第3回 神経科へようこそ

2014/12/9
CN I: 嗅球
CN II: 視交差
 CN III: 中脳
 CN IV-VI: 橋
 その他: 延髄


埼玉動物医療セン
ター
Shinichi Kanazono, DVM, DACVIM (Neurology)
Saitama Animal Medical Center
Synergy Animal General Hospital
視床を介さない唯一の感覚系脳神経
反対側に交差しない
 嗅上皮に幹細胞:再生能力



臨床的検査:観察
Veterinary Neuroanatomy: A clinical approach
 観察
 コットンボール投げ
 威嚇反応
 眼球検査、ERG
 対光反射/Dazzle
reflex
 動物:完全な検査は無い
Courtesy of Dr. P Dickinson
1
2014/12/9
Slide courtesy of Dr. D O’Brien


視覚:
瞳孔:
知覚の一種
不随意=反射
視覚
PLR
PLR 対光反射
視神経
中脳
動眼神経
威嚇反応
対光反射 PLR
視神経、反対側の大脳皮質、顔面神経
視神経、動眼神経
威嚇反応
視神経
視床・視索
視放線
大脳皮質
顔面神経
小脳
2
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Slide courtesy of Dr. D O’Brien

知覚の消失

視交差より末梢
› 中枢性(脳)
› 末梢性(視神経)
通常は片側性
 両側性失明

 SARDs
 視神経炎
 視交差の病変
立体的視野
Slide courtesy of Dr. D O’Brien
Slide courtesy of Dr. D O’Brien
瞳孔:正常

PS
3

反対側へ光
PLR:正常
病変側に光
• 直接PLR (ー)
• 間接PLR (ー)
直接的
消失
間接的
消失
間接的
直接的
Slide courtesy of Dr. D O’Brien
完全な視覚喪失
瞳孔径:散瞳
 PLR:左右消失
 視神経、視交差、網膜
Slide courtesy of Dr. D O’Brien



視神経炎
• 感染性
− CDV, FIP
− Rickettsia
− 真菌類
• 非感染性炎症
− GME
− 特発性
−
視神経腫瘍
3
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Slide courtesy of Dr. D O’Brien
視交差

• 炎症性
• 腫瘍性
ー 髄膜腫、
リンパ腫など
Courtesy of Dr. FA Wininger


PS
3
視交差より近位
直接的
PLR
立体的視野

対光反射:正常
瞳孔は正常で左右対称
間接的
PLR
Occipital
Lobe
LGN
後頭葉が最も
一般的
 Optic Tract
Optic
radiatio
n



他の大脳症状
を探す!


Optic
Tract






水頭症
代謝性脳症
低酸素症
脳炎
腫瘍
毒物性
外傷性
脳梗塞・脳内出血
痙攣後の一時的失明
4
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瞳孔サイズ:正常
威嚇反応:消失
 眼瞼反射:正常
 対光反射:正常


病変は?
 前脳


不随意
Input: 視神経
Output: 動眼神経
(副交感神経)
 交感神経が調節


(大脳もしくは間脳)
• 視覚は正常
• PLR 消失
(internal ophthalmoplegia)
• 外傷、眼窩病変
• Dysautonomia
PS
3
↓副交感神経- 散瞳
希釈ピロカルピン テスト
Ciliary
ganglia
対光反射
感覚系-CN II; 運動系-CN III
↓交感神経 – 縮瞳
フェニレフリン テスト
間接的
PLR
直接的PLR
消失
コリン作動薬
Ach-Rの除神経性過敏症
 0.1% ピロカルピン
 正常な眼と比較
 急速(20-30分)な縮瞳


Lorenz MD, Coates JR, Kent M. Handbook of Veterinary Neurology, 5th ed.
5
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 眼球筋群:7つ
 CN
縮瞳
 眼瞼下垂、眼瞼裂
 瞬膜突出
 結膜血管拡張


 検査:生理的眼振
III, IV, VI
(CN-VIII, III/IV/VI)
固定性の斜視
フェニレフリン点
眼
中脳
大部分の外眼筋 & 瞳孔
 Internal (=pupilomotor) &
External (=Extraocular)
ophthalmoplegia
 外傷、眼窩病変
 中脳病変

Dorsal Rectus
Dorsal
Oblique
Lateral Rectus
Medial Rectus
3
3
Dorsal rectus
動眼神経 (III)
滑車神経 (IV)
Ventral
Oblique
Medial
rectus
Ventral Rectus
外転神経 (VI)
Ventral rectus & oblique
Courtesy of Dr. J Pearce


