立命戦史上初。一。 究極の戦術 - So-net

朝 日カルチヤーセンター
2014年 7月 26日
関西学 院大学 ファイター ズ
ディレクター
小 野
宏
く
鐵レ■
本 日の 内 容
1.
2.
3.
4.
立命戦史上初0-0究 極 の戦術
甲子園ボウル の勝敗を分けたプレー
ライスボウル 無念 のレビュー
アメリカンフットボールとは ?
藝
簑
遜
藝
華
理
難
寝
戦術・戦略のスポーツ
リスクマネジメントのスポーツ
意図と計画のスポーツ
準備と分析のスポーツ
交代のスポーツ
(数 値のスポーツ)
(資 本 主義のスポーツ)
イギリスのスポーツ、アメリカのスポーツ
く
難卜■
立 命戦 無得 点引き分 けの 裏側
■ ■
■6勝 1分 は完 全 優 勝 と同 じ
立 命守備 は “
最 強 "(エ ースLB復 活 )
ξ 望
お%午 │じ
し
キ偽準
=κ 碑
KGは 唯 ― の 得 点機をなぜ 逃 したか
守備 は 1月 か ら完封を狙 つていた
ターンオー バ ーの 危機
■2度 の 3rd Down Punt
で奪え(ラ イスボウル教訓)
・ 第 1ダ ウンを自力
てン
X4例いい
う
けれ
ス
物■
螺の
か
「
Pリ
堀
γ
ヽ
倒窃
が
ヽ
.
φlη lKIデ タイ
醜 脅成t‐秩ガニ
月
く
難}■
精密 なリスクマネジメントが 可能なスポーツ
亀
.鰯
珈
`
鰺
れず
命
・
メニカ
立命 パ ントか ら夕∵ ンオーパ
(50)
第1ダ ウン とつておきのパスで8ヤ ードゲイン141)
麟 暉碑ヽ
l
“
lゞ
第 3ダ ウン残り2ヤ ード QB斎 藤の左 ロールキープ(43)??
第3Q第 3ダ ウンパント(108)
第2Q静 綱
第3Q枠鋒 足が釣 つた(156L)
嬌
た
瀦
静打
群 酸ら
iル
第 4Qラ ストプレーは ニー ダウン
ギ
シ
恥
叫Fe米 、
協り肇ッ
ムβ
ぅ
k争
く
鐵》■
第 2ク オーター 自陣45ヤ ー ド 第 4ダ ウン残 り2ヤ ー ド
とつておきの「フェイクパント」
議
R
1ぢ
[II::::________―
=ff二
―
―
▲TII
二
日
ビ三
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
だ
× 鶴場
っ
縣
IBょ iE
V
主 VЧ
:`、
ヽ
、
∝
ヽ
ヽ
ヽ
(鐵≧■
戦略・戦術 のスポ ーツ
邑プレーロ
コール の 駆 け引き
■プレー のデザインの競争
■ゲームプランの 質 の競争
■ ■ ■
■年間グランドデザインの精度の競争 奪
どうやつて予想するか 、相手 にさせないか
プレー 中にどうやって正しい判断させないか
「編 し合 い」のスポーツ
く
慇》■
甲子園ボウル
を挫 いた池永 の 第 1プ レー QBサ ック
■大 黒柱・池 田欠場 に動 じぬ 守備 陣
■出
・ 秋 に劇 的な成 長を遂 げた斎藤 のパ ス
■大 舞 台 での「フロー 」体験
く
鐵卜■
甲子園ボウルレビュー
1
0101
1
0-0
2
3■ 01
11111:│
4-inches
■
│■ │
D
O
O
1111●
2
10-0
1-10
O
3
10・ 3
9
O
5
O
3
13-3
4
1613
11‐ 10
4
16‐ 3
3-10
4
16■ 3
3…
13-4‐ . :
ダイレクトスナップのラン
16-3
1-10
│││イ │││││‐
―
■
14
│‐
│
(こ のプレーは何かにつながつている)
49
126.
