>> 愛媛大学 - Ehime University Title Author(s) Citation Issue Date URL クリーニングクロップによる施設園芸由来の面源汚染抑 制技術の開発( 学位論文要旨 ) 近藤, 圭介 . vol., no., p.- 2014-03-17 http://iyokan.lib.ehime-u.ac.jp/dspace/handle/iyokan/3978 Rights Note 受理:2014-1-22,審査終了:2014-2-19 This document is downloaded at: 2015-01-31 23:05:32 IYOKAN - Institutional Repository : the EHIME area http://iyokan.lib.ehime-u.ac.jp/dspace/ (第3号様式)(Form No. 3) 学 位 論 文 要 旨 Dissertation Abstract 氏名: Name 近藤 圭介 学位論文題目: Title of Dissertation クリーニングクロップによる施設園芸由来の面源汚染抑制 技術の開発 学位論文要旨: Dissertation Abstract 施 設 園 芸 では,露 地 栽 培 に比 べて肥 料 の施 用 量 が多 く,降 雨 による肥 料 分 の流 亡 がな いため,土 壌 表 層 への塩 類 集 積 が問 題 となっている.集 積 した塩 類 を除 去 する目 的 で,一 般 的 には湛 水 が行 われているが,この方 法 は硝 酸 態 窒 素 の溶 脱 による地 下 水 汚 染 のみな らず,N 2 O 放 出 も引 き起 こすことが明 らかになっており,湛 水 に代 わる除 塩 技 術 の提 案 が求 められている.そこで本 研 究 では,クリーニングクロップと湛 水 の組 み合 わせによって,除 塩 と地 下 水 の硝 酸 態 窒 素 汚 染 防 止 ・N 2 O 放 出 抑 制 を同 時 に実 現 する面 源 汚 染 抑 制 技 術 の 開 発 を目 的 として,効 果 的 なクリーニングクロップ栽 培 方 法 の検 討 と本 技 術 の適 用 性 の評 価 を行 った. 第 2 章 では,クリーニングクロップの窒 素 吸 収 効 果 と窒 素 溶 脱 抑 制 効 果 の評 価 を行 うとと もに,窒 素 吸 収 に適 した草 種 の選 定 を行 うことを目 的 としてポット試 験 を行 った.供 試 草 種 を飼 料 用 トウモロコシ,ソルガム,ギニアグラスとして,スイカ栽 培 後 およびトマト栽 培 後 の土 壌 を 用 い て , 60 日 間 の 栽 培 を 行 っ た . そ の 結 果 , 窒 素 吸 収 率 は , 飼 料 用 ト ウ モ ロ コ シ で 76%,ソルガムで 67%,ギニアグラスで 63%と高 く,無 機 態 窒 素 溶 脱 量 は 70-80%減 少 した. この結 果 より,クリーニングクロップの草 種 としては飼 料 用 トウモロコシが適 しており,窒 素 溶 脱 抑 制 に有 効 であることが明 らかになった. 第 3 章 では,本 技 術 の硝 酸 態 窒 素 溶 脱 抑 制 効 果 と除 塩 効 果 を評 価 すること,土 壌 水 分 が硝 酸 態 窒 素 溶 脱 や N 2 O 放 出 へ及 ぼす影 響 の定 量 評 価 を行 うことを目 的 としてポット試 験 を 行 っ た . 供 試 草 種 を 飼 料 用 ト ウ モ ロ コ シ と し て , 土 壌 pF を 系 列 1(pF1.6) , 系 列 2(pF2.1),系 列 3(pF2.6)の 3 段 階 で変 化 させ,60 日 間 の栽 培 試 験 を行 うとともに,引 き続 き 湛 水 試 験 を行 った.その結 果 ,試 験 前 後 の土 壌 の EC 値 が 63-64%減 少 していたことから, 本 技 術 は,塩 類 の除 去 に効 果 的 であることが示 された.また,硝 酸 態 窒 素 溶 脱 量 はクリー ニングクロップを栽 培 した各 系 列 では,湛 水 のみの系 列 と比 較 して,83-95%削 減 された.