99 血清蛋白分画において極微量 M 蛋白を示したクリオグロブリン血症の解析 ◎松村 佳永子 1)、井本 真由美 1)、森嶋 祥之 1)、中江 健市 1) 近畿大学医学部附属病院 1) 【はじめに】クリオグロブリン(以下 CG)は 37℃以下で 混和後、37℃1時間温浴中で反応させ、超遠心後上清を得 析出沈殿し加温により再溶解する温度依存性蛋白であり、 て、IFE を実施した。 M 蛋白のみからなるⅠ型、M 蛋白+ポリクロナル免疫グロ 【結果】CG を溶解した状態の血清(以下試料 A)と CG 成 ブリンからなるⅡ型(混合型)およびポリクロナル免疫グ 分(以下試料 B)、CG 成分を取り除いた上清(以下試料 ロブリンのみからなるⅢ型に分類される。今回は血清蛋白 C)で蛋白分画、IFE を行った。血清蛋白分画では、試料 分画において極微量 M 蛋白検出が臨床診断補助に結びつい A に極微量の M 蛋白、試料 B に多量の M 蛋白が検出され た CG 血症の解析を行ったので報告する た。IFE においては試料 A、試料 B 共に塗布位置付近にす 【材料および方法】CG の型判定:血清を 4℃に2晩静置後 べての抗血清と反応するバンドを認めた。つぎに、4mol 尿 冷却遠心機にて 10000rpm 10 分間遠心し、上清を採り沈渣 素処理により CG による混濁が目視上改善されたが、 成分(CG 成分)を冷却した PBS で 1 回洗浄後、沈渣に IgM の L 鎖判定は不可能であった。さらに、プロテイン PBS100μl 添加し試料とした。型判定はタイタンジェル IFE キット(ヘレナ研究所)を使用し免疫固定法(以下 A 処理をして IgG を大幅に除去した後、IFE を行ったとこ IFE)で行った。血清蛋白分画はオリンパス AES320 を使用 このことから、CG は IgM-κ 型 M 蛋白とポリクロナル した。通常の IFE により、ポリクロナル IgG と IgM 型 IgG の混合型でⅡ型であることが判明した。 M 蛋白が確認されたが、型判定不可であったため、①前処 【まとめ】スクリーニング検査である蛋白分画で極微量の 理試薬として水素結合を切断する目的で 4mol 尿素処理(検 M 蛋白を見逃すことなく、患者の症状に応じて M 蛋白を検 体:処理液=3:1)後 IFE 実施、②患者血清から IgG を除去 索していくことは、治療方針の決定に役立つと考えられる。 するために、プロテイン A を使用し、患者血清と 1:1 に ろ、IgM 型 M 蛋白の L 鎖は κ 型であることが確認された。
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