状態変化:化学反応

酸とは
物理化学II
状態変化:化学反応
化学平衡(3)
酸とは
例 酢酸
ブレンステッドの定義
H2O
他の分子またはイオンにプロトン(H+)を移動また
は、供与することのできる分子またはイオン
•酸・塩基とは何か
実際にはH+をH2Oに差し出してヒドロニウムイオ
ンH3O+が形成される
例 酢酸
•pH, pKaについて
CH3COOH ! CH3COO- + H+
酸
共役塩基
H 2O
CH3COOH ! CH3COO- + H+
酸
共役塩基
•緩衝液について
塩基とは
塩基とは
ブレンステッドの定義
他の分子またはイオンからプロトン(H+)を受け取
ることのできる分子またはイオン
ヒドロニウムイオンH3O+濃度:[H3O+]
H 2O
NH3 + H+ ! NH4+
塩基
共役酸
水酸化物イオン濃度:[OH-]
プロトンH+はH2Oから供給され、水酸化物イオン
OH-が生成する
H 2O
NH3 + H+ ! NH4+
塩基
共役酸
全ての水溶液について以下の関係が成り立つ
[H3O+] [OH-]=1 10-14
ただし、温度が25℃のとき
pH:power of Hydrogen(水素の累乗)
pH = -log10[H3O+]
身近な物質のpH
水素イオン濃度とpH
[H3O+]=[OH-]=10-7 M←中性
pH = -log10[H3O+]
pH=7のとき、
[H3O+]=[OH-]=10-7 M←中性
1
コーラ
2
3
血液
トマト
牛乳 純水
ジュース
4
酸性雨
玉川温泉(秋田)
[H3O+] [OH-]=1 10-14
ただし、温度が25℃のとき
pH:power of Hydrogen(水素の累乗)
レモン
ジュース
全ての水溶液について以下の関係が成り立つ
NH3 + H2O ! NH4++ OH塩基
水酸化物イオン
pHについて
pH=7のとき、
水素イオン濃度と水酸化物イオン濃度
例 アンモニア
例 アンモニア
CH3COOH+H2O ! CH3COO- + H3O+
酸
ヒドロニウムイオン
5
6
正常な雨水
7
海水
レモン
ジュース
1
コーラ
2
3
血液
トマト
牛乳 純水
ジュース
4
酸性雨
玉川温泉(秋田)
5
6
正常な雨水
7
海水
8
石鹸
9 10 11 12 13 14
都幾川温泉(埼玉)
石鹸
[H3O+]=10-pH
8
9 10 11 12 13 14
都幾川温泉(埼玉)
pHを1下げるためには、酸濃度を10倍にし
なければならない(塩酸等の場合)
酢酸と水の平衡(酸定数)
CH3COOH + H2O ⇄ H3O+ + CH3COO-
酢酸と水の平衡(酸定数)
希薄溶液に限ると
水の活量は1(純水の活量の値)に近いので
酸定数
酢酸イオンと水の平衡(塩基定数)
[ ]はモル濃度(mol L-1)
希薄溶液に限ると
[ ]はモル濃度(mol L-1)
水の活量は1(純水の活量の値)に近いので
CH3COO- + H2O ⇄ CH3COOH + OH塩基定数
酢酸イオンと水の平衡(塩基定数)
酸と共役塩基の関係
O+
CH3COOH + H2O ⇄ H3
+
CH3COO-
酸と共役塩基の関係
CH3COOH + H2O ⇄ H3O+ + CH3COO-
pH = -log([H3O+])
両辺の対数をとると、
水の自動イオン化定数
pH = -log10[H3O+]
25℃では、
KW=1.008 10-14
酸と共役塩基の関係
CH3COOH + H2O ⇄
H3O+
+
CH3COO-
演習1
酢酸の0.050M溶液のpHが3.02と測定された。
平衡定数Kaはいくらか?
CH3COOH + H2O ⇄ H3O+ + CH3COO-
演習1
酢酸の0.050M溶液のpHが3.02と測定された。
平衡定数Kaはいくらか?
CH3COOH + H2O ⇄ H3O+ + CH3COO-
1のとき、pH=pKa
" [CH 3 CO!2 ] %
''
pH = pK a + log $$
# [CH 3CO 2 H] &
ヘンダーソン・ハッセルバルヒ式
化学種
最終物質量(mol)
変化量(mol)
最終物質量(mol)
CH3COOH
CH3COO-
H3O+
演習1
演習1
酢酸の0.050M溶液のpHが3.02と測定された。
平衡定数Kaはいくらか?
