Copyrights by ITEC,inc. 2014 - 1 - 平成 26 年度秋 IT

Copyrights by ITEC,inc. 2014
平成 26 年度秋 IT ストラテジスト試験分析速報
2014,10,20 (株)アイテック 教育研究開発部
1.試験全体の講評
今年も出題内容や傾向に大きな変化はありませんでした。ただし,午前Ⅱは例年にも増
して新しい用語に関連する出題が多く,過去の問題の傾向把握だけではなく,最近のトピ
ックも押さえていないと対応が難しい内容となっていました。午後Ⅰに関しては,問 1,問
3 が比較的答えやすい問題でしたが,問 2,問 4 が比較的難しい内容となっていました。午
後Ⅱに関しては,3 問とも出題が十分に予想されたトピックでしたので比較的書きやすい内
容でした。
2.午前Ⅰ(共通知識)試験講評
共通知識として出題範囲の全分野から 30 問が出題される午前Ⅰ試験ですが,出題分野の
内訳はテクノロジ分野が 17 問,マネジメント分野が 5 問,ストラテジ分野が 8 問で,出題
数は同じです。
今回の試験は平成 25 年の 10 月に発表された“セキュリティ分野の出題強化”の方針で
行われた 2 回目の試験で,午前試験でのセキュリティ出題数は 4 問で前回と同じでした。
出題された問題は,従来どおり 30 問全てが同時期に実施された応用情報技術者試験 80
問からの抜粋になっています。基礎理論とセキュリティの問題でやや難しい問題があった
ため,全体としては少し難しく感じられた問題だったといえます。
今回の試験で新傾向問題といえるものとしては,次の問題がありました。
問 6 Linux カーネルの説明
問 15 WPA2 で利用される暗号化アルゴリズム
問 21 目標復旧時点(RPO)で定めているもの
問 27 コア技術の事例
3.午前Ⅱ試験(多肢選択式問題)
午前Ⅱはここ数年の傾向として今年も目新しい用語が多く出題されていました。特に経
営やマーケティングに関する目新しい用語が多く出題されており,難しく感じた受験者も
多かったと思います。具体的には次のようなものがありました。
問 2 IDEAL によるプロセス改善の取組み
問 10 消費者市場のセグメンテーション変数のうちの行動的変数
問 11 エスノグラフィーの活用事例
問 15 カーブアウト
問 16 プロダクトライン開発を適用する利点
問 19 HEMS
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問 20 コンピテンシモデル
また,他の種別では出題されたことがありますが,IT ストラテジストとしては,初めて
の出題になる用語も次のように出題されていました。
問 1 BRM(Business Reference Model)で提供されるもの
問 7 LBO
これらに対応するためには,最近の動向や経営手法などについて,日頃から注意を払っ
ておくことと,他の種別で出題された目新しい問題にも注意しておく必要があります。
4.午後Ⅰ記述式問題
全体的には,出題傾向に大きな違いはなく,問題文のヒントを確実にとらえていけば,
解答が導ける問題でした。ただし,問 2 と問 4 は問題文の把握に少し時間がかかり,ヒン
トが見つけにくい問題内容となっていました。
問1 銀行システムの再構築
企業再生ファンド会社の立場から,銀行システムの再構築を考えるという珍しい問題で
したが,問題文の記述は分かりやすい内容でした。ヒントも問題文に明確に書かれていま
すので,比較的解答しやすい問題でした。
問2 小売業におけるリフォーム事業の拡大戦略
リフォーム事業という馴染みのある業種の問題でしたが,問題文中に箇条書きの部分が
多く,情報量が豊富なため,問題文から全体の構造がつかみにくく,ヒントを探すのが少
し大変な問題でした。
問3 洋食レストランの競争力の向上
レストランという多くの人が馴染みのある業界がテーマとなっていたため記述内容も分
かりやすく,問題文は非常に読みやすい内容でした。解答のヒントも明確に書かれている
ので,比較的解答しやすい問題でした。
問4 建設機械の新機能の開発
従来と同様,問 4 は組込みシステムに関する問題でした。建設機械メーカ,建設工事会
社,ゼネコン及びレンタル会社が相互に絡んでくる内容で,問題文が長いため,内容の把
握に少し時間がかかる問題でした。
5.午後Ⅱ論述式問題
今年は,業務改革,基盤整備,非機能要件という比較的オーソドックスな出題でした。
設問内容もオーソドックスな内容のため比較的論述しやすい問題でした。
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問1 IT を活用した業務改革について
過去にも数回出題されている IT を活用した業務改革に関する問題でしたので,このテー
マで準備をしていた受験者も多かったと思われます。
設問イは,前半は業務改革とそのときに活用した IT を述べればよいという十分に予想さ
れた内容でしたので書きやすかったと思います。後半は,費用対効果の定量的な根拠とそ
のときに検討した内容を述べる必要があります。費用対効果の根拠をいかに定量的に示せ
るかが大きなポイントになります。
設問ウは,設問イで述べた業務改革の実施結果の評価と改善事項を述べることになりま
す。計画の評価ではなく実施結果の評価という点が,従来の出題と違う点です。単に結果
OK ということではなく,評価の根拠を述べることが重要となります。
問2 情報システム基盤構成方針の策定の一環として行うクラウドコンピューティング導
入方針の策定について
十分に出題が予想されたクラウドコンピューティングに関する問題でした。設問もオー
ソドックスなので,何らかのクラウドコンピューティングの経験があれば,比較的書きや
すかったと思われます。
設問イは,どのようなクラウドコンピューティング導入方針を策定したかを述べればよ
いので,比較的書きやすかったと思います。重要と考えて検討したことを明確にするとい
う条件があるので,これを必ず盛り込むように注意する必要がありました。
設問ウは,導入方針について経営者にどのように説明し,承諾を得たかを述べる必要が
あります。経営者に対して,経営的な視点もいれて,どのように説明したかがポイントに
なります。
問3 組込みシステムの非機能要件について
問 3 は例年どおり組込みシステムの問題でしたが,非機能要件という観点から述べるの
が特徴となっていました。非機能要件の問題も出題が予想された問題でしたので,比較的
論述しやすかったと思われます。
設問イは,非機能要件の洗い出しに当たり,どのような観点で担当・部門を決定し依頼
したかを述べるという少し変わった点がありました。IT ストラテジストは,専門家をうま
く使いこなす必要がありますので,その点を強調することが重要となります。
設問ウは,設問イで述べた非機能要件の評価結果について述べるのですが,リリース後
の売上実績,市場の反響なども含めて述べなくてはいけないので,論述の仕方が少し難し
かったかもしれません。
以上
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