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新製品紹介
高放熱性アルミ塗装材「ファスコート® HS」
Highly Heat-Radiating Pre-Coated Aluminum Sheets “FUSCOAT HS”
1. はじめに
4. 性能
近年,電気電子機器装置は高性能化が進んでいる結果,様々
な熱源から発生する熱が以前に比べ多くなりつつあります。し
かし,その一方で省スペース化も進み,排熱ファンの装着がで
きなくなっているのが現状です。
図 2 に,
「ファスコート HS」の分光放射率チャートを示しま
す。また,表 1 に放射率に関する実験データを示します。
「ファスコート HS」は,放熱性に優れるだけでなく,基本性
能として JIS H4001(アルミニウム及びアルミニウム合金の塗
当然,電気電子機器装置内の温度は高くなり,本来の性能を
装板及び条)の基準を十分満足する材料です。
発揮するには阻害要因となっています。したがって,いかに外
部へ,熱を放出するかが大きなポイントとなります。
1.0
このような背景の中,当社は高放熱性アルミ塗装材「ファス
0.8
2. 特長
(1)放熱に対し重要波長である 4 ∼ 14 µm 領域で,理想黒体
に近い放射性能を確保しています。(神奈川県産業技術
総合研究所にて測定)
放射率
コート HS(heat solution)」を開発しました。
0.6
0.4
0.2
「ファスコート HS」の放熱性は,一般的に放熱性が優れ
るといわれている黒色アルマイトと比べ同等以上です。
(2)成形性能が優れ,成形自由度が大きいので,ポストアル
マイト,ポストコートからの切り替えの可能性もあり,
大幅なコストダウンが期待できます。
0
5
10
15
波長(µm)
図 2 「ファスコート HS」の分光放射率チャート(60℃)
Spectral reflectivity of FUSCOAT HS
3. 塗膜構造
図 1 に,塗膜構造を示します。塗装下地としてアルミニウム
素材に化成処理を行なった後,高放熱性樹脂皮膜層を設けてい
ます。
高放熱性皮膜
化成処理皮膜
アルミニウム
化成処理皮膜
図 1 「ファスコート HS」の塗膜構成
Coating layer structure of FUSCOAT HS
古河電工時報 第 114 号(平成 16 年 7 月) 60
新製品紹介 高放熱性アルミ塗装材「ファスコート® HS」
表1
各種材料の放射率測定結果
Measured emissivity of various materials
ファスコート(黒系)
0.75 ∼ 0.92
アルマイト皮膜
0.70 ∼ 0.80
アルミベア材
0.05 ∼ 0.10
ステンレスベア材
0.15
鋼ベア材
0.06
石炭滑面
0.80
注)理想黒体の放射率は 1.0
無塗装材に比べ黒系塗装は放射率が約 10 倍になります。
遮へい板
測定装置概要図
※熱電対 中央部
2ヶ所 温度測定
端部 4ヶ所 温度測定
ヒーター(10 mm□)
塗装アルミ板
熱電対
断熱材
放射率と中央部及び端部の温度
図3
100
90
80
<製品問い合わせ先>
70
温度(℃)
PDP のバックカバー成形例
PDP back cover panel
ユニファスアルミニウム株式会社
60
開発営業部開発営業グループ
50
TEL:03-5611-2398
40
FAX:03-5611-2413
30
20
10
0 0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
放射率
中央温度
温度差(中央−端部)
端部温度
放射率 0.1 のベア材(無処理材)に比べて,放射率 0.92 の「ファ
スコート HS」は,約 10℃程,材料温度が低下します。
5. 用途
「ファスコート HS」は,優れた放熱性および成形性を示すこ
とから,大型液晶 TV あるいはモニタバックカバー,PDP バッ
クカバー,IC 基板放熱板,床下暖房放熱板等に採用いただい
ております。
図 3 に,PDP バックカバーへの使用事例を示します。
古河電工時報 第 114 号(平成 16 年 7 月) 61