モノづくりを活性化させる現場力再生講座 最終回

連載
モノづくりを活性化させる
現場力再生講座
最終回
西沢和夫
西沢技術士事務所 所長
7 つのムダとりによって儲かる生産現場をつくる
新たな生産ラインを導入したため、レイアウトの
ケーススタディ
悪さによって作業者の動きが悪くなっていること
は承知している。しかし、今の時間は始業から 2
時間も経過しており、各職場では本作業に入って
中堅プレス企業 T 社では、最近になって納期
いるはずだ。しかしながら、作業が着実に進行し
遅れが続発しており、納入先から具体的な対策を
ているようには見えない。佐藤課長を呼んで生産
立てるように厳しく要求されている。生産現場に
現場の稼動状況がなぜこのように乱れた状況にあ
は派遣社員が多くなり、同時にベテラン作業者の
るのか、その理由を問いただした。答えは「私も
退職に伴って新人社員も増加している。山田工場
よくわからなくて困っているんです」というあい
長が生産現場を巡回していて目に付くのは、工場
まいな内容であった。
内を歩き回る作業者、部品や材料を運搬する作業
工場の作業者が付加価値を生む作業を継続して
者、生産現場で作業をせずに手待ちしている作業
初めて利益が生まれるのに、このようなことで良
者だ。さらに、加工機械の故障のためか、機械が
いのか。これでは、納期を維持することすらおぼ
故障停止しているのも目立つ。確かに工場内部の
つかなくなる。なぜ、こうしたことが多発するの
レイアウトを根本的に見直すことなく、無理やり
か悩む山田工場長である。
ケースの問題点
このケースの問題点として、次の点が挙げられ
る。
○生産現場のムダは、意識して取らなければ、さ
らに増加していくことを知らない
○不慣れな作業者が増加することでムダが発生す
ることを理解していない
○ムダには 7 つのムダがあり、ムダとりの方法を
実践しなければ、利益はおろか納期遅れもなく
すことができないことを理解していない
にしざわ かずお:本物の 5 S、生産改善改革、
管理・監督者指導に携わる。技術士
(経営工学)
、中小企業診断士 TEL・FAX:052−758−0532 e−mail:DQF02033@nifty.
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プ レ ス 技 術