城島五穂先生 :Movement Disorders 2014 e-pub: DOI:10.1002/mds.25912 喫煙は嗅覚改善を介してパーキンソン病を抑制するのか? History of smoking and olfaction in Parkinson's disease. 【背景】Parkinson 病(PD)における自律神経障害など、多彩な非運動障害の中で、嗅覚異常はか なり初期に起こる症状です。また、PD では、喫煙歴が疾患抵抗性の環境因子であることから、喫煙 が、PD の嗅覚改善に関連しているのではないかという仮説の検証が行われました。 【方法】喫煙歴有りの PD 患者(n=22)、喫煙歴のない患者(n=54)、健常者 70 名(内喫煙者(n=17)、 非喫煙者(n=53))について、嗅覚試験(UPSIT score)が、年齢、性別、MAO-B 阻害薬の有無で調 整されて比較検討されました。 【結果】PD 患者と健常者全体の比較では、これまでの報告通り、PD 患者は健常者に比し、有意に UPSIT score は低値でした(21.5 vs 33.5, p<0.0001)。健常者では、喫煙者と非喫煙者で、UPSIT score 値に有意差を認めませんでしたが、PD 患者では、喫煙者は、非喫煙者に比し、有意に UPSIT score 値が高く、嗅覚が良好であることがわかりました。 【結論】 このように、煙草を吸うと、PD の初期症状である嗅覚異常の出現を抑制することが明らか になりました。もしかすると、喫煙が PD で疾患抵抗性を示すのは、煙草のニコチンや一酸化炭素が、 PD の嗅覚異常を水際でブロックすることが重要なのでは、といった嗅覚異常悪玉説のようなお話で したが、とりあえず、煙草は百害あって、一利が少々ということですので、吸い過ぎには注意しましょ う。。(文責 阿比留)
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