│‐
139
O
11→ 晨
ブ′
し
‐■│‐ │ ││
。
ふ二
碁
ラ
ン
青轟‐
本││ス ク
1過 3
O
QB斎 藤 11→ lR大 園 15シ ャロウパス
156
O
9講 111→
O
`
結庫(“ w状
の
ス
智 │ヤ ー■′
"Ⅲ
QB斎 藤 11→ WR木 戸88タ ッチダウンパス
11 1:
1
‐
│
││
11ll:i:llil:リ
‐
59
QB斎 藤 11→WR梅 本9シ ャロウパスの成功
1
説明
47
'│■
11ミ │ャ ■│■ ■
1彎 11,す ● 十
11
4
│‐
)
,中│十李
‐
ⅢI,IT,7.で
310.│
112■
4111‐
(戦
O
2
│ │
│■ 臀111F,T131,書
4ダ
QB斎 藤 11-llVR梅 本9ス ローバック 精密なパス
3¨
2-10
02V
?「
O
2
0
彎 聟 ?,「 ツ71‐ ■│■ ■■│■
ウンGL前 インチでの強攻
第
術
∼
'│ず
│
説明
159
││
"‐
(ピ ンポイント
)
160
説明
く
鐵}■
DE池 永 の 第 1プ レー QBサ ック
X巧
淘 }荏 凝 で切
ド
:→ 不 球
ィ笏ヽ
=こ
稼C7祐 たEヤ
スτ
・
かかルh
・
“
t(浮 郵
か
乙i却
″
QB SttGk: Oη Eメ 多
ヌ
Ztο じ
1編鶏 つ
し
1多
えη スηギタフ多ハ
…
儡 彎ト
碑
の資 1蹴 湯
こ
鵬鶴 雛
く
離≫■
斎藤 の リーグ戦・甲子 園 での記 録
20「
3層 磨警空ノメ リ寿ンフノハガ ー/● グーダ ω に ′リ
PASSINO fRAttN9‐ ―R。 加g tt ζl鍵平均 7θ 襄以D
2013/11/24 現在
氏 弩■││1李 争■奪
撃軍│1守≒ 軸 mc
:零
大教大
11
,
4
19
4
3
4
4
4
1
否貢
違畿大
7
4
健治
龍谷大
面藤
三
関学 大
山口
慶人
立命館
尾原
小原
学
祐也
神 戸大
大黒
裕也
甲団
昨内
電須
洋平
大教大
京都 大
V
律
マ
チ
つ
Ю TAL
1軍毅 ll‐ 成功 卜成功率‐
1,Vdsl
6
08
7
01
7
66
75
100
7
7
6 3
15 3
111
71.1% 1096
70 64.87。 1010
l“ ■lint4
96
58
574%
2
1.9亥
5 50%
86 51875 897
35 46.7% 440
43 43.0% 397
42 37.8%
23 31 9%
0.η
440
183
TD率
"│■ 104累
5
4.6亥
8
4.8%
5
5
5.0亥
3.0亥
6
80シ
1
1.3,
7
瓢 餞
172.05
154,,4
123.08
,7.6●
7.0亥
5
5.09
84.35
78.86
7 6.3実
4
3.69
70.41
6 8.3%
0
0.07
36.63
2013甲 子園ボウル vs.日 本大学
PASSING
甲子 園ボウル最優 秀選 手
2007甲 子園ボウル QB三 原の記録
両者 ともパ ス成功率 71%
10
鷲
麟》■
マンカバーを予想 したシャロウクロスの成功
助秘乏
了
難年
爛影
う
こ
Z確 ん
!
