2015-04-01 CAP-NEXT 01 (2) 問1:以下は、運輸安全委員会の報告書の抜粋である。この英文を読んで、続く設問に答えなさい。 AIRCRAFT SERIOUS INCIDENT INVESTIGATION REPORT < Summary of the Serious Incident > The occurrence covered by this report falls under the category of Clause 16, Article 166-4 of the Ordinance for Enforcement of the Civil Aeronautics Act of Japan as the case equivalent to “Case where aircraft operation is impeded by an encounter with air disturbance or other abnormal weather conditions, failure in aircraft equipment, or a flight at a speed exceeding the airspeed limit, limited load factor limit or operating altitude limit” as stipulated in Clause 13 of the same Article, and is classified as a serious incident. On September 6 (Tuesday) 2011, a Boeing 737-700, registered JA16AN, operated by Air Nippon Co., Ltd., nosedived after having an unusual attitude (upset) at around 22:49 Japan Standard Time (JST: UTC+9hr, unless otherwise stated all times are indicated in JST) at an altitude of 41,000 ft about 69 nm east of Kushimoto while flying from Naha Airport to Tokyo International Airport as the scheduled flight 140 of the All Nippon Airways. There were 117 people on board the aircraft, consisting of the captain (hereinafter referred to as “the PIC”), the first officer (hereinafter referred to as “the FO”), three cabin attendants (hereinafter referred to as “the CAs”) and 112 passengers (including one infant). Of these people, two cabin attendants sustained slight injuries. There was no damage to the aircraft. < Probable Causes > It is highly probable that this serious incident occurred in the following circumstances: During the flight, the FO erroneously operated the Rudder Trim SW while having an intention of operating the Door Lock Selector in order to let the PIC reenter the cockpit. The aircraft attitude became unusual beyond a threshold for maintaining the aircraft attitude under the autopilot control. The FO’s recognition of the unusual situation was delayed and his subsequent recovery operations were partially inappropriate or insufficient; therefore, the aircraft attitude became even more unusual, causing the Aircraft to lose its lifting force and went into nosedive. This led to a situation which is equivalent to “a case where aircraft operation is impeded.” < Recommendations > Recommendations to All Nippon Airways The Japan Transport Safety Board recommends All Nippon Airways, which has taken over the operational duties for Boeing 737 series aircraft from Air Nippon Co., Ltd. to take the following measures: ・Thorough implementation of basic compliance matters for cases when the aircraft is operated by a single pilot and training to this end ・Implementation of high altitude upset recovery training accompanied with stall warning and other events Page(1/4) 2015-04-01 CAP-NEXT 01 (2) (専門用語) Ordinance for Enforcement of the Civil Aeronautics Act 航空法施行規則 Rudder Trim SW ラダートリム・スイッチ Door Lock Selector ドアロック・セレクター Japan Transport Safety Board 運輸安全委員会 stall warning 失速警報 設問 A:本件は航空法施行規則の第何条第何号により、航空重大インシデントとして取り扱われること 5点 になったのか日本語で述べなさい。 設問 B:前段で「航空機の操縦に障害が発生した事態」として、何種類の例が挙げられているか、また 5点 その例を日本語で述べなさい。 設問 C:本件の発生日時、時刻を協定世界時で示しなさい。 5点 設問 D:本件によって怪我をした人は何名か、また、その症状を日本語で述べなさい。 5点 設問 E:本件が発生した直接的な原因を日本語で簡単に述べなさい。 5点 設問 F:運輸安全委員会の勧告は、なぜエアーニッポン株式会社ではなく、全日本空輸株式会社に出さ 10 点 れたのかの理由を日本語で述べなさい。 設問 G:運輸安全委員会が出した 2 つの勧告を日本語に訳しなさい。 10 点 Page(2/4) 2015-04-01 CAP-NEXT 01 (2) 問2:以下の文章を読んで、続く設問に答えなさい。 わが国では、法益侵害(人の死などの被害)があれば、責任者を厳罰に処すべきだと考える傾向 が強い(結果責任主義・応報主義) 。これは、犯罪者に向けられた正常な被害者感情であり一般国民 の感情でもある。司法機関が刑罰権を執行して被害者や国民の感情に応えることになっている。法 的責任には、刑事・民事・行政の三種類あるが、加害者を厳罰に処してほしいという理由で『刑法 の適用』に期待が寄せられる。 『刑法の適用』は個人(直近の行為者)に対するもので、法人に対して刑事責任を問うことは原 則的になじまない。運輸関連の事故(航空・鉄道・船舶)の多くは『システム性事故』であり、事 故の直前にいる者に刑事責任を負担させることは妥当とはいえない。 『システム性事故』は、人間と 機械や人間と人間が複雑にかかわるところで発生するので、事故原因を解明しなければ、責任の所 在は特定できない。 法益侵害(死亡、傷害)という結果だけからは、その事故は、故意(悪意)によるものなのか過 失(不注意)によるものなのか、または不可抗力(人間の注意力では防ぐことができないこと)に よるものなのかが判断できない。刑事責任を問う理由は、法益侵害という結果に対してなのか、そ れとも法益侵害に結びついた行為の悪質性なのか(結果責任主義 vs. 行為責任主義)。システム性事 故は、大小さまざまな要因を解析しなければ真の原因に辿りつかないし、これを怠ると同種の事故 が繰り返される可能性が高い。 捜査機関は、交通事故の解析については十分な実績があるが『システム性事故』については、専 門の調査機関に依存することになる。捜査により得られた資料は、原則非公開(刑訴法 47 条)で、 起訴後、公判で証拠として提出された場合を除いて非開示となり、将来の事故防止に利用できない。 システム性事故の原因は多岐にわたるので『調査機関』は推定される原因を複数あげて再発防止を 促すが『捜査機関』は結果に直結した要因のみに絞りをかけてそれを事故原因とする(刑法上の因 果関係)。 設問 A:わが国の一般国民の被害者感情について、筆者はどのように述べているか説明しなさい。 5点 設問 B:刑法の適用に期待を寄せるのは誰か、その期待に応えるのは誰か、また、その理由について、 5点 筆者はどのように述べているか、ひと続きの文で説明しなさい。 設問 C:筆者は、システム性事故について責任の所在は特定できないと述べているが、その理由につい 5点 て説明しなさい。 Page(3/4) 2015-04-01 CAP-NEXT 01 (2) 設問 D:筆者は、システム性事故について責任の所在を特定するには、どうすれば良いと述べているか 5点 端的に答えなさい。 設問 E:システム性事故が繰り返される可能性が高い場合とは何か、また、その理由について、筆者は 5点 どのように述べているか、ひと続きの文で説明しなさい。 設問 F:捜査機関による捜査には、どのような不都合があるのか、また、その理由について、筆者はど 5点 のように述べているか、ひと続きの文で説明しなさい。 設問 G:調査機関と捜査機関のそれぞれの役割を「~は~の機関」という表現で端的に説明しなさい。 5点 設問 H:この文章は、あるプレゼンテーションの抜粋である。このプレゼンテーションのタイトルを推 10 点 測しなさい。 設問 I:この文章を読んだ感想、及びシステム性事故の再発を防ぐための手段について、あなたの考え 10 点 を述べなさい。 Page(4/4)
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