研 究 通 信 No.3 東京都立墨田特別支援学校 平成26年9月1日(月) ) 8月1日(金)、ケーススタディ研修会を行いました。本校に在籍する児童・生徒のケースについ て、教育支援員から、日々の教育活動に活かせるアドバイスを受け、具体的な手法について学ぶ研修 会です。 『子どもへの支援について』というテーマで、講師に、本校の教育支援員である松本美代子先生(言 語聴覚士)、山出智世先生(臨床発達心理士)、中村江里先生(理学療法士)をお迎えいたしました。 各専門家の多面的な視点でのアプローチで、ケースについて考えを整理し、深めることができる有 意義な研修会となりました。 研修の内容を少しご紹介します。 ≪ケース①行動のコントロールに課題がある児童について≫ ~課題の分析~ ・理解と表出の力に差があるために、行動の調節ができない ・筋力が弱いため、行動の調節ができない ~考え方と対応について~ 理解と表出に差があると生活しにくい。表現の力を付ける必要がある。また、身体の動きでは、静止動作と いうのは一番難しく、動いている方が楽なので、筋力が弱いと止まることができず、動き続けたり、姿勢が崩 れたりする。 授業の手だてとしては、立つ場所を作り、動きのパターンを決め、どうすると達成できるのか、短いパター ンで繰り返し練習する。そして、一つ一つの行動に達成感を得られるようにする。体育や音楽の学習で、『止 まる』『静けさ』とは、どういうことかを頭と身体で感じる練習をする。止まれないときは軸を支えて支援す る。何をしたらよいのかをピンポイントで伝え、課題のモデルを正しくきっちり見せることが大切である。 『赤 揚げて』『だるまさんが転んだ』などのゲームも有効である。 ≪ケース②WISC-Ⅳを実施した生徒について≫ ~課題の分析~ ・全体的な知的水準を示す検査結果(IQ)では、具体的な支援方針は明らかにはならない。 ~考え方と対応について~ WISC-Ⅳを実施し、 「言語理解」 「知覚推理」 「ワーキングメモリー」 「処理速度」の4つの指標を分析す る中で、どういう所に高い能力をもっているかが分かり、この部分を伸ばしていくことで将来の進路に活かし ていける。また、どういう所に弱さがあり、それを補うためにはどうしたらよいのか、具体的な支援が見えて くる。そして、IQでは分からなかった個人内差が、本人の中での苦しみになっていることを周囲(保護者、 教員)が理解することが大切である。 できるところ、できないところを明確にし、何ができないのか、何でできないのかを分析していく。ケース の生徒は、検査からワーキングメモリーに課題があることがわかり、『メモをとる』という手立てを伝えた。 個々の課題を分析したうえで、できるようにすることだけに捕らわれず、違う特性を活かして得意なことを 担当していくことも考えていく。 早速、2学期からの教育活動に活かしていきます!!
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