基礎・分子薬理学 2014 年 定期試験 (医療・創薬2年)

基礎・分子薬理学 2014 年 定期試験 (医療・創薬2年)
I. 生体内でアミノ酸からアドレナリン(エピネフリン)が生合成されるまでの過
程をすべて詳細に説明しなさい(酵素は正式名記載。構造式不
要)
。
II. 生体内でアミノ酸からセロトニンが生合成されるまでの過程をすべて
詳細に説明しなさい(酵素は正式名記載。構造式不要)。
III. 生体内でアミノ酸からヒスタミンが生合成されるまでの過程をすべて
詳細に説明しなさい(酵素は正式名記載。構造式不要)
。
IV. 次の各問いに対する答えをマークシートに書きなさい。
問 1 次の記述のうち正しいのはどれか。2 つ選べ。
1 アドレナリンα1 受容体は Gq 蛋白と共役し、刺激によりホスホ
リパーゼ A2 を活性化する。
2 アドレナリンα2 受容体は Gi 蛋白と共役し、刺激により細胞内
サイクリック AMP 濃度を低下させる。
3 アドレナリンβ1 受容体は Gs 蛋白と共役し、刺激により細胞内
サイクリック AMP 濃度を上昇させる。
4 ドパミン D2 受容体は Gs 蛋白と共役し、刺激により細胞内サイ
クリック AMP 濃度を上昇させる。
5 ノルアドレナリンは主に MAOB、ドパミンは主に MAOA によっ
て分解される。
問 2 次の記述のうち正しいのはどれか。2 つ選べ。
1 レセルピンは、小胞モノアミントランスポーターを阻害してド
パミン、ノルアドレナリンなどを枯渇させる。
2 アンフェタミンは、ドパミントランスポーターを阻害する肥満
治療薬である。
3 ヨヒンビンは、ノルアドレナリン神経終末に発現するアドレナ
リンα2 受容体を刺激することで、ノルアドレナリンの遊離を抑
制する。
4 血管平滑筋に発現するアドレナリンα1 受容体が刺激されると、
細胞質 Ca2+濃度が上昇し、活性化されたカルモジュリンがミオ
シン軽鎖キナーゼを活性化し、血管収縮・血圧上昇がおこる。
5 フロプロピオンは、MAOA を阻害し、Oddi 括約筋を弛緩させる
ので、膵炎、胆石・胆道炎治療薬として用いられる。
問 3 次の記述のうち正しいのはどれか。2 つ選べ。
1 セロトニン 5-HT1 受容体は、Gq と共役する。
2 セロトニン 5-HT2 受容体は、Gi と共役する。
3 セロトニン 5-HT3 受容体は、Cl-イオンチャネルと共役する。
4 セロトニン 5-HT4 受容体は、Gs と共役する。
5 末梢組織では、セロトニンはエンテロクロマフィン細胞と血小
板に豊富に存在する。
問 4 次の記述のうち正しいのはどれか。2 つ選べ。
1 末梢組織では、ヒスタミンはマスト細胞とエンテロクロマフィ
ン様細胞に豊富に存在する。
2 ヒスタミン H1 受容体は、Gq と共役する。
3 ヒスタミン H2 受容体は、Gi と共役する。
4 ヒスタミン H1 受容体は、ヒスタミン神経の自己受容体として機
能し、ヒスタミン遊離を抑制する。
5 エピナスチンは、血液脳関門透過性が高いので眠気を生じやす
く、抗ムスカリン作用が強いので緑内障や前立腺肥大に伴う排
尿障害を悪化させる。
問 5 次の記述のうち正しいのはどれか。2 つ選べ。
1 シクロオキシゲナーゼは細胞膜リン脂質からアラキドン酸を遊
離させる。
2 ホスホリパーゼ A2 はアラキドン酸からロイコトリエン A4 を産
生する。
3 5-リポキシゲナーゼはアラキドン酸からプロスタグランジン H2
を産生する。
4 プロスタグランジン F2αは、Gq と共役する FP 受容体を介して子
宮筋を収縮させ、眼圧を低下させる。
5 プロスタグランジン I2 は、Gs と共役する IP 受容体を介して血小
板凝集抑制作用、血管拡張作用、腎血流増加作用を示す。
問 6 次の記述のうち正しいのはどれか。2 つ選べ。
1 低用量アスピリンは、血管内皮でのプロスタサイクリン産生よ
りも血小板でのトロンボキサン A2 産生を強く抑制する。
