴 業績評価に資本コストの概念を導入した指標 SS社によれば、EVAは株主価値の創出に密接に 関連している EVAの計算 EVA は下記の通り計算される EVAの構成要素 NOPAT(Net Operating Profit After Tax) 資本 負債+株主資本 資本コスト 税引き後ベースの営業利益 加重平均資本コスト (会計数値に対する修正) EVA(=超過NOPAT) による企業評価モデル 負債+株主資本(=資産)の価値を推定する EVAは株主と債権者の両方に帰属する「利益」 評価モデル 負債+株主資本の価値 NOPAT1 - WACC × BVA0 NOPAT2 - WACC × BVA1 = BVA0 + + + ... 2 (1 + WACC ) (1 + WACC ) EVAと超過利益 コンセプトは同じ 利益と資本コストの差額 「持ち主」が異なるだけ EVA:株主と債権者の両方 超過利益:株主だけ EVAと超過利益 評価モデルの比較 株主資本の価値 NI1 - re × BV0 NI 2 - re × BV1 NI 3 - re × BV2 = BV0 + + + + ... 2 3 (1 + re ) (1 + re ) (1 + re ) 負債+株主資本の価値 NOPAT1 - WACC × BVA0 NOPAT2 - WACC × BVA1 = BVA0 + + + ... 2 (1 + WACC ) (1 + WACC ) 株価・簿価比率 割引超過利益モデルの両辺を簿価で割ると… gn は簿価の成長率, たとえば (BV2-BV1)/BV1 サステイナブル成長率を用いることが一般的 MV0 E[( ROE1 - re )] E[( ROE2 - re ) (1 + g1 )] = 1+{ }+{ } 2 BV0 (1 + re ) (1 + re ) E[( ROE3 - re ) (1 + g1 )(1 + g 2 )] +{ } + ... 3 (1 + re ) 株価・簿価比率 超過利益の関数である ROEと株主資本コストの大小が大事 財務分析がROEの分析を中心としたことに注意 成長率の関数である 簿価がどのくらいの勢いで成長していくのか? 超過利益と簿価の関係に注意 簿価大=>資本コスト大=>超過利益小 ROAとWACCの関係 ROEと株主資本コストの関係に相似 株価・簿価比率 = 1+ ROE1 - re ( ROE2 - re )(1 + gbve1 ) ( ROE3 - re )(1 + gbve1 )(1 + gbve2 ) + + + ... 2 3 (1 + re ) (1 + re ) (1 + re ) 負債+株主資本の価値・簿価比率 ROA1 - WACC ( ROA2 - WACC )(1 + gbva1 ) ( ROA3 - WACC )(1 + gbva1 )(1 + gbva2 ) = 1+ + + + ... 2 3 (1 + WACC ) (1 + WACC ) (1 + WACC ) ROEとROA 株主にとっての企業価値に直結するのはROE であり、対応する資本コストは株主資本コス ト 株主+債権者にとっての企業価値に直結する のはROAであり、対応する資本コストは加重 平均資本コスト(WACC) それぞれの大小関係が企業価値に密接に関連 している その他の企業評価法 割引キャッシュ・フロー (DCF)モデル 企業の価値は、将来の企業の持主へのフリー キャッシュフロー(FCF)の現在価値に一致 持ち主:株主資本の出し手 株主資本コストを割引率に用いる 株主資本の価値が算出される 持ち主:株主資本の出し手+負債の出し手 加重平均資本コスト (WACC)を割引率に用いる 株主資本+負債の価値が算出される 株価倍率による評価手法 なぜ使われるか? 倍率の例 手軽である。それに尽きる。 株価収益率(PER) 株価簿価倍率(PBR) 株価キャッシュフロー倍率 なぜ駄目か 根拠となる理論がないor極めて強い仮定が必要 比較可能な企業を選定することはほぼ不可能 資本コスト 資本コスト 資本コストは資本の出し手が要求する,投資 に対するリターンである 資本コストは二つの重要な用途を持つ 超過利益・EVA(後述)の計算 予測された超過利益・EVAを現在価値に割り引く ための割引率 資本コスト 株主資本コスト(割引超過利益モデルの割引 率) 負債コスト CAPM (資本資産価格モデル) が代表的な推定 方法 通常、借入に対する利子率を用いる 加重平均資本コスト(EVAモデルの割引率) 負債コストと株主資本コストを加重平均 資本構成(負債:株主資本)の予測が必要 WACC(加重平均資本コス ト)の計算 割引率は加重平均資本コストである 負債は時価で計算する 短期の営業債務(無利子)は計算に含めない 株主資本をどうするか? 自己資本比率を仮定するか,又は繰り返し計算 VD VE WACC rD (1T ) rE VD VE VD VE 時価を使用する 資本コストの推定 負債コスト 現在の企業の借り入れコストを用いる 税引き後ベース 株主資本コスト CAPM(資本資産価格モデル)?APT(裁定価格モデ ル)?3ファクターモデル? いずれにせよ、正確な推定はできない 資本コストについての感応度分析が絶対に必要 CAPM : re = rf + b [ E (rM ) - rf ] CAPMによる株主資本コスト の推定例 ベータ=1.2 リスクプレミアム=7.6% リスク・フリー利子率=5.8%、とすると 資本コスト: 5.8 + 1.2*7.6 = 14.9% 規模による調整をおこなうこともある CAPM : re = rf + b [ E (rM ) - rf ] 企業評価のまとめ 超過利益と配当とFCF 期間無限大の、整合性のある予測が提供されれば 、どの企業評価モデルを使用しても同じ、しかし 有限期間の予測を使用した場合、FCFは使い物に ならないことが多い(成長中の企業のFCFはマイ ナスであることが多い) Penman(2001)のHome Depotの例 Penman and Sougiannis(1998) (有限期間のプロジェクトの評価はFCFで充 分) Home Depot Penman and Sougiannis (1998) FCFと超過利益(と配当) 営業利益とFCFと配当の関係 (Penman(2001)) 企業の営業部門と取引先とのやりとりが営業利益 企業の価値創出は(営業)利益で測定される 企業の営業部門と財務部門の現金のやりとりがFC F 企業の財務部門と株主との現金のやりとりが配当 企業評価の4つのステップ 経営戦略分析 会計分析 財務分析 将来性分析
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