`千
轍
QB斎
督
ギスク し。
′
11入
翼
慇ン■
の劇 旬
な成 長 が 3連 覇 のカギ
・ 斎藤 の 回想 (2014年 1月
)
第 4戦 の神戸大戦でエンジンがかかった。秋 に入 つてか らフォームが決まっ
た感じが あった。夏の最初に「あっ、これかな」というのが あって、それを信じ
て。下半 身が 安定すると上半身も安定してくる。調子 が悪 いときは足が前 に
出て前後で投げるようになり調子 が 崩れてくる。腰 の 回転で投げる。足はそ
の場 につくくらいで。上半身は気にしていなかった。上か ら投げることと、遠く
から出す ことを心掛 けていた。
コントロールが よくなつたのと、WRと 合わせることで危機管理ができるように
なってきた。リスクを冒さず に我慢すれ ばパスは決まると思つていた。
1枚 目になつて 自分がコントロールに妥協しちゃいけないと思うようになった
。橘さん (4年 生QB)と 話をしてきたのがよかった。悩みというかプレーのこと
をグラウンドでもミーティングでもいろいろ相談して一緒 に作つていく。こうい
う方がいいとかや りにくいとか。
夏に入つて2番 手 に落とされて、
「おかしいやろ」と思つたし、実力的にもやれ
ると思つていた。見返してやると考えていた。振り返るとそれまではイージー
な所をミスしていたし、DBを 気にしすぎていた。
申
12
麟≫■
究極 の「フロー 」
体験
=スイ↓Wtτ る
権れ薇色
口 我われはこの特異でダイナミックな状態 ―全人的に行為に没入している時に人が感ずる包括的感覚をフロー (
low)と 呼ぶ ことにする。フローの状態にある時、行為は行為者の意識的な仲介の必要がないかのように内的な
論理 に従 つて進んでいく。人はそれをある瞬間 から次の瞬間 へ の統 一 的な流れとして経 験し、その中で自分の
行為を統御しており、さらにそこでは 自我と環境の間、刺激と反応との間 、過去現在未来との間の差がほとんど
「 自己目的的経験」と呼んできたものである。…・フローはある種の活動の
ない。フローという語は我 々が今まで
中で最も容易に経験される。我 々が調査した対象、クライミング、チェス、バスケットボールはそのような経験をも
たらすものと考えられるフロー活動である。ゲームは明らかにフロー活動であり、遊びは優れてフローをもたらす
経験 である。
■ フローのもつとも明瞭な特徴 は、おそらく行為と意識の融合ということであろう。フロー状態にある人は二重の視
点を持 つことはない。彼 は彼の行為を意識してはいるが 、そういう意識そのものをさらに意識することはない。
ロ ダンサーの言葉。
「注意の集中が完全になるのです。迷 つたりせず、他のことなど何も考えません。自分のすべ
てが 自分のしていることの 中に包み込まれるのです。身体は調子よく感じ、やわらかく、すっきりしており、国まっ
たりこわばつたりしているところがありません。エネルギーはなめらかに流れています。ゆったりと気持ちよく、し
かも力に満ち満ちているように感じます」。
■ 金銭のためにプレイすることは、ゲームヘ の集 中を増加させるだろうが 、逆にまた失うことへ の恐れから、より容
易 にプレイから気をそらせてしまうのである。勝 つことにおもいわずらうサムライは、惑いのない敵に負ける。理
想的にはフローは結果へ のいかなる配慮も含まない、純粋な熱中の結果なのである。
☆「楽しみ の 社 会学 」
M・ チクセントミハ イ
新思 索社
13
《
難卜■
・