CH3COOH + H2O ⇄ H3O+ + CH3COO化学種
CH3COOH
0.050
最終物質量(mol)
CH3COO-
0
H3O+
1.0
10-7
酢酸の0.050M溶液のpHが3.02と測定された。
平衡定数Kaはいくらか?
CH3COOH + H2O ⇄ H3O+ + CH3COO化学種
CH3COOH
最終物質量(mol)
変化量(mol)
最終物質量(mol)
最終物質量(mol)
CH3COOH
CH3
COO-
CH3COOH
0
CH3COO-
1.0 10-7
H3O+
H3O+
演習1
酢酸の0.050M溶液のpHが3.02と測定された。
平衡定数Kaはいくらか?
CH3COOH + H2O ⇄ H3O+ + CH3COO化学種
初期物質量(mol)
変化量(mol)
最終物質量(mol)
CH3COOH
0.050
CH3
COO-
0
10-4
解離時の変化量は?
0.050
H3
1.0
CH3COO-
0.050
-9.6
変化量(mol)
初期の物質量は?
演習1
9.6
0
10-4
H3O+
1.0
9.6
10-7
10-4
CH3COOH + H2O ⇄ H3O+ + CH3COO化学種
CH3COOH
CH3COO-
H3O+
最終物質量(mol)
0.050
0
1.0 10-7
変化量(mol)
最終物質量(mol)
-9.6 10-4
9.6 10-4
10-3.02= 9.6 10-4
-9.6
10-4
0.049
平衡時の物質量は?
9.6
10-4
9.6 10-4
9.6 10-4 9.6 10-4
CH3COOH 0.050-9.6 10-4= 0.049
CH3COOH3
O+
0+9.6 10-4= 9.6 10-4
1.0 10-7 +9.6 10-4 9.6 10-4
演習2
演習2
乳酸の平衡定数Kaは1.4 10-4である。0.050M溶
液のpHはいくらか?
乳酸の平衡定数Kaは1.4 10-4である。0.050M溶
液のpHはいくらか?
HOLac + H2O ⇄ H3O+ + OLac-
HOLac + H2O ⇄ H3O+ + OLac-
O+
化学種
10-7
最終物質量(mol)
-9.6 10-4 9.6 10-4 9.6 10-4
0.049
酢酸の0.050M溶液のpHが3.02と測定された。
平衡定数Kaはいくらか?
9.6 10-4 9.6 10-4
平衡定数Kaは? 1.9%が解離
HOLac OLac-
H3O+
0.050
0
1!10-7
変化量(mol)
-0.050!
0.050!
0.050!
最終物質量(mol)
0.050(1-!)
0.050!
0.050!
=1.8 10-5
演習3
乳酸の平衡定数Kaは1.4 10-4である。0.050M溶
液のpHはいくらか?
HOLac + H2O ⇄ H3O+ + OLac-
演習3
酢酸ナトリウムの0.050M溶液のpHが8.73と測
定された。平衡定数Kbはいくらか?
CH3COO- + H2O ⇄ CH3COOH + OH-
演習3
酢酸ナトリウムの0.050M溶液のpHが8.73と測
定された。平衡定数Kbはいくらか?
CH3COO- + H2O ⇄ CH3COOH + OH-
演習3
演習3
酢酸ナトリウムの0.050M溶液のpHが8.73と測
定された。平衡定数Kbはいくらか?
CH3COO- + H2O ⇄ CH3COOH + OH-
化学種
CH3COO-
CH3COOH
OH-
最終物質量(mol)
0.050
0
1!10-7
変化量(mol)
-5.37!10-6
5.37!10-6
5.37!10-6
最終物質量(mol)
0.050-5.37!10-6
5.37!10-6
5.37!10-6
緩衝液
ヘンダーソン・ハッセルバルヒ式
pH = pKa
共役酸塩基対の溶液:緩衝液
酢酸ナトリウムの0.050M溶液のpHが8.73と測
定された。平衡定数Kbはいくらか?