2 セレコキシブは COX-2 を選択的に阻害するので、他の NSAIDs
より胃潰瘍や血栓症(心筋梗塞・脳卒中)の危険が少ない。
3 魚油摂取により増加するトロンボキサン A3 とプロスタグランジ
ン I3 はいずれも血小板凝集に影響しない。
4 アスピリンによる COX 阻害によってアラキドン酸からのロイコ
トリエン類の産生が増加し、喘息発作が起こることがある。
5 プロスタグランジン E2 は血小板凝集作用、血管収縮作用、気管
支収縮作用を有する。
問 7 次の記述のうち正しいのはどれか。2 つ選べ。
1 モルヒネなどのオピオイドは腸管運動を促進し下痢を誘発する。
2 アプレピタントは CGRP1 受容体を遮断し、抗がん薬による遅発
性嘔吐を抑制する。
3 カルペリチドは、グアニル酸シクラーゼ内蔵一回膜貫通型受容
体を刺激して利尿作用と血管拡張作用を示すので心不全治療に
使用される。
4 ボセンタンはエンドセリン ETA および ETB 受容体を遮断すると
で、肺高血圧症を改善する。
5 サブスタンス P は一次知覚神経に存在し、痛みの情報伝達を抑
制している。
問 8 次の記述のうち正しいのはどれか。2 つ選べ。
1 レニンは肝臓におけるアンギオテンシノーゲンの産生を促進す
る。
2 アンギオテンシン II は、副腎皮質球状帯からのアルドステロン
分泌を誘起し、水分貯留を促進して血圧を上昇させる。
3 アンギオテンシン II は、腎の糸球体内圧を上昇させて腎障害を
悪化させる。
4 アンギオテンシン II は、心肥大を抑制する。
5 レニンは、腎血流増加に伴って傍糸球体細胞から遊離される。
問 9 次の記述のうち正しいのはどれか。2 つ選べ。
1 血漿中では、カリクレインによって高分子キニノーゲンからブ
ラジキニンが産生される。
2 ブラジキニンは血管透過性亢進作用、内皮 NO 依存性血管拡張
作用、気管支収縮作用、知覚神経興奮作用などを有する。
3 カプトプリルは、アミノペプチダーゼを阻害することでカリジ
ンの代謝を抑制するので空咳を誘起する。
4 アンギオテンシン II は、AT2 受容体を介して血管収縮作用を示す。
5 心不全の治療には、アンギオテンシン変換酵素阻害薬は使用さ
れるが、アンギオテンシン II の受容体遮断薬は用いられない。
問 10 次の記述のうち正しいのはどれか。2 つ選べ。
1 インクレチンは dipeptidyl peptidase-4 によって産生される。
2 消化管内の栄養素などの刺激で、十二指腸の K 細胞から GLP-1
(glucagon-like peptide 1)が産生される。
3 消化管内の栄養素などの刺激で、回腸および結腸の L 細胞から
GIP (glucose-dependent insulinotropic polypeptide)が産生される。
4 GLP-1 受容体と GIP 受容体はいずれも Gs 共役 7 回膜貫通型受容
体である。
5 リラグルチドは、膵ランゲルハンス島β細胞において GLP-1 受
容体を刺激してインスリン分泌を促進する。
問 11 次の記述のうち正しいのはどれか。2 つ選べ。
1 ADP は P2Y1 受容体を介してアデニル酸シクラーゼを阻害し、
P2Y12 受容体を介してホスホリパーゼ C を活性化することで血
小板凝集を誘起する。
2 クロピドグレルは、P2Y1 受容体を遮断することで細胞内サイク
リック AMP を上昇させ、PKA を活性化させて血小板凝集を抑
制する。
3 外来性に投与した ATP は体内でアデノシンに変換され、アデノ
シン受容体を介して血管拡張作用を示すので、心不全治療薬と
して用いられる。
4 ATP により活性化される P2X 受容体はカチオンチャネル内蔵型
受容体である。
5 チクロピジンは、P2Y12 受容体を遮断することで IP3 とジアシル
グリセロールの産生を抑制し、心筋梗塞や脳梗塞を予防する。
問 12 次の記述のうち正しいのはどれか。2 つ選べ。
1 eNOS と nNOS はカルシウムによって活性化される。
