ペーパースラッジ焼却灰 - 久留米リサーチ・パーク

平成25年度可能性調査(FS)事業の成果紹介
PS灰(ペーパースラッジ焼却灰)を用いた
土質改良材の検討
江渕設備株式会社、 九州産業大学工学部、 (株)久留米リサーチ・パーク
平成25年7月 ~ 平成26年3月
目
的
江渕設備(株)では八代市の日本製紙(株)より排出される産業廃棄物「PS灰(ペーパースラッ
ジ焼却灰)」を回収し,「PS灰を主体とした土質改良材」を開発し,建設発生土のリサイクルに
活用する取り組みを行っている。すでに実用利用されている土質改良材(エナジーソイル)は従
来使用されている「生石灰系」の土質改良材に比べ,①高含水土に使用できる,②pHが中性域で
河川環境基準に適合している,③低コストである,④ポーラスな材質なので有害物の吸着が期待
できる等の特徴を持っている。
有効な特徴を維持しながらも,さらに低コスト,低環境負荷となる土質改良材を開発すること
を目的として,九州産業大学工学部都市基盤デザイン工学科林研究室と共同で研究を行った。
取組概要
公共工事で求められる改良土の強度はコーン
指数qc≧800kN/m2とされるが,現場ダンプの乗
り入れによるわだち掘れ(写真1)が敬遠され
る。qc=1,200kN/m2程度まで強度を上げること
で問題は解決される(写真2)が,固化材添加
量の増加のため不経済となる。
土質改良材に使用する材料や配合割合を見直
すことで,低コスト,低環境負荷となる土質改
良材の開発に取り組んだ。数種類の対象土に対
し,実験室での配合試験(写真3)を繰り返し,
効果的に必要なコーン指数(写真4)を得るた
めの最良の配合を求めた。
成
写真1 qc≒800kN/m2の地盤
写真2 qc≧1,200kN/m2の地盤
写真3 配合試験
写真4 コーン指数試験
果
qc=1,200kN/m2程度に改
良するために必要な土質改
良材の添加量から,その費
用を求め,生石灰(L)によ
るものと比較した(図1)。
エナジーソイル(ES)より
も安価に処理できる土質改
良材(ESA~ESH)が得られ
た。
図1 各種土質改良材による費用比較
写真5 江渕設備土質改良プラントでの配合試験
今後の展開
新たに開発された土質改良材を用いて,江渕設備(株) 土質改良プラントにおける実機による改
良実験を行うことで,実証性を確認する。さらに広範な土質に対応できる土質改良材の開発等に
も取り組む。