Confidential c 2014 ROHM Co.,Ltd. All Rights Reserved OP アンプ応用回路の再生術 2014年10月8日 佐藤 尚一 アナログ技術者の不足 ・就職、配属等の問題 ・工期、コストなど製品化の諸事情(特に技術以外の) ・所属組織の仕事のスタイル(全部外注とか・・・) その他・・・ 回路の得意な人が設計の仕事に就けるとは限らない、 回路の得意な人を設計担当にできるとは限らない 対処法は? 難しいことが簡単にできる時代だが・・・ ・アナログ回路は理屈通り動かないことも多い ・シミュレーターを活用 コピペはリスク大 ・ブロックごとの試作と動作確認が望ましい 新規設計には1週間程度は覚悟 OPアンプ数個でも なぜか? OPアンプは回路設計が必要 OPアンプは回路の一部 VDD 入力 一般の IC IC開発時に 動作を評価・ 確認済み 出力 RやCと同様の部品 デジタルICなどは完成品 実績のある設計済みの回路を使いたい しかし・・・ ・オリジナル設計者不在 ・動作原理も不明 ・実績だけが理由で使われ続けている 不明な回路に遭遇、どうする? まず、電源をつなげ 検証の一歩 ・できる限りオリジナル通りの電源を用意する ・DC-DCコンバーター等を活用 上記を強く推奨 電源電圧の変更は新規設計の覚悟をせよ! 以上、ちゃんちゃん それでもやらなければならない場合、注意点とは? IC化から半世紀 OPアンプの歴史は非常~に長い ±15V 数千円(OPアンプ) アナログ回路中心 算盤、計算尺 東西冷戦 $1=¥360(固定) 電電公社 +5V以下、単電源 <10円 マイコン中心 パソコン、シミュレータ ”ベルリンの壁”崩壊 $1=約¥100(変動) NTT 応用回路はほとんど半世紀前のスタイル 見落とすな!OPアンプには電源が必要 +電源電圧VDD,VCC 入力 電圧 VI 出力 電圧 VO ー電源電圧VSS,VEE あたりまえ? 教科書 (理想OPアンプ) には無い シミュレーション では無くてもOK OPアンプは電源電圧が変っても動作可能 (型番ごとに上限と下限が決まっている) 入出力電圧は±の電源電圧を超えられない +電源電圧VDD,VCC 入力 電圧 VI 出力 電圧 VO ー電源電圧VSS,VEE シミュレーション では制限なし 入力電圧(*)、出力電圧ともに+/-の 電源電圧を超えることはできない 入出力電圧が有効な範囲には”余白”がある VDD 無効 VOH 同相入力 電圧範囲 Vicm 最大出力電圧 Vom VOL VSS 無効 余白(無効な範囲の電圧)は入出力できない 電源電圧が下がっても余白はそのまま 余白も小さく VDD VOH Vicm Vom こうならない VOL VSS 変らない つぶれてしまう 電源電圧なりに信号を小さくしてみると・・ VDD ノイズに埋も れてしまう 最大値 VOH 最小値 VDD ノイズより 大きい GND ノイズ VOH GND 信号 ノイズやオフセットは電源電圧が変っても同じまま 最小値(オフセット、ノイズ、誤差)に注意! 他の部品の動作電圧にも注意! VOよりVF高い VF VO VZ ツェナー電圧VZは 6V前後が多い その他、トランジスタのVBEやFETのVGSなど タイミングや電流の基準が変ることがある I C VO1のしきい値を検出 R VO2 VO1 VOH VO2 I t VO1 , I C R ①電圧が充電電流と 充電時間に比例 VOL ②充電電流は出力電圧 に比例 電源電圧の影響を評価すべし フルスイング型OPアンプが救世主 VCC>4V 1~ 3V 2~ 5V Vicm Vom 1~ 1~ 3V 3V VEE<-4V (a)従来型 (BA4558) VDD>0.9V 0.1V 0V Vicm Vom 出力側は 無効な領域 がある 0.1V 0V VSS<-0.9V (b)フルスイング型 (BU7262) (おまけ)明確な振幅制限に使える VOH VOL フルスイング型OPアンプの出力特性を利用 するとこのような振幅制限が簡単にできる ダイオード等の代わりになる 単電源型は従来型も動作電圧が低い VDD>0.85V 0.1V 1.2V V >1.5V CC ±1.5V 動作では 中点に達 1.5V する Vicm 0V 1.5V Vicm Vom 20mV VEE<ー1.5V (a)単電源従来型 (BA2904) Vom 0.1V 0V VSS<-0.85V (b)出力フルスイング型 (BU7462) ACには低飽和出力電圧型が使える VCC>1V 入力側は従来 1V 型と変らない。 