ま た,クリーニングクロップ栽 培 系 列 の累 積 N 2 O 放 出 量 に関 しては,系 列 2 (pF 2.1 ± 0.3)で 最 も大 きかった. 第 4 章 では,高 知 大 学 農 学 部 内 の施 設 園 芸 ハウスに設 置 したライシメーター内 でクリー (第3号様式)(Form No. 3) ニングクロップ(飼 料 用 トウモロコシ)の栽 培 試 験 および湛 水 試 験 を行 い,本 技 術 の面 源 汚 染 抑 制 効 果 の 季 節 変 化 を 評 価 した. 栽 培 試 験 は, 夏 季 , 春 季 およ び冬 季 に栽 植 密 度 を 変 化 させた 3 試 験 区 で各 50 日 間 行 った.その結 果 ,クリーニングクロップ栽 培 と湛 水 の併 用 により,湛 水 のみと同 等 以 上 の除 塩 効 果 があった.また,クリーニングクロップの窒 素 吸 収 量 は夏 季 で 4.76-6.06 gN m - 2 ,春 季 で 10.6-12.2 gN m -2 ,冬 季 で 0.78-4.15 gN m - 2 となっ た.また,硝 酸 態 窒 素 の溶 脱 抑 制 率 は,夏 季 で 89-91%,春 季 で 87-89%,冬 季 で 61-82% となり,冬 季 の疎 植 区 以 外 では,いずれも 80%以 上 の溶 脱 抑 制 が可 能 であった.また,クリ ーニングクロップ栽 培 により,夏 季 には 68-84%の N 2 O 放 出 抑 制 効 果 がみられ,春 季 にも N 2 O の放 出 を抑 制 する傾 向 がみられた.本 試 験 結 果 から,気 温 が低 い冬 季 でも,栽 植 密 度 を 考 慮 す る こ と で, 夏 季 や 春 季 と 同 等 の 面 源 汚 染 抑 制 効 果 が 期 待 で き る こ と が 示 さ れ た. 第 5 章 では,クリーニングクロップによる面 源 汚 染 抑 制 技 術 の営 農 体 系 への適 用 性 の評 価 を目 的 に,窒 素 多 量 施 肥 条 件 での 50 日 間 の栽 培 試 験 および栽 培 期 間 を短 縮 した 40 日 間 の栽 培 試 験 を行 い,クリーニングクロップ(飼 料 用 トウモロコシ)の窒 素 吸 収 ポテンシャ ルおよび栽 培 期 間 短 縮 の 可 能 性 を 評 価 した.また,クリーニングクロップの面 源 汚 染 抑 制 機 構 に関 して,2010 年 ~2012 年 のライシメーター試 験 の結 果 に基 づく物 質 収 支 解 析 によ り検 討 を 行 った. その 結 果 ,クリ ーニ ング ク ロ ップの 窒 素 吸 収 ポ テ ンシャルは 12.2-17.2gN m - 2 であることが示 された.また,多 量 施 肥 した本 試 験 においても,硝 酸 態 窒 素 の溶 脱 量 が 20-27%抑 制 された.N 2 O 放 出 量 は,対 照 区 と比 較 し,栽 培 区 で 47%程 度 減 少 する傾 向 が みられた.栽 培 期 間 を 40 日 間 に短 縮 しても,栽 培 後 の土 壌 中 の無 機 態 窒 素 量 を春 季 の 50 日 栽 培 と同 程 度 まで低 減 できた.また,硝 酸 態 窒 素 溶 脱 抑 制 率 は 71-77%であり,十 分 高 い 面 源 汚 染 抑 制 効 果 が得 られた.2010 年 ~2012 年 のライシメーター試 験 の結 果 に基 づ く物 質 収 支 解 析 の結 果 から,硝 酸 態 窒 素 溶 脱 抑 制 および N 2 O 放 出 抑 制 がクリーニングク ロップの窒 素 吸 収 によるものと考 えられた. 以 上 より,クリーニングクロップと湛 水 の組 み合 わせによって,除 塩 と地 下 水 の硝 酸 態 窒 素 汚 染 防 止 ・N 2 O 放 出 抑 制 を同 時 に実 現 可 能 であることをポット試 験 およびライシメーター 試 験 により明 らかにした.
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