2 NO は可溶性グアニル酸シグラーゼを活性化し、産生されたサイ
クリック GMP が PKG を活性化することで血管を拡張させる。
3 iNOS は血小板や神経細胞に豊富に発現している。
4 アセチルコリンは血管平滑筋細胞に発現する M3 受容体を活性化
することで細胞内カルシウム濃度を増加させ、NO 産生を高めて
血管拡張を起こす。
5 シルデナフィルはグアニル酸シクラーゼを活性化することで海
綿体のサイクリック GMP 濃度を増加させ、勃起反応を誘起する。
問 13 次の記述のうち正しいのはどれか。2 つ選べ。
1 統合失調症の陽性症状には、中脳黒質から線条体に至るドパミ
ン神経系の過剰興奮が関与する。
2 統合失調症の陰性症状には、中脳腹側被蓋から大脳前頭前野に
至るドパミン神経系の機能低下が関与する。
3 統合失調症の陰性症状には、セロトニン 5-HT2A 受容体の過剰興
奮が関与する。
4 統合失調症の病態には、グルタミン酸神経系の過剰興奮が関与
する。
5 統合失調症治療薬ハロペリドールにより、隆起核から下垂体漏
斗に至るドパミン神経が遮断されるとプロラクチン分泌が減少
する。
問 14 次の記述のうち正しいのはどれか。2 つ選べ。
1 クロルプロマジンは、定型抗精神病薬で、錐体外路系副作用が
強い。
2 アリピプラゾールは、SDA に属する非定型抗精神病薬で、陽性
症状と陰性症状の両方を抑制する。
3 リスペリドンは、DSS に属する非定型抗精神病薬で、ドパミン
D2 受容体の部分アゴニストなので錐体外路系副作用が少ない。
4 スピペロンは、非定型抗精神病薬で、錐体外路系副作用が少な
い。
5 クロザピンは、MARTA に属する非定型抗精神病薬で、高血糖
を起こす危険がある。
問 15 次の記述のうち正しいのはどれか。2 つ選べ。
1 三環系抗うつ薬であるアミトリプチリンは、抗コリン作用が強
く、夜尿症の治療に用いられる。
2 ミルタザピンは、ノルアドレナリン神経上の α2 受容体、セロト
ニン神経上の α2 ヘテロ受容体、セロトニン 5-HT1A 受容体および
5-HT4 受容体を遮断することで抗うつ作用を示す。
3 トラゾドンは、セロトニン再取込みを阻害するほか、代謝物が
5-HT2A 受容体を遮断し、5-HT1 受容体部分アゴニストとして作用
する抗うつ薬である。
4 フルボキサミンは、ノルアドレナリンとセロトニンの再取込み
を選択的に阻害するが、他の副作用の少ない SNRI である。
5 ミルナシプランは、セロトニンの再取込みを選択的に阻害する
が、他の副作用の少ない SSRI である。
問 16 次の記述のうち正しいのはどれか。2 つ選べ。
1 メチルフェニデートは、ドパミン D2 受容体遮断作用を介してナ
ルコレプシーを改善する。
2 アトモキセチンは、選択的にセロトニン再取り込みを阻害し、
注意欠陥多動性障害 ADHD を改善する。
3 三環系抗うつ薬は、アドレナリンα1 受容体遮断作用を介して口
渇、便秘、尿閉塞を、抗コリン作用により眠気を、またヒスタ
ミン H1 受容体遮断作用により起立性低血圧を誘起する。
4 躁病治療薬のリチウムは、腎障害患者や食塩制限患者では中毒
を起こしやすい。
5 躁病の治療には、Na+チャネル遮断作用を有するカルバマゼピン
や GABA トランスアミナーゼ阻害作用を有するバルプロ酸も使
用される。
問 17~25 各記述に該当する薬を選択欄1より1つ選べ。
[選択欄 1:①ペロスピロン、②デュロキセチン、③ガベキサート、
④セラトロダスト、⑤ミアンセリン、⑥シタグリプチン、⑦ニトロ
グリセリン、⑧ザフィルルカスト、⑨バルサルタン、⓪パロキセチ
ン]
問 17 選択的セロトニン再取込み阻害作用を有する抗うつ薬。
問 18 一酸化窒素供与体で、狭心症の発作を抑制する。
問 19 アンギオテンシンの AT1 受容体遮断薬で高血圧、糖尿病性
腎症、心不全の治療薬として使用する。
問 20 選択的ノルアドレナリン・セロトニン再取込み阻害作用を