■
「 自我忘却」
フロー経験の第3の 特徴は、
「 自我の喪失」
「 自我意識の喪失 Jで あり、
「個の超越」
「世界との融合」と
すら表現されてきたものである。
ロック・クライマー達の記述・・・いろんなことが「 自動的」にすすむようになると… 口
ある意味でほとんど自我 のない
状態になつて一―どういうものか、考えることなしに、また全く何もしないのに …・正しいことが運ばれる… ,そ れで
だんより気分が集中している。禅が精神の集中であるように、これは瞑想のようなものでしょう。やらねばなら
もら、
ないただ一つのことは、心を一 点に集 めることです。何物かに到達するために精神の焦点を結ばせる能力がたい
せ つです :
ロ フロー状態にある人のもう一つの特徴は、彼 が 自分の行為や環境を支配しているということである。
■ あるハンドボールのエースも、この 自分に対する支配という考えを強調する。
「・"ゲ ームに完全に集中している時
には、自分の他には何もない 一一ボールを扱うという行為以外に何も存在しない、…・(相 手のプレイヤーが)そ こ
にいるはずなんですが、彼にはかかわりがないんです。その点で私は彼と争 つているのではないんです。私はボ
ールのあるべき点に完全に正しくボールを置こうとしているのであって、それは勝つとかまけるとかいうこととは関
係ありません」
日 あるバスケットボールの選手の次の言葉は“・
「・・・僕がとびきり上等のゲームをしている時 には、ゲームが終わ
・.得 点を忘れちゃってラッセルに聞くんですね 。彼は答えるんですが 、仲間の奴らは
るまでそれがわかりません・・
それが皆の気勢を挫くといって僕をからかうんですよ"・
フロー経験 の最後の特徴 は「 自己目的的な性質」
である。換言すれば、明らかにそれ 自体のほかに目的や報酬を
必要としないということである。
この研究の第2の 理論面での成 果は、遊戯的行動の機能に関するものである。…・この視角から遊びを眺める時
に導き出される結論は、遊びの機能は我々が「フロー 」と呼んできた、ある特殊な状態の経験をもたらすということ
である。
☆「 楽 しみ の 社 会 学 」
Mコ
チクセントミハ イ 新 思 索 社
り
14
く
難卜■
ライスボウル レビュー
0_01
7
2■ 101
D
1-10
O
1]11T「 ア
ギ
ll「
il「 :1‐
マ
マ
│││11,ず
rllll奮 ││■ │
│││■ ││
QB斎 藤 11→ WR梅 本9今 季もっとも有効だったブーッ
1
0¨
1
0-71.
1
7-7
2
7-141
‐
3
7-171
41131:
0
3
7-17
1-10
0
ギミックプレー (欺 きのプレー)
3
10124
3率 (ol)
0
だ││││す │
縫
認彗
繁
鋒
輩
│lt・ 111い す
葬
す
4
10… 31
4-10
0
P伊 豆17が フェイクパンでキープ
4
10134
4■ 51● 1‐
11■
4…
″■
OI
0
5
219 111
│ウ
P伊豆17フェイク・パント パス通つたが第1ダ ウン獲得できず。
O‐
│
■
10
│“轟
二lR栞 十11
‐
││ │.
1■
││
11・ │li■ ││■ │■ 11‐ │■
・
1■ │
一
明
謝
一
一
一
一
一
調
一
一
調
一
一
一
一
説
,︲
9
3
5
4
鮮
一一
一
o
丁
一
3
7
一
一
4
T
2
7
一
一
F一2
2
5
一
一
一
︲
︲
︲
︲
︲
︲
.
