2014 年 6 月 5 日(木) No.3787 IMAGICA ウェスト 「デジタルプロデュース部」を発足 デジタルワークフローのワンストップサービス実現 あらゆる案件に最大限のクオリティとパフォーマンスを提供 IMAGICA ウェスト デジタルプロデュース部のメンバー (後列左から) 斎藤大輔氏、土師翔太氏、鶴見祐輔氏、 服部稔氏、徳本武氏、佐々木宏氏 (前列左から) 川楠敏之氏、鈴木浩文氏、保木明元氏、 堂阪一弘氏 (円内は当日欠席の小林哲也氏) ㈱ IMAGICA ウェストが、4 月 1 日付で「デジタルプロデュース部」を発足させた。撮影、CG/ VFX、カラーグレーディング、編集およびプロデュースというデジタルワークフローに関わる部署 を統合させたことで実現する 真のワンストップサービス を提供する。同社では既に全社横断型 のチームによるワンストップサービスを提供しているが、ファイルベース化が進む映画やドラマ、 CM などあらゆる映像制作におけるニーズに対して、さらにシームレスな対応、クオリティとパフ ォーマンスのさらなる向上、4K/8K など新たな映像制作ニーズに対する窓口として、同部を機能 させていく。NHK の BS 時代劇『妻は、くの一∼最終章∼』においても、同部による効率的なデ ジタルワークフローが大きな効果を発揮しているという。 プロデュース/撮影/ CGI/VFX のメンバー 11 人が集結 新たに発足した「デジタルプロデュース部」は、渡辺浩部長をはじめ、プロデュースチーム、撮 影チーム、CGI チームの総勢 11 人が在籍する。 同社では、京都の撮影所の業務を多く手がけていく中で、 「全社横断型のチーム」により、撮影 から CG/VFX、編集、カラーグレーディング、納品までのトータルワークフローをワンストップで 提供するサービスを展開してきた。また、昨年度にはデジタルワークフローを啓蒙する「ワークフ 2014 年 6 月 5 日 第 3787 号 ローセミナー」 を開催、 ファイルベースの理論と概要を、関西の CM プロダクションなどに説明した。 デジタルプロデュース部 テクニカルコーディネーターの徳本武氏は〈セミナーで啓蒙してきた ファイルベースワークフローを実行する部隊として「デジタルプロデュース部」を発足しました。 撮影がファイルベース化され、ワークフローも複雑化・煩雑化してきている中で、従来は別組織だ った撮影、CG/VFX、プロデュースというデジタルワークフローに関わる部署を 1 つにまとめるこ とで、真の意味でのワンストップサービスの提供が実現できると考えました。もちろんこのサービ スは、映画やドラマだけでなく、CM など様々な領域にも提案していきたい。まさに、 「ここに任 せれば、後は全てやってくれる」という組織を目指していきます〉とする。 DIT /データマネージャーの保木明元氏は〈関西では、CM を発信源としてファイルベースがス タートしましたが、映画やドラマ撮影もフィルムからデジタルシネマカメラになっていく課程にお いて、DIT として CM で蓄積した知識・ノウハウや情報を、長尺のドラマにも適用していきたい。 関連部署間をデジタルプロデュース部がつなぎ、最適なワークフローの構築をさらに一歩前進させ たいと考えています〉とする。 同社では、グレーディングルームに 80TB の高速サーバーが接続されており、『妻は、くの一∼ 最終章∼』では、RAW ファイルを全てサーバーに蓄積してカラーグレーディングを行った。〈そ れができるのは関西で当社だけだと思います〉 (保木氏) さらに、大阪∼京都間、大阪∼東京間における高速ネットワーク化も構想中だという。 “メイド・イン・関西” の映画撮影・制作を 撮影 テクニカルエンジニアの川楠敏之氏は〈撮影チームとしては、デジタルプロデュース部の 発足を非常に心強く思っています。データ収録について、後処理の知識や情報を共有できる。撮影 はこれまで受け身中心でしたが、最適な機材選択や撮影手法に関しても、私たちから提案できるよ うになってきたことを実感しています。