反転増幅器な Vicm どに使う。 最低動作電圧 =使用可能な 電圧、ではない 1V 0.5V Vom 0.5V VEE<-1V (a)低飽和出力電圧 (BA2115/BA4510) 従来型OPアンプ の出力回路を改 造して無効な領 域を減らしたもの。 電圧を低くするだけで高速化? 電圧 VCC高 VCC低 SR: 歪まない最大振幅の正弦波 のt=0における接線の傾き ΔV/Δt [V/μs] 時間 電源電圧なりに信号 の振幅を下げてしまえ ばSRは低くても良い 単電源動作が好まれるが・・・ ±電源がOPアンプのメリット ±の電圧を出力できるから しかし・・・(なので・・・) 単電源は無理に使うことになり、大変 特に定番の2904/358はかなりクセモノ OPアンプの電源は正負非対称で良い 同相入力電圧 や出力電圧が 動作可能な範 囲ならばよい 非対称で よい OPアンプにはGND端子が無い 電源のGNDがOPアンプのGND GNDと定めたところがGNDとなる *電源の投入順序等が定められている場合があるので マニュアルに従ってください VSS=0Vとすれば電源は一つで済む バッファ フローティング (a)”真の”単電源 (b)仮想グラウンド 実質的に±電源と同じ 出力を0Vにするために±電源が必要 IO VO 負荷 VEE OPアンプ内部が超伝導で無ければ VO=0Vは不可能 単電源型であってもVO=0Vは不可能 ±1.5V 動作では 中点に達 する ”C級” 出力段 に注意 VCC>3V 1.5V VDD>1.7V 0.1V 1.2V 1.5V Vicm Vicm 0V Vom 20mV VEE=0V (a)単電源従来型 (BA2904) Vom 0.1V 0V VSS=0V (b)出力フルスイング型 (BU7462) 動作点のかさ上げ(バイアス)は意外と難しい A/D GNDから 浮いてしまう OPアンプ回路の GNDをかさ上げ A/Dの基準電位 と異なる 気にしないのが一番 10mV/℃の 温度センサ ×5倍 入力電圧範囲 0~5V A/D 0℃: 0mV 2℃: 20mV 10℃:100mV 100℃:1V 0℃: 0mV 2℃: 100mV 10℃:500mV 100℃:5V センサを 選べば 室温付近(>おおよそ2℃)は問題ない OK! 交流には”中点バイアス”も有効 VDD/2 A/D 直流カット VDD/2 中心に± で振れる オーディオ等でよく用いられる VDD Cで結合すると出力電圧は±で振れる 中心電圧から ±で振れる VDD VDD/2 VDD/2 中心に± で振れる 中心電圧を決める 何もしないと0V バイアス回路がノイズの原因になる レギュレータや フィルタを介し て直流電圧を 与えるとよい VDD 反転増幅器の+入力端子に信号を入力する と非反転増幅器として機能する (参考)単電源非反転増幅器 VDD (この、バイアス の処理は感心し ない) 反転増幅+中 点バイアスの 回路と同じ 負荷の接続場所で動作が変る VOH VOL (a)出力電流は双方向 (b)出力電流は一方向 流出方向でVOH、流入方向でVOLの制限を受ける 単電源でC結合の負荷は±電源と同じ 出力電流は ±方向に流 れる BA2904等では ひずみが発生 バイアス 電位 GND電位 (0V) 出力電圧は 0Vを中心に ±に振れる (参考)BA2904/BA10358のひずみ対策 (C級出力のA級化) C級出力 バイアス抵抗 大き目の電流をここに流し OPアンプの出力電流が常に 流出方向になるようにする A級出力 (参考)BA2904/BA10358のVOL-ISINK特性 VOL 段が ある VOL 0.7V ISINK 50μA (a)BA2904/BA10358 ISINK ISINK (b)BU7462・BU7262等 図の回路ならばISINK方向には流 れない、しかし一般には不可能。 たとえば・・・ VOL IB 同じ2904がつながる 場合、IBはISINK方向 おうちで実験、がオススメです アナログ回路設計を楽しみましょう!
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