有する抗うつ薬。
問 21 DPP-4 を阻害する 2 型糖尿病治療薬。
問 22 アドレナリン α2 受容体を遮断することでノルアドレナリン
遊離を促進する抗うつ薬。
問 23 カリクレインを含むプロテアーゼを幅広く阻害する薬で、膵
炎および DIC 治療薬として用いる。
問 24 5-HT2A および D2 受容体遮断作用を有する非定型抗精神病薬。
問 25 プロスタノイド TP 受容体遮断薬で、血小板凝集抑制作用、
気管支収縮抑制作用を有し、喘息治療薬として用いられる。
問 26~34 各記述に該当する薬を選択欄 2 より1つ選べ。
[選択欄 2:①フルフェナジン、②ベラプロスト、③ノルトリプチリ
ン、④ミソプロストール、⑤オキサトミド、⑥モンテルカスト、⑦
ラタノプロスト、⑧インドメタシン、⑨ジノプロスト、⓪オランザ
ピン]
問 26 5-HT2A および D4 受容体遮断作用と比較的弱い D2 遮断作用
を有する非定型抗精神病薬で、陽性症状と陰性症状を抑制する。
問 27 5-リポキシゲナーゼを阻害する喘息治療薬。
問 28 第一世代三環系抗うつ薬で、主にノルアドレナリン再取り込
み阻害作用によって抗うつ作用を示す。
問 29 プロスタノイド FP 受容体を刺激する緑内障治療薬。
問 30 シクロオキシゲナーゼを阻害する抗炎症・鎮痛薬。
問 31 プロスタグランジン E1 アナログで、消化性潰瘍治療薬とし
て使用する。
問 32 フェノチアジン系定型抗精神病薬で陽性症状を抑制する。
問 33 プロスタノイド IP 受容体を刺激することで末梢循環を改善
する。
問 34 ロイコトリエン CysLT1 受容体遮断薬で喘息治療に用いる。
問 35~43 各記述に該当する薬を選択欄 3 より1つ選べ。
[選択欄 3:①カンデサルタン、②ジノプロストン、③モサプリド、
④スマトリプタン、⑤サルポグレラート、⑥オンダンセトロン、⑦
タンドスピロン、⑧プランルカスト、⑨オザグレル、⓪硝酸イソソ
ルビド]
問 35 一酸化窒素供与体で、狭心症の発作を抑制する。
問 36 アンギオテンシンの AT1 受容体遮断薬で高血圧、糖尿病性
腎症、心不全の治療薬として使用する。
問 37 トロンボキサン合成酵素を阻害する脳血栓・喘息治療薬。
問 38 プロスタグランジン E2 製剤で、
陣痛促進薬として使用する。
問 39 5-HT2 受容体遮断薬で抗血小板薬として使用する。
問 40 5-HT3 受容体遮断薬で癌化学療法に伴う嘔吐を抑制する。
問 41 5-HT4 受容体部分アゴニストで、胃腸機能障害改善薬として
使用する。
問 42 5-HT1B/5-HT1D 受容体アゴニストで、片頭痛治療に使用する。
問 43 5-HT1A 受容体アゴニストで、抗不安薬として使用する。
問 44~52 各記述に該当する薬を選択欄 4 より1つ選べ。
[選択欄 4:①ドブタミン、②ドロキシドパ、③タムスロシン、④
メトプロロール、⑤ラメルテオン、⑥ブロモクリプチン、⑦プロ
カテロール、⑧プラゾシン、⑨ジフェンヒドラミン、⓪シメチジ
ン]
問 44 メラトニン MT1 および MT2 受容体を刺激する不眠症治療
薬。
問 45 ヒスタミン H2 受容体を遮断する胃潰瘍治療薬。
問 46 アドレナリンβ2 選択的アゴニストで喘息治療に用いる。
問 47 アドレナリンα1A 受容体選択的遮断薬で前立腺肥大症に伴
う尿閉塞治療に用いる。
問 48 アドレナリンα1 受容体遮断薬で高血圧治療に用いる。
問 49 アドレナリンβ1 受容体刺激薬で心不全治療に用いる。
問 50 アドレナリンβ1 受容体遮断薬で高血圧や狭心症の治療に用
いる。
問 51 生体内で芳香族 L アミノ酸脱炭酸酵素によって直接ノルア
ドレナリンに変換され、パーキンソン病のすくみ足を改善する。
問 52 ドパミン D2 受容体刺激薬で、パーキンソン病治療に用いる。
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