大阪市立大学大学院 都市系専攻 橋梁工学研究室 山階 清永 ~砲台配置継手の合理的な設計法を提案する~ 75mm 鋼I型断面のフランジ連結部では,孔引きによる板厚の増加を避ける目的で写真に 示すような千鳥配置と矩形配置を組合せた砲台配置の摩擦接合継手が多く見受け られます.さらに,少数主桁橋の事例が多くなり,継手部では板厚・ボルト列数が増 加する傾向にあります.しかし,既往の実験・解析的研究により,厚板・多列継手で は,ボルトに作用する力が不均等になり,すべり耐力が低下することが明らかとなっ ています.そこで本研究では,厚板・多列となる継手を対象とし,砲台配置された高 力ボルト摩擦接合継手の荷重伝達機構をFEM解析により解明し,これに基づいた 合理的な設計法の提言を試みています. 75mm 最大ボルト列数 9列 研究目的:①砲台配置継手の荷重伝達機構の解明. ②多列となる砲台配置継手の設計法を提案する. 連結板 母材 40mm CL 高力ボルト 砲台配置の例 すべり係数 0.50 ~ボルト配置の影響~ 0.40 すべり係数 ボルト本数を変化させず,配置のみを変化させた結果,すべり先行型お よび降伏先行型それぞれの場合において,配置によるすべり係数への影 響は小さいことがわかりました. ~砲台配置おける先端ボルト行数の影響~ 0.30 0.20 0.10 同じボルト列数の砲台配置において,先端ボルト2行ケースと4行ケース では,すべり係数に与える影響は小さく,その差は2%程度となりました. 0.00 砲台配置 矩形配置 砲台配置 すべり先行型 矩形配置 降伏先行型 先端2行 先端4行 砲台配置(降伏先行型) すべり係数の比較 接合面の相対変位量 350 B 305 300 図中の縦軸 250 200 DSL(mm) A 測定点 0 150 砲台配置(A) 100 砲台配置(B) A 図中の縦軸 ~配置の違いが接合面の相対変位分布に与える影響~ ○継手外側 砲台配置では,矩形配置に比べて連結板の剛性 が小さいため相対変位量が大きくなります.砲台配 置ではコバ面の付近の相対変位量が増加する傾向 にあります. 板幅方向の距離(mm) Analytical Study on Load Transferring Mechanism of High Strength BoltedNew Friction Joints with Staggered Bolts Arrangements 14pt_Time Roman タイトル(英語) 砲台配置された高力ボルト摩擦接合継手の 荷重伝達機構に関する解析的研究 矩形配置(A) 50 矩形配置(B) ○継手内側 0 0 0.2 B 測定点 0 配置による相対変位分布への影響が小さい. 相対変位量(mm) すべり時における相対変位量の分布 先端ボルト行数 ~ミーゼス応力分布~ 先端2行ケース,4行ケース共に,すべり発生時において継手外側の ボルト孔近傍で局所的に降伏(降伏点:363.3N/mm2)することがわか りました.また,先端2行の方が先端ボルトに向かって応力が集中して いることがわかります. ~成果~ 以上より,砲台配置において先端ボルトを2行とした場合に先端ボルト が少ないことによる応力集中は発生するが,先端4行と比較して発生応 力の最大値が同等であり,同等以上のすべり係数が確保できることか ら,より抵抗断面の減少を緩和できる先端2行とした砲台配置を推奨で きると考えています. 参考文献 S,Mises (a) 先端2行 (b) 先端4行 すべり時における応力分布 1)独立行政法人土木研究所,公立大学法人大阪市立大学:高力ボルト摩擦接合継手の設計法の合理化に関する共同研究報告書,2012年1月 2)社団法人,日本道路協会:道路橋示方書・同解説,Ⅱ鋼橋編,2012年3月 3)石川誠,亀井義典,西村宣男,秋山寿行:千鳥配置された高力ボルト摩擦接合継手の強度と荷重伝達気候,構造工学論文集Vol.48A,2002年3月
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