Boys and girls, be ambitious!

表紙 2 − 3 四国経済連合会 会報12月号 H26.
千思万考
編
………………………………………………………………………………………
集
後
記
11月の理事懇話会での中塚先生(総合地球環境学研究所教
Boys and girls, be ambitious!
授)のお話をとても興味深く拝聴しました。日本史上の出来
事に気候変動という視点を導入すると、これまでの歴史の教
科書とは違った解釈ができることに驚きました。
同じ気候が何十年も続くと人間社会は突然の大きな気候変
四国経済連合会参与
(独)産業技術総合研究所四国センター所長)
(
動に対して適応力を失い、そのたびに飢 や戦乱を招いてき
田尾 博明
たというお話は、現代の私たちにとっても示唆に富むもので
した。
もし平清盛がこのことを知っていて、手を打っていたなら、
その後の平氏と源氏はどうなっていたでしょう。
ここで漸く、表題の“Boys and girls” に
命の可憐さを感ずることが多い。一日もあれ
繋がるわけだが、敢えて大志とは言わず、野
ば、地球の裏側に到達する僅か半径6,
400km
心的であれ(利己的な意も含めて)と言いた
の球体表面に、極寒の氷原から熱帯のジャン
いのである。研究所に限ったことではないが
グルまで多様な環境があり、様々な生物が生
hungry で ambitious な人が少なくなったよう
息する豊饒性は正に奇跡的であろう。地球の
に思う。若いうちは自分の力を磨いて欲しい
小ささとは逆に、人間の影響力は増加する一
し、それがなければ、いざというとき人を支
年の瀬を迎え、お忙しい毎日をお過ごしと存じます。寒さ
も一段と厳しくなってまいります。どうぞご自愛ください。
●シクラメン
会員の皆様には、今年一年当会の事業活動に格別のご高配
方である。地球温暖化懐疑論は影を薄め、温
えることはできない。年を経るに従い、夢破
暖化はもはや疑う余地のない現象と思われる。
れるに従って、おのずから世の役に立とうと
をいただき、有難うございました。
地球環境に対する人類の責任を感ぜずにはい
思うようになるものである。野心的と世の役
来年もよろしくお願い申し上げます。
られない。
に立つこと(利他的)とは、一見対立するよ
時の長さも然り。“人間50年”
、日数にする
うだが、両者とも自己を残そうとする本能、
と僅か 1 万 8 千日、“夢幻の如くなり”
。我が
すなわち生物学的な遺伝子を残すように、精
事ながら、“少年老い易く学成り難し”であ
神的な自己を残そうとする本能に根差してい
るが、一方で、人間の偉大さを感ぜずにはい
るように思う。これらが教育、文学などとな
られないこともある。源頼朝が鎌倉幕府を開
り、研究もまた然り。権勢を誇る者よりも、
いたのが約820年前、随分遠い昔のようだが、
芸術、科学はその命脈を保ち、後の世を動か
日数で約30万日前。馬上武士が揺られていた
す力となる。源氏物語は藤原道長よりも、フ
草深き武蔵野を僅か30万日で高層ビルが林立
ァラデーはメルボルン英国首相よりも後世に
する今日の東京に変えたのは、人間の力であ
影響が大きいように、我らも精々後の世に残
る。一人の力は小さくとも沢山集まれば、否、
る仕事をしたいものである。
一人でも長期間継続すれば、世界は変えられ
山田風太郎氏のエッセイに「あと千回の晩
ると信ずるに足る。とあるコーヒーの CM
飯」がある。残された日数は意外と少なく、
で流れていた「パパ、この世界は誰がつくっ
一日の重要性を感じつつも、今日も自堕落に
ているの」、「世界は誰かの仕事でできてい
過ごす日々ではある。それもまた良しとしな
る」に励まされた人も多いのではなかろうか。
がらも、自戒と反省を込めて。
(わたなべ)
「明日をひらく 四経連」
No.627
発 行■平成26年12月
発行所■四国経済連合会
〒760-0033 高松市丸の内2番5号
(ヨンデンビル本館 4 階)
TEL(087)
851 6032
FAX(087)
821 9384
http://yonkeiren.jp/
印 刷■牟 印刷株式会社
この会報は、環境保全のため植物油インキと再生紙を使用しています。
2
四経連 2014.12
表紙2-3.indd 2
2014.
12 四経連
27
14/12/24 9:53
表紙 2 − 3 四国経済連合会 会報12月号 H26.
最近は、海外出張の度に地球の小ささと生