RPGNで発症し、11年間atypical MPGNの一例

RPGNで発症し、11年間(5回生検)追跡しえた
Atypical MPGN症例
名古屋第二赤十字病院 腎臓病総合医療センター 内科
小野田浩 及川理 北村謙 山本慶子 坂井薫
古宮俊幸 堀家敬司 武田朝美 両角國男
現病歴と経過(1)
H9年3月子宮内膜症の手術を受けた。この時の血液検査、尿検査の異常
はいわれていなかった。
H9年4月下旬より下腿浮腫、肉眼的血尿を自覚し、5月当院を受診。
Cr2.5、尿蛋白2.5g/dayまで増悪しRPGNとし入院。
現病歴と経過(2)
5/6腎生検1回目施行(左腎)→crescenticGN
mPSLパルス療法行うもCr5.7まで腎機能増悪し5/21~23HD管理。
さらにmPSLパルス療法追加しHD離脱、以後PSLにCPA追加し治療。
再評価のため7/22腎生検2回目施行(左腎)
再度mPSLパルス療法追加しCr1.09にて外来へ。
その後は外来にてPSL内服にてCr0.9~1.0、尿蛋白1.5g/day程度で安定し
約2年経過。
H11年病変の再評価のため入院。
現病歴と経過(3)
7/5腎生検3回目施行(左腎)→MPGN
PSLにMZ追加し外来フォローへ。
その後H12年子宮内膜症がひどく疼痛、出血ひどいため子宮全摘出術施行。
H12年腎機能も安定しておりPSL減量中止しMZ単独投与とした。
H15年低補体、蛋白尿増加し入院。
現病歴と経過(4)
11/14腎生検4回目施行(右腎)→MPGN with crescent
mPSLパルス療法行い、以後PSLにCyAを追加し外来フォロー。
H16年PSL減量中止しCyA単独投与とした。
H18年蛋白尿増加にて再度PSL投与とCyA併用。
H19年PSL減量しCyA中止とした。
H20年低補体、蛋白尿増加にて入院。
現病歴と経過(5)
5/26腎生検5回目施行(左腎)→MPGN with crescent
mPSLパルス療法行い、PSL増量しCyA併用にて外来へ。
検査所見のまとめ
H9年1回目 H9年2回目 H11年3回目 H14年4回目 H20年5回目
血液検査
尿検査
Cr(mg/dl)
2.5
1.47
1.02
1.07
1.41
IgG(mg/dl)
1078
538
817
581
710
補体
軽度低下
正常
正常
低下
低下
抗核抗体(倍)
160
40
40
40
クリオグロブリン
陰性
陰性
陰性
DNA抗体
陰性
陰性
陰性
陰性
Ds-DNA抗体IgG
弱陽性
MPO-ANCA(EU) <10
<10
尿蛋白
3+
2+
3+
2+
2+
尿潜血
3+
3+
1+
2+
3+
光学顕微鏡所見のまとめ
糸球体病変
間質病変
H9年1回目
H9年2回目
H11年3回目
H14年4回目
H20年5回目
糸球体数
30
18
50
38
17
荒廃
0
0
36
15
10
半月体
25
15
0
6
4
メサンギウム増殖
あり
あり
あり
deposit沈着
あり
あり
あり
間質細胞浸潤
あり
あり
あり
あり
あり
PTCitis
あり
あり
あり
あり
あり
蛍光抗体法所見のまとめ
H9年1回目
IgG
メサンギウム
係蹄
間質、PTC
IgA
メサンギウム
係蹄
間質、PTC
IgM
メサンギウム
係蹄
間質、PTC
C3
メサンギウム
係蹄
間質、PTC
C4
メサンギウム
係蹄
間質、PTC
C1q
メサンギウム
係蹄
間質、PTC
Fibrinogen メサンギウム
係蹄
間質、PTC
H9年2回目
陽性
陽性
陽性
H11年3回目 H14年4回目 H20年5回目
陽性
陽性
陽性
陽性
陽性
陽性
陽性
陽性
陽性
陽性
陽性
陽性
陽性
陽性
陽性
陽性
陽性
陽性
陽性
陽性
陽性
陽性
陽性
陽性
陽性
陽性
陽性
陽性
陽性
H9年 第1回腎生検(左腎)
H9年 病理所見
H9年 第2回腎生検(左腎)
H11年 第3回腎生検(左腎)
H11年 病理所見
H14年 第4回腎生検(右腎)
H14 病理所見
H20年 第5回腎生検(左腎)
H20 病理所見
H20年の蛍光抗体所見
IgG
C3
C4
C1q
C4d
H9年とH20年の電顕による間質病変
H9 電顕所見
H20 電顕所見
問題点
• HDを必要とするRPGNで発症した免疫複合体型腎炎(atypical
MPGN)症例であり、ステロイド+免疫抑制剤の使用で改善、減
量中止にて再燃を繰り返しています。組織学的にもループス腎炎
として理解してよいのでしょうか?
• 当初より高度な間質障害を認め、5回目の生検組織の蛍光抗体
法から免疫複合体沈着に伴う間質尿細管障害も考えられました。
発症時の光学顕微鏡、電子顕微鏡所見を見直した間質尿細管障
害についてもコメント頂けると幸いです。