第 26 号 茨城県立こども病院NST広報誌 2014 年 11 月 30 日発行 企画・編集 NST編集委員 発行責任者 連 利博(副院長) 副院長 連 利博 短腸症候群乳児に合併した腸管不全関連肝障害( 短腸症候群乳児に合併した腸管不全関連肝障害(Intestinal Failure Associated Liver Disease, IFALD IFALD)に対するω3系脂肪酸 (オメガベン®)投与の効果について最近の話題を提供します。 )投与の効果について最近の話題を提供します。 全結腸型無神経節症、中腸軸捻転や未熟児によく見られる壊死性 腸炎などいろんな理由で小腸大量切除を余儀なくされた場合、栄養 については経静脈栄養でなんとかやりくりできますが、解決できて い な い 問 題 と し て 腸 管 不 全 関 連 肝 障 害 ( Intestinal Failure Associated Liver Disease, IFALD IFALD)と呼ばれる病態があります。こ れは経腸栄養ができない場合、肝臓では胆汁鬱滞がおこり肝機能障 害が持続し、またカテーテル感染なども助長し、肝臓に悪影響を及 ぼし徐々に肝硬変へと向かうからです。これは生命予後に直結する し徐々に肝硬変へと向かうからです。これは生命予後に直結する 合併症です。 近年魚油由来のオメガ 3 系脂肪酸製剤( 系脂肪酸製剤(Omegaven® Fresenius Cabi, Germany)の投与により肝障害が改善するとした報告が欧米か )の投与により肝障害が改善するとした報告が欧米か ら見られ、日本でも最近使用され始めました。オメガベンは本邦未 承認薬ですが、その有用性に期待が高まっているところです。私た ちの病院でもそのような患者さんがいるので、まさに使い始めようとしています。 ちの病院でもそのような患者さんがいるので、まさに使い始めようとしています。ω3 系脂肪酸と いうのは魚油に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)で、抗炎症作用があり、脂肪肝の いうのは魚油に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)で、抗炎症作用があり、脂肪肝の予防に もなるとされています。オメガベン投与の不利益な点はあまりありませんが、出血性の合併症が起 こる可能性とアレルギー反応が起こる可能性が指摘されます。 先だって小児外科関連諸研究会の一つで毎年秋に開かれる小児外科代謝研究会ではオメガベンが 特集でした。宮城県立こども病院の小児外科天江先生を中心として多施設共同研究を目指してオメ ガベン治験ワーキンググループが結成され、各施設への使用状況に関するアンケート調査報告があ りました。日本では 13 施設から 74 例についての回答が得られ、文献検索では 7 症例が 5 施設から 報告されているそうです。74 例の使用の内訳は IFALD35 例、INFALD 予防 7 例、新生児胆汁鬱滞治療 が 30 例、予防が 2 例でした。改善率はいずれの場合も 68%で、予防効果は で、予防効果は 100%でした。病院負担が 5 施設、患者負担が 3 施設、その他回答なしでした。 いざ使用するとなると未承認薬ですから、 患者さんの費用の負担となります。当院ではオメガベ ン 1 か月分(10 本、約 10 万円)の試験投与については当院の研究費を申請することになりますが、 1 か月を超えて追加投与が有効と考えられた場合は家族負担を提案することでスタートすることに なりました。 CV カテーテル管理について カテーテル こんにちは。2A病棟のみねです。 入院が必要な子どもたちの中には、治療のために長期に中心静脈カテーテル(以下CVカテーテル) を挿入している方がいらっしゃいます。CVを使う利点は、いろいろありますが、一方で固定に伴う皮 膚トラブルやルートトラブルの可能性もあり、CVカテーテル管理の重要性を強く感じています。 治療のため長期CVカテーテル留置が必要な子どもたちを対象としたCVカテーテル管理についての 看護局の取り組みのひとつをご紹介したいと思います。 安全なCV管理のための方法に考えふける日々・・・暑い6月でし た。 私事ですが、地元でのお祭りを来月に控え、今年こそは こどもの祭り着である どんぶり(左写真)を手作りしようと型紙と格闘する毎 日・・・・ ある日、どんぶり作りからヒントを得てひらめきました。 早速試行錯誤した試作を部署会議を得て部署全員の意見をもとに試作と会 議を繰り返しました。 厳しい意見もありましたが、みんな一緒に真剣に取り組もうとしてくれていることを感じ嬉しく思い ました。CVカテーテル挿入されている子どもたちとそのご家族に多大なご協力を頂きました。 ました。CVカテーテル挿入されている子どもたちとそのご家族に多大なご協力を頂きました。 実際に試着などをさせていただきました。さらに試行策を繰り返した結果、出来上がったのが・・・・・・ CVエプロンです!! 医師、師長、医療安全管理者の許可をいただき部署全員の意見をもとに改良したものを計4着作成。 CVエプロン使用手順を作成し委員会を経由しました。 現在、成育在宅支援室を通じて、ボランティア布の花の会の方々が作製してくださっています。 各サイズ 70~90cm 程度まで病棟で常備できる予定です。 今後もご意見をもとに改良しながら、安全なCV管理をしていく取り組みを継続していきます。 入院されている子どもたちとそのご家族に多大なご協力を頂きました。 本当にありがとうございました。 (2A病棟副師長 みね さゆり)
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