2013年のスーパーメジャー業績レビュー 2014年3月20日 調査部 片山 治 1 トピックス スーパーメジャー(以下「メジャー」)全体の業績・傾向に焦 点を当てて、 • 2012・2013年各社純利益 • 以下の推移 • 埋蔵量、埋蔵量置換率、キャッシュフロー各項目、上流部門投資額 • チャレンジ・リスク • まとめ・今後の展望 2 2013年・2012年メジャー各社純利益 対2012年で概ね減益 主要因-(上流)原油価格下落および生産量微減 (下流)石油製品価格減低下による精製マージン減 4.50 ガス(mmboe/d) 4.00 液体分(mmboe/d) 3.50 3.00 2.50 2.00 1.50 1.00 0.50 0.00 2013 2012 2013 2012 2013 2012 2013 2012 2013 2012 Chevron ExxonMobil Shell BP Total ExxonMobil‐ 2012年の下流・石化部門収益 170億ドル中65億ドルは東燃ゼネラルの 50.5%持ち株会社の株式売却益 BP‐ 2013年の「ほか」は主としてTNK‐BP株式 売却益 出所:各社財務諸表等投資家向け情報 3 2013年世界の石油ガス市場 石油需要、前年比+1.3%(IEA Oil Market Report Jan 2014) 新興国の需要増が主要因、先進国の需要は横ばいない しは微減 ガス需要 前年比+2% アジア太平洋市場の電力・一般産業(特に中国、日本、 中東、米国)需要増(以上Shell推定) 4 メジャー各社確認埋蔵量推移 近年の傾向 Chevron, Total ‐ ガス埋蔵量増 ExxonMobil ‐ 液体分埋蔵量増、米シェール増産は ピークに達したか? BP ‐ 2009年まで液体分埋蔵量増 Shell – どちらとも言えず(短期的なリターン重視か?) 液体(原油・コンデンセート) 液体・ガス計(液体換算) ガス(液体換算) 出所:各社財務諸表等投資家向け情報 5 各社埋蔵量置換率推移(内部置換率*) 12年間平均はかろうじて100%を上回る * 内部置換率: 自らの探鉱・開発による埋蔵量増 Shell, ExxonMobil 2009年突出の主な理由: カナダ・オイルサンド事業の鉱物埋蔵量 から原油埋蔵量への変更 出所:各社財務諸表等投資家向け情報およびコンサルタント情報 6 各社キャッシュフロー項目別推移 ■BP以外の4社は投資キャッシュフロー(→投資)を拡大 ■BPは投資キャッシュフローを資産売却および投資の抑制によって低減 単位:百万ドル 出所:各社財務諸表等投資家向け情報 7 各社上流部門投資額推移 ■コスト増を反映し各社とも探鉱・開発費は上昇 Chevron Atlas Energy (米シェール) 買収 BP インド東海岸沖Reliance Industries深海資産ファー ムイン ExxonMobil 単位:百万ドル Shell XTO (米シェール)買収 Total カナダ・オイルサンド資産、 Novatek株式、Yamal LNG 権益買収 出所:各社財務諸表等投資家向け情報 8 チャレンジ・リスク~シェルの減益要因を例に • 上流減益要因(12,638百万ドル、前年22,244-44%) (ただし売上は47,357百万ドル(前年43,431百万ドル)) 減価償却費16,949百万ドル(前年11,138) -減損4,678百万ドル(前年980)、資産売却益減、探鉱費増(ドライ ホール、減損)、操業費増、液体分およびLNG部門利益減 上流部門減損の主要因 売却目的保有の米タイト・ガスおよびシェールオイル(Eagle Ford等) 資産の評価減 →米タイト・シェール事業は売却も視野に入れ、別 会社化。 ナイジェリア操業環境悪化、ほか • 下流減益(28%)要因 精製・販売マージン悪化(特に欧州・アジア太平洋地域)、減損 出所:各社財務諸表等投資家向け情報およびメディア情報 9 まとめ・今後の展望 埋蔵量および生産量拡大においてメジャーにとって苦難の時代と言える。 内部埋蔵量置換率はかろうじて100%を上回るが、内部置換だけではもはや投 資家を満足できるレベルの成長はできず、大規模な資産・企業買収を実施せざ るを得なくなっている。 2014年事業計画説明において各メジャーとも生産等の目標指標を示していない。 エクソンモービルCEO談「過去数年の業績からわかるように、メジャー会社 は拡大するには図体が大きすぎる。」 シェル―“生産量拡大から価値拡大への転換期” 米国シェールにおいては短期的には、コスト安(初期参入およびイノベー ションによる)、迅速な意思決定により一部の独立系企業のパーフォーマン スが優っている。 原油価格の頭打ち、発見・開発・生産費の拡大により、(「価値」=リターンとするなら ば)リターン創出はますます難しい環境下におかれることになるだろう。 したがって、優先事業(および事業地域)のさらなる絞り込みが進むことが考えられる。 10
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