,
,
,1
15
4曹 }■
昨年 か らの キ ープレー Q.Screen fake boots
″
レt
E T
よ
Q■ 角
λ
]9角 勧 フア惨
η
縣縫(
偽 凛 魚解ぁ鴨 して、
、N
川
卜
可
ξ雅鏃編 爵
T
'議
`
嘉雛脇称移
靭電i解
η
〆Pl
十替秒↑ウ
イ
・
イ
Z林 為
鋤ι
■月け←り
″Rち lた 4
啄う
い
′
得イム
→チで
ラ
負ブ
ヘ
d77。 レ
く
難卜■
第 2プ レー 相手 の 度胆を抜くスペシャルプレー
物
rろ
/11ヾ 印粋弥
ケz手 ④□―
ウ
嚇
終認甥
鵜尋舞ト ヘ
,
Lエ ニ ユ _JB
L%切 卜熱 ′
7じ
Fake Punt l
第 lQ敵 陣 47ヤ ード
T髯 。
N
T
く
懲>■
第 4ダ ウン5ヤ ード(失 敗 )
B
く
勤卜■
Fake Punt2
第 3Q敵 陣48ヤ ード 第 4ダ ウン13ヤ ード
FS
,
▲
ヽ
ヽ
―
C
ヽ
c
SSへ んヽγv Vいム
νハ
v∼
、ハハr
∼ ∼∼∼
^´
B
B
T
︵
︵
︵
N ﹂
^∼
河ハ
釧
Vν
Ч
ヽ
ヽ
中
19
く
麟》■
t
Fake Punt3
第4Q自 陣42ヤ ード 第4ダ ウン10ヤ ード
B
T
N T
B
B
。
は 2
く
難)■
伊 豆 をバ ンタ下 に専念させた理 由
■特別な任 務を帯びたバ ンター
■圧 倒 的不 利を覆す ための 切 り札
■QBと しての 伊 豆 は 封 印
でなお買矢シャルプレーのためのパンター
・ 交代自由⇒スペシャリストのスポーッ
.こ
囃'薫蹴
や
ぽ
4Q
輩耐黒弓
輻均ガ舜響
ハ
21
く
爆
警ト
饉
交代のスポーツ
■
■
交代 が 自由 に行えるスポーッ
スペシヤリストのスポーツ
■
■
分業 のスポーツ
コーチも分業 の 一部
■
■
資本主義のスポーツ
「才能 の市」としての 人 口国家アメリカの発想
☆「メンバーチェンジの思想」 中村敏雄 出版社
☆「スポーツルールの社会学」 中村敏雄 朝 日選書
☆「アメリカ素描」 司馬遼太郎
22
■
く
慇か■
メンバ ー チェンジの 思 想
■
19世 紀後半に至るまではむしろイギ リス的ともいえるスポーッの行い方やその精神を重視 していたアメリカで、なぜメ
ンバーチェンジというルールが 思 いつかれ導入されることになったのかというところに、この 問題の核心があるといえ
る。
■ アメリカにおける個人主 義は南北戦争直後 (1865年 )に「あたかも見えざる手の
不思議な精確さで、時機を見定めて
口社会は、生存のために競争する個人の
・「
起 こったJと 言つてよいようにあらわれた 。
単なる集合である。個人の競争
の力は全く各人の力価 、努力にかかっている苛烈な生存競争で、勝利は強者
『適者』に帰するし、その報償は努力の
割合に応じ、分に応じて来るものである…・」というものであった。大統領になつたウドロー・ウィルソンも、ハーバード
「アメリカ文 明の主動力は個人主義であつた」との見解を示し、これが 19世 紀 から20世 紀 にかけて
大学 …・も、ともに
学会や社会の「主要な風潮」を形成した・・。
そしてこの時代 が 、アメリカの3大 スポーッといわれる野球、バスケットボ
ール 、アメリカンフットボールの生成・発展期であつたこと、またこれらが先の主要な風 潮の担い手である
VVASP(VVhite Ang10中 Saxon Protestant)ら によって進められたことも明らかで…・
.
