保険・年金論(第3回) リスクプーリング

統計基礎(第4回)
事象の独立とベルヌーイ試行
早稲田大学大学院商学研究科
2014年10月22日
大塚忠義
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講義資料
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Agenda
第4回 事象の独立とベルヌーイ試行
• 条件付き確率
• 事象の独立
• ベルヌーイ試行
• 二項分布
• 代表的な確率分布
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条件付き確率(1)
P(B/A):条件付き確率:事象Aが起きたという
条件のもとで事象Bが起きる確率
例1)コインを2回投げる。1回目表という条件
下で2回目が表となる確率は?(等確率を仮
定)
1回目表という条件下でのすべての事象は
表表、表裏の2つ、このうち2回目が表となる
事象は1つ。従って確率は1/2
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条件付き確率(2)
例2)壺のなかに赤玉3個、黒玉2個が入って
いる。1回目に取り出した球が赤の場合次に
黒が出る確率
赤を取り出した後壺の中には赤玉2黒玉2な
ので、1回目に赤を取るという条件下でのす
べての事象は赤赤、赤赤、赤黒、赤黒の4つ、
このうち2回目が黒となる事象は2つ。従って
確率は1/2
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条件付き確率(3)
𝐴∩𝐵に含まれる根本事象の数
P(B/A)=
Aに含まれる根本事象の数
P(𝐴∩𝐵)
=
P(𝐴)
P(𝐴 ∩ 𝐵 )=
P(𝐴 )=
𝐴∩𝐵に含まれる根本事象の数
すべての根本事象の数
𝐴に含まれる根本事象の数
すべての根本事象の数
P(𝐴 ∩ 𝐵 )= P(B/A) P(𝐴 ):乗法定理
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事象の独立(1)
P(B/A)= P(𝐵 )
P(A/B)= P(𝐴 )
P(𝐴 ∩ 𝐵 )=P(A) P(𝐵 )
のいずれかが成り立つこと
事象Aは事象Bに影響しない。事象Bは事象A
の起こる確率に影響しない
例1:独立、例2:従属
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事象の独立(1)
コインを2回投げる。1回目表という条件下で2回
目が表となる確率は1/2
コイン2回、100回投げ:無理なく独立の前提が見
込める
日本人1億2千万人、年間100万人死亡する
表=1、裏=0または死亡=1、生存=0とする
・コインを100回投げ、表が60回出る
・日本人の年間死亡者数
・明日の日経平均株価
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事象の独立(2)
統計処理を行ううえで、独立性の前提は極
めて重要!!
多くの統計手法、確率モデルは事象の独立
を前提としている
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博打の落とし穴
丁半の目は半々、確率1/2
骰子の目は1/6 骰子の目は直前の結果
に影響されない独立事象
でたら目の語源
博打での勝ち運に乗って儲ける
負けが込んでる。そろそろ逆目がでるころ
どちらが真実?
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独立性への疑問(1)
死亡率、事故の発生率:各個人の死亡、個
々の事故の発生は独立と仮定して保険制
度が成立
⇒パンデミック、大災害はその前提を崩し、
保険会社を破綻させる
パンデミック:16~19世紀のペストの大流行
はヨーロッパの人口を1/3に。。
スペイン風邪は全世界で1千万人を超える
死者
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独立性への疑問(2)
大型旅客機は同時に墜落しない:Sep.11で
は4機同時に墜落
株価モデル、オプション価格モデル
行動は過去の価格に影響される
⇉モデルエラーの発生
経済は理論通りの動きをしない
行動ファイナンスの発達
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独立性への疑問(3)
ほとんどの統計学の本は、コイン投げサイ
コロ投げから理論が展開される
多くのモデルで独立性は暗黙の前提
現実社会に独立な事象は、ほとんど存在し
ない:特に経済事象は。。
従属事象を独立としてモデルに入れたら正
しい結果は得られない!
ゴミを入れた結果はゴミ
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ベルヌーイ試行(1)
結果が2種類しかない試行
コイン投げ、死亡、事故、成功・失敗
実世界にベルヌーイ試行は非常に多い
根本事象:成功=1、失敗=0
P(成功)=P(X=1)=p
P(失敗)=P(X=0)=1-p=q
p+q=1
x 1 x
P( X  x )  p q
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ベルヌーイ試行(2)
実世界の多くの現象をベルヌーイ試行に当
てはめることにより、単純化する
骰子投げ:根本事象は1~6までの6つ
1,2を成功、3~6を失敗とする
死亡率:死亡:1、生存:0
人口100万人の都市で年間1000人が死亡
死亡の発生は独立と仮定。100万回のベル
ヌーイ試行を足し合わせる
死亡率p:0.001=1000/100万?:こんな単純
ではないが。。。
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ベルヌーイ試行(3)
ブラウン運動:空間上の微小粒子(原子レベ
ル)の移動
2次元空間上、微小時間における右への移
動:1、左への移動:-1
⇒微小時間を積み重ねることで粒子の移動
法則を説明(移動事象は独立と仮定)
破産確率、信用モデル、オプションの価格モ
デルもブラウン運動を応用しているものがあ
る
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二項公式
p  q 1
( p  q )  p  2 pq  q  1
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2
2
( p  q )  p  3 p q  3 pq  q  1
3
3
2
2
3
( p  q )  f ( p, q, n)  1
n
二項公式は確率の公理を満たす
関数はパスカルの三角形を使い、組合せと
p,qをもとに展開できる
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二項分布
x n x
P( X  x )  n Cx p q
確率事象n回の試行でx回成功する
根本事象の数:2のn乗
成功、失敗の確率:p、q
N回の事象は独立であるという全体が必要
確率関数X=xの確率は、n,x,p,qで表現できる
⇒確率を数式で表現することにより、パラ
メーター(母数という、この場合p)が定まると
確率が求まる
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課題(第2回)
次の3問について、回答および回答を求める
経過をメモして11/12までに報告をお願しま
す
報告先:コースナビ
1.サイコロを3回投げて出た目の数の和が
6以下になる確率を求めよ。なお、骰子の目
の出方は等確率とする
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課題(第2回)
2.壺のなかに赤玉5個、黒玉3個、白玉2個
が入っている。取り出した球が3回続けて赤
である確率を求めよ。なお、復元抽出と非復
元抽出の両方の場合で算出すること。
3.コインを10回投げて表が5回出る確率を
求めよ。なお、コインの表裏の出方は等確
率とする
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代表的な確率分布(1)
離散型
• 二項分布
• ポワソン分布
連続型
• 一様分布
• 指数分布
• 正規分布
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代表的な確率分布(2)
連続型(2)推計、検定で使用するもの
 分布
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T 分布
F 分布
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Question?
お疲れ様でした
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