第18 回 CTサミット報告 ニューチャレンジセッションⅡ:臨床利用の進歩 4.CARE kV の特性と臨床応用 池田 秀 東海大学医学部付属病院放射線技術科 CT における被ばく低減技術には,X 線 いた。画像ノイズ(SD)は CTDIvol と なり,120 kV に対し 80 kV では 1 . 73 倍 出力系では自動露出機構(AEC) ,ECG- 高い相 関があることがわかる。同 一 となった。 pulsing(シーメンス社製) ,X-CARE(シー CTDIvol では,低管電圧ほどややノイズ これらを踏まえて CARE kV について メンス社製)など,画像再構成系では逐 が 増 す 傾 向 に あ る。 具 体 例 と し て 考えていく。まず,CARE kV の条件決 次近似画像再構成法によるノイズ低減, 120 kV と 80 kV を比較すると,SD 12 を 定 方 法 で あ る。 図 2 に 示 す よ う に, 幾何学的系では bowtie filter や Adaptive 得るためには,120 kV では CTDIvol: CARE Dose 4 D(シーメンス社製)同 Dose Shield(シーメンス社製)などがある。 9 . 8 mGy だが,80 kV では CTDIvol: 様,通常,平均的体格の被検者に適用 X 線出力系で最も一般的な技術は AEC 11 . 2 mGy となる。ヨード造影剤に対す する管電圧と X 線量を Ref.kV と Quali- である。これは,被写体の X 線吸収差に る各管電圧の CT 値の変化を図 1 d に示 ty ref.mAs に入力しておく。次に,スラ 応じて X 線出力を変調させ,画像ノイズ す。縦 20 cm,横 30 cm の水ファントム イダックを撮影対象に合わせる。この操 を一定または適正にすることで被ばく低減 の中央にヨード造影剤を配置し,濃度を 作により,装置側で撮影範囲や速度を を図る技術である。これに対し CARE kV 変化させ測定した。120 kV 時の CT 値を 考慮し撮影可能かつ適切な管電圧,管 (シーメンス社製)は,X 線出力を変調さ 基準に示した。この関数はすべて比例関 電流を決定する。 せる AEC の機構に加え,造影剤使用の 係である。低管電圧ほど CT 値は大きく CARE kV の機能の意図を考察する。 有無や撮影速度など種々の条件を加味し, 適正な管電圧を自動的に設定することで 70kV 80kV 100kV 120kV 140kV 稿では,CARE kV の特性と臨床応用に ついて述べる。 MTF らなる被ばく低減を図る機構である。本 0.5 CARE kV の概要と 管電圧特性 0 0 0.5 Cycle/mm 1.0-1 1.0-3 1.0-4 0 1.0 20cm×30cm 荷が増加する。この技術は,体軸方向 SD や X 線の透過力が低いため,X 線管の負 20 のディテクタカバレッジが増し,照射時 間を短縮したことにより X 線管負荷が軽 減し可能となった技術と言える。 管電圧の違いによる特性を確認した。 図 1 a に MTF を,図 1 b に NPS を示す。 いずれも,管電圧の違いによる差はほと んどないことがわかる。図 1 c に,画像 ノイズ(SD)と CTDIvol の関係を示す。 縦 20 cm,横 30 cm の水ファントムを用 56 INNERVISION (29・10) 2014 0 0 25 CTDIvol 1.0 b:NPS 70kV 80kV 100kV 120kV 140kV 50 (mGy) c:画像ノイズ(SD)とCTDIvolの関係 2000 各電圧のCT値 40 に対し,低管電圧撮影は X 線発生効率 0.5 Cycle/mm a:MTF 通常 CT 撮影で用いる管電圧 120 kV 70kV 80kV 100kV 120kV 140kV 1.0-2 NPS 1.0 画像の CNR を適正化することにより,さ 1000 0 0 70kV: y=2.08x ヨード 80kV: y=1.73x 100kV: y=1.26x 120kV: y=x 500 1000 140kV: y=0.83x 120kVのCT値 d:各管電圧のCT値変化(信号はヨード) 図 1 管電圧特性 a:MTF b:NPS c:画像ノイズ(SD)と CTDIvol の関係 d:各管電圧の CT 値変化(信号はヨード) 〈0913-8919/14/¥300/ 論文 /JCOPY〉
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