モノづくりを活性化させる現場力再生講座 10

連載
モノづくりを活性化させる
現場力再生講座
第 10 回
西沢和夫
西沢技術士事務所 所長
QC 工程表を活用して生産ラインの品質保証レベルを高める
の作業者が比較的多く、
「作業に不慣れな作業者
ケーススタディ
が多いのも原因かもしれない」と言う。
今年になって、ベテラン作業者の定年退職があ
り、明らかに技能のレベルが低下している。筒井
中堅プレス企業 S 社の第 1 ラインでは、今年
係長は、新人作業者のために作業標準書を作成し、
になって品質不良とクレームが多発している。そ
最終検査もやっているが、不良品が工程の間を流
の原因は、機械故障・作業ミス・材料不良などい
れてしまうとのことであった。佐藤工場長は、他
ろいろと考えられる。しかし、結局は人の問題が
社では QC 工程表(図 1)というツールを使って
背景にあるらしい。佐藤工場長が第 1 ラインの筒
工程間の品質保証の効果を上げているとの話を聞
井係長に品質不良に対する対策をどうやっている
いたが、自社でどうやったら良いか悩んでいる。
のかを聞いたところ、
「作業標準書を作成しまし
た」との返事があった。ところが、それでも再発
ケースの問題点
を繰り返していて、
「自分もどうしたらよいか迷
っている」とのことである。第 1 ラインは、新人
このケースの問題点として、次の点がある。
○生産ラインの品質保証のためには、作業標準書
の作成だけでは対応できないことを監督者が知
らない
○工程間の品質保証のためには「QC 工程表」の
導入が必要であることを、監督者が知らない
○作業標準書と QC 工程表はセットで使用しない
と、品質保証のできる生産ラインにはならない
ことを理解していない
QC 工程表がないとどんな問題が
発生するか
QC 工程表がないと次のような問題が発生し、
にしざわ かずお:本物の 5 S、生産改善改革、
管理・監督者指導に携わる。技術士
(経営工学)
、中小企業診断士 TEL・FAX:052−758−0532 e−mail:DQF02033@nifty.
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プ レ ス 技 術