■ メンバーチェンジというルールが 内臓している考え方は、チャンスやピンチに
「最適」のプレーヤーを活用して勝利を、
あるいは最 良の結果を導き出そうとするものであり、したがってこれを完璧な形式で導入すれば、例えばそれ は今 日
のアメリカンフットボールが典型的に示しているように・…個人主義と適者生存の思想の強い主導性 が 、アメリカンフ
ットボールをこのようなルールでプレーされるスポーッヘ と発展させたといってもよいと思われるし、程度の相違 はあ
るにしても、野球やバスケットボールもこの思想の影響のもとでメンバーチェンジというルールを導入したと考えられる
☆「メンバ ーチェンジの 思 想 ルール はなぜ 変わるのか」 中村敏 雄 著 平 凡社
23
《
撒≫■
この ようなルールを生み出した思想は、一方に勝利至上主義的な思想を内蔵しながら、むしろそれゆえに、…・身分
や地位にこだわり捕らわれる考えを排除する方 向へ とスポーツを発展させた。チームを勝利へ と導くのは貴族 という
身分でも、白人という人種でもなく、運動技能の高低 、巧拙という
「能力」であり、高度な技能の持ち主であれ ば身分 、
地位、民族、人種などを問う必要はなく、やがてこれが「資本の論理」や「人道主 義」などを背景 にしながら徹底されて
いくにしたがって、人種差別の壁も次第に突き崩されていくのである。
アメリカのスポーツに貫徹している、したがってまたメンバーチェンジというルールにも内蔵されている平等主義の追
及・実現ということのもつ意味や価値は十分に注 目され評価されるべきであり、
・・・
アメリカ生まれのスポーツによって広く流布されたメンバーチェンジの思想、すなわち「適者生存」の思想が、もちろん
それは先行する資本主義社会という基底的条件の成立・発展という土壌 の上においてではあるが 、機能主義的人間
観の拡大・浸透に果たしてきた役割を忘れるわけにはいかない。
1835年 と1840年 の二度 にわたってアメリカを訪れたフランスの貴族 …・ドクヴィルは、
・F`「 合衆国に滞在 中、"・
諸階層の平等ほど私の 目を驚かせたものはないJ・ "そ こでアメリカ人たちは、生活のあらゆる場面で貴族や人民な
どという差別を排除することに努力していたが、それはスポーッの世界 においても労働者であることを理 由に彼らをア
マチュアから排除するというようなルールは制定しないことにもあらわれていた。
・・・これと並行して、そこには新しい「身分」とも
『地位」ともいえるものとして、個 人の「能力」あるいは「記録」が登場し
「現代スポーツの明確な特質」の一つとして「記録万能主義」
つつあつた。… 口
をあげているが、これが彼の指摘するも
「平等化」と並行してあらわれ発展してきたことは…・
う二つの「特質」である
スポーツに持ち込まれていた貴族やブルジョアジーなどという身分や地位が、…・替わって登場した平等主義が 定着
・普遍化するなかで、スポーッマンたちはすべて対等・平等な<プ レーヤー >と なり、それによって、誰にでもその「
能
力」や「記録」に基づいて 自由にメンバーチェンジする機会が与えられることになつたといってよいであろう。
☆「 メンバ ー チ ェンジの 思 想 ル ー ル はなぜ 変 わ るの か 」 中 村 敏 雄 著 平 凡 社
24
く
難卜■
アメリカフットボ ール の 特徴
■ アメリカンフットボー ルの 最大の 特徴 は 、プレー が止 まること
■ そ して、選 手 の 交代 の 自由度を極 限まで高 めたこと
(15人 から)11人 ルールの承認でフットボール対抗競技 協会の革新に対する欲求を感じ取つた (ウ ォルター・)
キヤンプは 、この 1880年 にもう一つ、より決定的な提 案を発表した。2チ ームがラインアップするときに、
従来
のラグビー形式のスクリメージ (ス クラム )を 廃止し新しい体型を使用するというのだった。ラグビー・ ームに
ゲ
は理 論的に見て明白な弱点があると主張した。彼の判断によれば、15∼ 20ヤ ード前進しても、そこか ら