Dorsal oblique m.
 交差する唯一の脳神経
中脳
• 視神経も部分的に交差
固定性背外側斜視
 通常はCN3も一緒に障害
 犬は網膜血管の評価が必要
4

Lateral rectus &
retractor bulbi mm.
 固定性内側斜視
 中枢性前庭疾患、
眼窩病変
延髄
6
6
4
Dorsal oblique
Retractor
bulbi
Lateral
rectus
6
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
顔面・舌2/3・頬などの知覚

そしゃく筋群へのLMN

副交感神経性:
› 涙腺、nasal gland, palatine gland
Veterinary Neuroanatomy: A clinical approach

3つの分枝
› 上顎神経
› 眼神経
› 下顎神経
顔面知覚
 そしゃく筋の運動
 涙腺


両側性

片側性
› 咀嚼筋炎:開口障害
› 三叉神経腫瘍
› 多発性筋炎
› 筋炎(稀)
› 慢性三叉神経障害
› 片側性三叉神経炎(稀)
 閉口障害
› 薬物、悪液質、内分泌




咀嚼筋炎
破傷風
顔面顎骨症
側頭骨ー下顎骨関節障害
Risus sardonicus
7
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
 膿瘍・炎症
 腫瘍






II 視神経
III 動眼神経
IV 滑車神経
V 三叉(眼)神経
V三叉(上顎)神経
VI 外転神経
V三叉(下顎)神経
顔面筋の運動
耳道内の感覚
 涙腺等(副交感神経)



慢性の顔面神経麻痺
› 顔面筋の線維化・振戦
顔面の対称性
M- CN VII
三叉ー顔面反射
S-CN V (眼神経); M- CN VII
耳介内側の感覚
S- CN VII
眼瞼反射
S-CN V (上顎、眼); M- CN VII
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重力方向に対する頭部の位置、動き(方向
および速度)を感知
 頭の位置を保持
 体幹、四肢の姿勢保持
 目の動きを調節:視界の確保


防御機構:
startle response
› Vestibulospinal tracts

補正:
プロプリオセプション、視覚
 三半規管:前庭機能

 蝸牛:聴覚
Hair Cells
Perilymph
Endolymph
Perilymph
III, IV, VI
III, IV, VI
(-)
1+
(-)
(-)
伸筋 (+)
屈筋 (-)
1+
(-)
伸筋 (+)
屈筋 (-)
9
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III, IV, VI
III, IV, VI
(-)
0
1+
(-)
(-)
伸筋 (+)
屈筋 (-)
1+
(-)
伸筋 (+)
(++)
伸筋
屈筋 (-)
屈筋
 病変部位の特定!!!

末梢性 vs. 中枢性

中枢性にしか無い症状がある = 中枢性
中枢性にしか無い症状が無い ≠ 末梢性

Case courtesy of Dr M Troxel


1ヶ月間 進行性歩様異常
48時間前よりHead tilt
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

意識レベル:QAR/disoriented
歩様:右斜頸、右側walk walking
 右側
前庭障害
脳神経:異常なし
 姿勢反応:左前後肢 CP消失
 その他 異常なし
1+
1+
2+
(-)
(-)

(-)
伸筋 (+)
屈筋 (-)
(-)
伸筋 (+)
(++)
伸筋
屈筋 (-)
屈筋
Slide courtesy of Dr. FA Wininger
放射線
Bean Hardening アーティファクト
 軟部組織が見づらい


10歳齢 雄 F.ブルドッグ
急性右側前庭障害
 いつもより大人しい


慢性外耳炎(外耳道線維化)
顔面神経麻痺無し、右顔面筋れん縮
 姿勢反応:正常


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

両側の聴覚をテスト
電気的活動を記録
› 前庭神経~脳幹
嚥下:3相 複雑なシステム
脳神経異常 (CN IX, X)
 構造異常


› 先天性 - 輪状咽頭アカラジア

All or None

脳死判定にも有用

口腔相

› 食塊を舌根に溜める

› 口咽頭に運ぶ

› 後天性 ー 炎症、腫瘍、舌骨装置の損傷
(pharyngeal dysphagia)
輪状咽頭相
› 輪状咽頭筋の弛緩&食道筋の収縮
› 輪状咽頭アカラジア

食道相
› 巨大食道症
脳幹後部
非常に遠回り

咽喉頭の筋群
心拍数、血圧の維持

嚥下困難、喉頭麻痺

舌筋群の萎縮、運動異常

食塊を口腔の奥へ運べない
舌の固有筋:舌を出す
 その他の筋群:舌を引き込む


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