Tali® Image-Based Cytometerでの細胞周期染色

Tali® Image-Based Cytometer での細胞周期染色、データ取得および解析:
基本プロトコル
細胞周期解析を行う準備として、細胞を 70%エタノールに入れて一晩固定し、ヨウ化プロピジウム(PI)で染色しま
6
6
す。実験毎に、少なくとも 500 µL の細胞(最終の細胞濃度:1x 10 – 5 x 10 cells/ml)が必要となります。(例えば染
7
7
色前の細胞濃度 1x 10 – 5 x 10 cells/ml からスタートしてみてください。)が必要となります。以下は、浮遊性または
接着性細胞用のプロトコルです。接着性細胞の場合は、細胞をトリプシン処理後、トリプシン反応を中和するため十
分量の完全培地で処理します。それからステップ1を開始します。浮遊性細胞の場合は手順1から開始します。
必要な試薬:
–
氷冷した 70%エタノール
–
D-PBS (Ca , Mg 不含) (Gibco 14190)
–
Triton X-100
–
RNase A (Invitrogen 12091-039, 20mg/ml stock)
–
Propidium Iodide (PI) (Invitrogen P3566, 1 mg/ml stock)
–
PI 染色溶液:
2+
–
2+
0.1% Triton X-100 + 0.2 mg/ml RNase A + 20 µg/ml PI in DPBS
10 mL の PI 染色溶液を作製するには:
成分
分量
D-PBS
10 mL
Triton X-100
10 µL
RNase A
100 µL
PI
200 µL
細胞の固定
1. コニカルチューブに細胞を移します
2. 細胞を洗浄します
a. 500 x g で5分間遠心
b. 培地を除去し、D-PBS で再懸濁
c.
500 x g で5分間遠心。
3. 氷冷した 70%エタノールで固定します
a. チューブを氷上へ移す。
6
6
b. 氷冷した 70%エタノールで 1x 10 – 5 x 10 cells/ml で細胞をゆっくり再懸濁。単細胞懸濁液とするた
め、70%エタノールを加える際は、軽くボルテックスをかけながら、最初は非常にゆっくりと加えて
(滴下)いく。
細胞は単細胞懸濁液の状態で固定されることが大変重要です。固定ステップの過程で、細胞が凝集してしまう傾向が
あります。70%エタノールを加える際は、軽くボルテックスをかけながら、最初の 1 mL を非常にゆっくりと滴下す
ることが、細胞の凝集を防ぐことにつながります。
c.
細胞を -20⁰C で一晩静置。これらの細胞は、染色および解析まで -20⁰C で数週間保存可能
PI で染色
4. 細胞を洗浄します
a. 4⁰C 、1000 x g で5分間細胞を遠心
b. エタノールを除去し、D-PBS で細胞を再懸濁
エタノール固定した細胞はペレット状になりにくいことがあります。このステップにおいて、細胞ペレットを確認す
ることはおそらく大変難しいでしょう。細胞ペレットを吸引してしまうリスクを減らすためにも、上清を吸引除去す
るのではなく、チューブを反転させて上清を除去するほうが簡単かもしれません。細胞密度がとても低い場合は、こ
のステップにおいて D-PBS + 1% BSA で細胞を再懸濁してもよいです。BSA を加えることで、細胞のペレット化が
促進されます。
c.
4⁰C、 500 x g で 10 分間細胞を遠心
5. PI で染色します
6
6
a. D-PBS を除去し、PI 染色溶液で 1x 10 – 5 x 10 cells/ml に再懸濁 (推奨する最終分量:500 µL、必
要であればより少ない分量でも可能)
b. 室温、暗所で 30 分間インキュベート
Tali® Image-Based Cytometer でのデータ取得および解析
6. 「Cell Cycle」アッセイを使用します
a. Cell Cycle アイコンをタッチし、ファイルに名前をつける
7. サンプルをローディングし、ランを実行します
a. 25 µL の細胞サンプルを Tali® スライドにローディング
b. スライドを挿入。サンプル毎に 20 フィールドをキャプチャすることを推奨。サンプルごとにより多く
のフィールドをキャプチャすることで、ノイズの少ないより正確なデータが取得可能
c.
フォーカスを合わせ、ランを実行する
i
8. 結果と分析:解析はデー
タを取得しながら、また
はサンプルすべてのデー
タ取得後に Data タブ下で
行うことができます。以下の説明では Data タブの画面を表示していますが、各サンプルのデータを取得しな
がら行う場合も手順は同じです。
a. 未処理サンプル(一般的な細胞周期ヒストグラム)を用いて、細胞サイズでゲートを設定。この例で
は、小さな細胞(細胞片)と大きな細胞(凝集体)はゲート設定で解析から除外
b. 次に各細胞周期フェーズの閾値ゲートを設定。方法は以下の3通り:
i. 3 つの閾値バーのうち1つをタッチ(ヒストグラム上のグレーの垂直バー)すると、選択され
た閾値バーはグレーから青に変わる。ヒストグラム下部の矢印をタッチし、閾値バーを移動
ii. 3 つの閾値バーのうち1つをタッチすると、選択された閾値バーはグレーから青に変わる。閾
値バーを設定したい位置にドラッグ
iii. 「RFU threshold」下の数字をタッチすると、キーパッドが表示される。手動で値を入力
c.
以下の例では、Jurkat 細胞を、G2 期での停止を誘発させるためにノコダゾール濃度を増加して処理
しました。RFU 閾値の設定は未処理サンプルを用いて行い、薬剤処理サンプルに対しても同様の設定
を維持しています。薬剤処理によってピークが変わることがあるため、RFU 閾値はサンプルごとに多
少調節が必要な可能性があります。
9. データをエクスポートします
a. 生データ(csv および fcs 形式)、個々の画像、PDF レポートは USB にエクスポート可能。本機能は
Data タブ下にある。細胞周期の各期にある細胞の割合の正確な推定値を得るため、細胞周期モデリン
グソフトウェア(MultiCycle の ModFit など)を用いた解析を推奨(特に分裂停止状態または正常ではな
い細胞周期ヒストグラムの場合)