また、純然たる メイド・イン・関西 の映画撮影を経験 したい。 「関西に任せろ!」 といったムーブメントを起こしたいという気概を持っています〉 と話す。 VE /撮影デスクの鈴木浩文氏は、 〈多様なお客さまのニーズにマッチできるよう、予算も含めて 最適な機材選択をするためにも、今、幅広く様々な知識と情報を蓄積すべく猛勉強中です〉とする。 なお、鈴木氏はゲーム収録も担当。同社ではゲーム機のスペック向上に対応すべく、フル HD/ 60p 収録が可能な収録機材も導入した。〈単に撮影だけでなく、編集の手間を省き、効率的なワー クフローを構築しています〉(鈴木氏) 撮影現場に近いメリットを活かせる デジタルプロデュース部でも最大人員を要するのが CG/VFX チームだ。 同部 課長で VFX/ スーパーバイザーの佐々木宏氏は〈まだ発足したてなので、それぞれが集ま って「これから何ができるのか」という試行錯誤をしていきたいと思っています。ファイルベース 収録、特に RAW 収録においては、カラーグレーディングという工程が必須となり、ワークフロー の流れも変わったと思います。一方、当社はフィルム制作の技術とノウハウも有しており、フィル ムでもデジタルでも撮影手法にとらわれず、CG や VFX とのマッチングにおいて、当社ならでは のサービスが提供できると考えています〉とする。 CGI VFX プロデューサーの斎藤大輔氏は〈デジタルプロデュース部の最大メリットは、画質、機材、 第 3787 号 2014 年 6 月 5 日 VFX、合成といった技術面だけでなく、スケジュールなども 含めた全てを部署内で話し合えることだと考えています。お 客さまがプロフェッショナルでも、知識がない方でも、映画 でもドラマでも CM でも VP でも、どのような案件に対して も最大限のクオリティとパフォーマンスを提示でき、実現で きるのがデジタルプロデュース部だと確信しています〉と話 す。 CGI リードデジタルアーティストの鶴見祐輔氏は〈CG 自 体の工程は変わりませんが、ファイルベース化によって、 撮影などが CG 側に寄ってきた、共通言語が増えてきたと 感じています。CG では最近、物理的な情報等を CG に採り 入れることが多くなっていますから、カメラのレンズや現 場の光環境など、「撮影現場に近い」というデジタルプロデ ュース部のメリットをより活かすことができるのではない かと考えています〉とする。 オンラインエディター出身で CGI VFX アーティストの服 部稔氏は〈ワンストップサービスを提供していくためには、 ワークフローの効率化だけでなく、クオリティについても 深い情報共有が必要だと感じています。今までになかった 新しいことや面白いことにもチャレンジできそうな期待感 を感じています〉と話す。 『妻は、くノ一 ~最終章~』撮影風景 動き始めた「4K リマスター」にも対応 さらに、コンテンツの不足が叫ばれる 4K に関しても、デジタルプロデュース部の果たす役割 は大きくなりそうだ。 徳本氏は〈既存のフィルム作品を 4K で蘇らせる「4K リマスター」の流れが動き始めています。 4K に関しては、フィルムから 4K でキャプチャーし、4K で編集、4K で試写という「4K リマスタ ーのテスト版」を、既にテレシネ部門との連携で仕上げています。当社にはフィルム原版を直接か けられるテレシネがセンターサーバーに接続されている大きな強みがあります。これらを活用した 案件にもどんどん対応していきたい。さらに、撮影チームが有する 4K の知識やノウハウを、4K アウトプットにも活かせる窓口として機能させていきたいと考えています〉と話している。 ◇ IMAGICA ウェスト http://www.imagicawest.com/ 大阪市北区同心 1-8-14 TEL06-6353-1711
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