平成26年度 研究成果発表会 平成 26 年度 研究成果発表会 に お い 識 別 装 置 及 び GC-MS を 活 用 し た に お い 分 析 事 例 ○ 佐 々 木 直 里 *1) 1. 目 的 ・ 背 景 都 産 技 研 で は 、 平 成 25 年 10 月 に 開 設 し た 生 活 技 術 開 発 セ ク タ ー に お い て 「 に お い 」 に 関 す る 技 術 支 援 を 行 っ て い る 。 新 た に 導 入 し た に お い 識 別 装 置 ( 図 1) は 、 に お い の 質 や 強さを数値化できる装置であり、サンプル間の比較やクレーム品のにおいの強さの違いを 客 観 的 に 評 価 す る こ と が で き る 。 ま た 、 ガ ス ク ロ マ ト グ ラ フ 質 量 分 析 計 ( GC-MS) や に お い 嗅 ぎ GC を 併 用 す る こ と で 、 香 気 成 分 や 悪 臭 の 原 因 物 質 の 特 定 を 行 う こ と が で き る 。 本 稿 で は 、 に お い 識 別 装 置 及 び GC-MS を 活 用 し た 柔 軟 剤 の 分 析 事 例 に つ い て 報 告 す る 。 2. 研 究 内 容 (1)実験方法 柔軟剤の代表的なにおいである柑橘系、フロー ラル系、ムスク系、スパイシー系から 5 種を選定 する。次に、臭気測定用サンプルバックにそれぞ れ 0.1mL 添 加 し 、窒 素 ガ ス を 充 填 し て 一 定 時 間 静 置して、におい識別装置によって測定する。 におい識別装置 臭気指数相当値 図 1. (2)結果及び考察 に お い 識 別 装 置 に よ る 測 定 結 果 を 図 2~ 図 4 に 示す。図 2 は、においの強さを評価した臭気指数 相当値であるが、選定した 5 種に大きな違いはな A B C D E い。しかし、図 3 に示した基準 9 ガス※に対する 図 2. 臭 気 指 数 相 当 値 「類似度」では、チャートの形状 硫化水素 A(柑橘) からサンプル D が他の 4 種に比べ 炭化水素系 硫黄系 B(フローラル) てにおいの質が異なることが考察 C(ムスク) される。これは、図 4 に示す 5 種 D(スパイシー) アンモニア E(フローラル) の 柔 軟 剤 間 で の 「 類 似 度 」 を 測 定 芳香族系 し た 結 果 よ り 、サ ン プ ル D が 他 の 4 種と比べて類似度が低いことか エステル系 アミン系 らも明らかである。そこで、 GC-MS に よ り 、こ の に お い の 質 の 有機酸系 アルデヒド系 違いの要因となっている香気成分 図 4. 選 定 し た 柔 軟 剤 間 の 図 3. 基 準 9 ガ ス ※ に 対 す る について分析を行ったところ、サ 類似度(%) 類似度(%) ン プ ル D の 8~ 9 分 付 近 に 大 き な ピークが検出され、他の 4 種と異 なる成分が含有していることが確 A 認 で き た ( 図 5)。 ※におい識別における基準 9 ガス B 3. 今 後 の 展 開 に お い 識 別 装 置 及 び GC-MS を 活 用 す る こ と で 、 サンプル間のにおいの違いを数値及び成分特定に よって評価が可能となった。さらに、新たに導入 し た に お い 嗅 ぎ GC を 併 用 す る こ と で 、 人 間 の 鼻 でしか検知できない微量成分の検出など、広範囲 のにおい分析につながることが予想される。 *1)生 活 技 術 開 発 セ ク タ ー | 72 | C D E 図 5. 選 定 し た 柔 軟 剤 の TIC
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