ボー
ルの所有権を失う危険性のあるスクラムを強いられるのは馬鹿げたことだ。16名 の大きなフォワードがもみ
あつて偶然に転がり出るボール 、これをとる機会が 両チームとも平等なのもおかしい。…・チームが敵のゴー
ル
ー
目
し
を
指
ボ
ル
に
を
め
前
方
進
る
は
の
間
に
、
そ
力
努
対
ン
こ
カま
づ
理論
た
け
。
踊譜轟I象庸凛彗建寿
前進する時 はボール を維 持させるべ きだ。(「 新 フットボ
所有権の確立 とは、あらゆる財 (商 品。資本 、貨幣 、労働 力、サーヴィスも含むことに注 意 )に 関して、所有権
が 決 定 していることをいう。日●●日本などの資本主 義未熟 国においては、
「所有」という考 え方 はないか 、あっ
ても確立 され ていない 。"・ 所有というのは財 の 私 的所有権なのである。資本主義の要 諦 は 、この 的所有
私
・・・所有権 は絶 対であるとは、資本主義 的所有 権 の特 徴であるが 、 の
権 である。
そ 背後には、キ リスト教 的
神観 が ある。… Ⅲ
資本 主義において所有権 は絶 対である。それが絶対でないことには、経済 主体 (企 業と消
費者 )は 、目的合理 的生産計 画、消費計 画を立 てることができないからである。また、商品は、支障なく流通
・・・所有 の絶 対性 こそ、資本 主義の生 命である。…・所有権 が絶 対であるとは、… Ⅲ
することが できない 。
所
有物 の使用 、収益 および処分 ということである。
(「 資本主義原論 」
小室 直樹著 )
25
く
難》■
なぜプレーを止めたのか ?
プレーを止めたら何 が起きたのか ?
■
■
次 の 意 図と計 画 (作 戦 )を 明確 に定 め 、全 員 で共有することができる。
その 計画 の 質 の重 要性 が 高まるため 、分析 や 準備 が 必要 になる。
■
■
■
■ ■ ■
選 手の交代が可 能 になる。
コー チが 指 示をすることが 可能 になる。
止 まることでプレーごとの 始 点と終 点が決まることになった。これ によって
時間や距離 の 測 定 が 可能 (容 易 )に なり、数量化 が 可能 になる。
チーム や選 手個 人の パ フォー マンスを数量 化することができるようになる。
O△ の 図で視 覚化できるようになる。
計画 の 合理性 B妥 当性を検証することが 容 易 になる。
アメリカンフットボールはアメリカという国のあり方そのもの ?
「スポーツは社会 のモデルである」(故 領家穣元部長・社会学部名誉教授 )
26
ゼ
難卜■
サツカー、ラグビー、アメフット、野球
ー
│
1発 祥地
ィギ リネ│ ‐
‐ ││ ‐
イギリス
アメリカ
プレー
連続的 (止 まらない)
連続 的 (止 まらない )
断続 的 (止 まる)
ル
‐
ル
│‐
1863年
│‐
化
│
‐
1871`F
1880年 頃
│:
アメリカ
断続 的 (止 まる)
‐
│
1845年 頃 ‐ ‐
3人 (以 前 は交代できな
選 手交代
かった)
7人 (以 前 rま 交代できな
かつた )
完全 に 自由 (何 度 でも交代
可)
出場 可能者数
11人 (+交 代者 ).
15人 (+交 代者 )
‐
ベンチ入り人数
―
(● ホあ大学は無寵銀).
試 合での判断
選手 自身の判断
選 手 自身の判 断
コーチの判断+選 手の判断
監督 の試 合関与
強く制限
数量 データ
審判
判定
■
│
│
‐
1零
暴 1強
.
:
直摯申 関││ ‐│ │
1こ
少ない
少ない`卸
3人
3人
審判
審判
│
‐
│
│││ │.│││‐
自由 (退 場 後 の再 出
場 は不 可 )
‐
ベンチ入 り人数
コー チの半1断 +選 手の
判断
直接ltl=関 与
│‐
多い
最も多い
セイバーメトリクス
7人 ‐ │
3人 ■
審判 +ビ デオ判 定
審判
│ │
‐
く
蠍}■
ご清聴 ありがとうございました
28