CH3COO- + H2O ⇄ CH3COOH + OH化学種
CH3COO-
CH3COOH
OH-
最終物質量(mol)
0.050
0
1!10-7
変化量(mol)
-5.37!10-6
5.37!10-6
5.37!10-6
最終物質量(mol)
0.050-5.37!10-6
5.37!10-6
5.37!10-6
緩衝液(Buffer)
pHをほぼ一定の値に制御するために用いる溶液
1M HCl
反応したのは約100万分の1だけ
1M HCl
pH 6
pH 6
pH 2
pH 5.9
水
演習4
0.2Mの酢酸と0.2Mの酢酸ナトリウムを混合し
て、pH4.6の緩衝液100mLを作るには各溶液を
何mLずつとればよいか
酢酸の解離定数Ka=1.754 10-5 M
酢酸ナトリウムは完全電離するものとする
酢酸-酢酸Na水溶液
演習4
0.2Mの酢酸と0.2Mの酢酸ナトリウムを混合して、
pH4.6の緩衝液100mLを作るには各溶液を何mLずつと
ればよいか
酢酸の解離定数Ka=1.754 10-5 M
酢酸ナトリウムは完全電離するものとする
完全電離
CH3COONa→CH3COO- + Na+
CH3COOH+H2O⇄CH3COO- + H3O+
ごくわずか
演習4
完全電離
pH4.6
演習4
酢酸ナトリウムの濃度
演習4
酢酸をx mLと酢酸ナトリウムをy mLとする
CH3COONa→CH3COO- + Na+
CH3COOH+H2O⇄CH3COO- + H3O+
ごくわずか
pH4.6
酢酸ナトリウムの濃度
=1.754 10-5 M
酢酸の濃度
=1.754 10-5 M
酢酸の濃度
酢酸をx mLと酢酸ナトリウムをy mLとする
酢酸と酢酸ナトリウムの合計は100 mLなので
タンパク質分子の上の酸塩基側鎖
物理化学II
状態変化:化学反応
化学平衡(4)
タンパク質
20種類のアミノ酸がペプチド結合によりつながっ
たポリマー
タンパク質分子の上の酸塩基側鎖
タンパク質
•タンパク質がもつ酸塩基特性
•生体系における熱力学
(生物学的標準ギブズエネルギー)
タンパク質分子の上の酸塩基側鎖
卵白リゾチーム
卵白リゾチーム
グルタミン酸残基の解離
タンパク質分子の上の酸塩基側鎖
酸性アミノ酸
塩基性アミノ酸
アルギニン
リシン
ヒスチジン
グルタミン酸
アスパラギン酸
アルギニン残基の解離
タンパク質分子の上の酸塩基側鎖
赤色
グルタミン酸
アスパラギン酸
青色
アルギニン
リシン
ヒスチジン
2つのグルタミン酸と1つのアルギニン
pHにより電荷の合計が異なる
正味の電荷がゼロ
等電点
電気泳動によるタンパク質の分離
タンパク質の表面電荷の差を利用
pH1.5
等電点を利用したタンパク質の分離
pH9.5 ー
+
+
+
ー
ー
+
+
+
+
+ー
+
ー
+
+
+
ー
+
ー
+
反発
ー
+
ー
ー
+
+
ー
ーー
ー
+
+
ー
ー
+
ー
ー
+
pH5.5
ー
+ー
+
ー
ー
ー
ー
ー
+
ー
演習1
ー
+
反発
ー
+
+
+
ー
アミノ酸の一種グリシンの等電点におけるpHを
計算せよ
pKa1=2.35
pKa2=9.78
⇄
⇄
ヘンダーソン・ハッセルバルヒ式
ー
+
ー
6.07
反発しない(凝集沈殿)
pKa1=2.35
演習1
pKa2=9.78
⇄
⇄
ヘンダーソン・ハッセルバルヒ式
pKa1=2.35
演習1
pKa2=9.78
⇄
⇄
pKa1=2.35
演習1
pKa2=9.78
⇄
⇄
ヘンダーソン・ハッセルバルヒ式
なので
6.07
pKa1=2.35
演習1
pKa2=9.78
⇄
⇄
なので
6.07
グリシンはpH6.07で正味の電荷がゼロになる
生体内での化学反応
生体内での化学反応
グルタミン酸
アンモニウム
⇄ グルタミン
!rG˚<0 反応は自発的に進行する
!rG˚>0 反応は自発的に進行しない
多くの反応は、 !rG˚>0
例
グルタミン酸
アンモニウム
⇄ グルタミン
Glu + NH4+ + ATP ⇄ Gln + ADP + Pi
アデノシン三リン酸(ATP)
生物学的標準ギブズエネルギー
生物学的標準ギブズエネルギー
ATP + H2O
→ADP + Pi + H3O+
生物系の標準ギブズエネルギーは、pH7を標準状
態とするのが適当
ATP + H20 → ADP + Pi + H3O+
生物学的標準
ATP + H20 → ADP + Pi + H3O+
ギブズエネルギー
細胞内では、ATPの濃度がADPの濃度より
10倍高い
グルコース1モルから36モルのATP
生物学的標準ギブズエネルギー
ATP + H20 → ADP + Pi + H3O+
pH 0では
pH 7では
生物学的標準
ギブズエネルギー
通常の標準状態では濃度は1M
1Mの H3O+