第61回関東部会研究発表大会 救命救急センターにおける、 散乱線除去ソフトの視覚的評価 ~臨床使用に向けて~ 樫村太陽1 南 圭一1 田所秋宏1 河野千尋1 菊地光文1 小澤一夫1 相澤利彦1 高野建造1 中澤康弘1 遠藤裕二1 網本直也2 1日本大学医学部附属板橋病院 中央放射線部 2富士フイルムメディカル株式会社 Nihon University School of Medicine Itabashi Hospital 第61回関東部会研究発表大会 この研究発表の内容に関する利益相反事項は, ☑ あります 共同演者の網本直也は、 富士フイルムメディカル株式会社の社員です。 公益社団法人 日本放射線技術学会(JSRT) 第70回総会学術大会 Nihon University School of Medicine Itabashi Hospital 第61回関東部会研究発表大会 [背景] 散乱線除去ソフトの臨床使用に向けて画質改 善の効果と実グリッドとの差異を把握しておく必 要がある。「救命救急センターにおける、散乱 線除去ソフトの効果についての基礎検討」にお いてコントラストのばらつきは実臨床での撮影 距離の範囲で、Virtual Grid処理(VG)と実グリッ ド(RG)の間に有意差はなかった。臨床適用に向 けて視覚的評価を実施し、このソフトの効果や 傾向について把握しておく必要があった。 Nihon University School of Medicine Itabashi Hospital 第61回関東部会研究発表大会 [目的] 胸部ファントムを用いて散乱線除去処理 ソフトによって得られた画像と実グリッドを 用いた画像に対して視覚的に差異がない ことを評価する。 Nihon University School of Medicine Itabashi Hospital 第61回関東部会研究発表大会 [使用機器] • Sirius Star Mobile Flexible FPD Type (日立メディコ) • CALNEO flex (FUJIFILM) • 評価モニター (3MP RadiForce GS310) • 胸部ファントム • Grid Standard type 集束距離100cm(3:1) (三田屋製作所) • ApolloView (Dicom viewer) Nihon University School of Medicine Itabashi Hospital 第61回関東部会研究発表大会 [方法] 基礎検討により得られた胸部ファントム画像について 気管分枝部、心臓と重なる肺血管、肺血管中枢束、 横隔膜に重なる肺血管のコントラスト、全体像につい て3段階でスコア評価を行った。 SIDの違いがコントラストに与える影響をについて検 討した。 [対象] 救命救急専門医7人 放射線科医2人 放射線技師9人 (経験年数10年以上) Nihon University School of Medicine Itabashi Hospital 第61回関東部会研究発表大会 [方法1] 基準画像と評価画像の違いを下記の項目についてそれ ぞれ3段階のスコア評価をおこなった 評 (1)気管分枝部のコントラスト 価 (2)心臓と重なる肺血管コントラスト ポ (3)肺血管中枢束コントラスト イ (4)横隔膜に重なる肺血管コントラスト ン ト (5)全体像 RG SID100cm RG&VG(実測値&設定値) (1) 0点:劣る 1点:同等 2点:優れる 実測値群 実際の撮影距離を 入力して処理した 画像群 92cm,96cm,98cm,1 01cm,102cm, … 設定値群 (3) (2) (4) 基準画像 評価画像 設定距離のまま処 理した画像群 すべて 100cm Nihon University School of Medicine Itabashi Hospital 第61回関東部会研究発表大会 視覚評価の結果 気管分枝 1.50 RG VG 1.00 0.50 横隔膜 RG 心臓 0.00 VG 肺血管 (1)気管分枝部 (2)心臓と重なる肺血管 (3)肺血管中枢束 (4)横隔膜に重なる肺血管 RG VG P value 1.08 1.02 1.25 1.20 1.13 1.23 1.39 1.24 0.89 0.86 0.89 0.91 n=17 Use a Mann-Whitney U-test Nihon University School of Medicine Itabashi Hospital 第61回関東部会研究発表大会 全体像の結果 RG 全体像 VG RG VG P value 1.11 1.19 0.89 Nihon University School of Medicine Itabashi Hospital 第61回関東部会研究発表大会 Virtual Gridの条件設定画面 Virtual Grid導入時のデフォルト設定 ユーザーユーティリティから、VG処理(VGP)をONにしグリッド比などを 施設で使用されているものに設定を行う ここで、重要になってくるのが、撮影条件の設定である。 Nihon University School of Medicine Itabashi Hospital 第61回関東部会研究発表大会 Virtual Gridの条件設定画面 管電圧 mAs(管電流 曝射時間) デフォルト設定しておく。 撮影距離 Nihon University School of Medicine Itabashi Hospital 第61回関東部会研究発表大会 Virtual Gridの条件設定画面 撮影後に変更ができるものは 管電圧とmAs 撮影距離は変更できない! 実臨床では、必ずしも設定SID で撮影できないことも… Nihon University School of Medicine Itabashi Hospital 第61回関東部会研究発表大会 SIDの違いがコントラストに与える影響 1.90 (1)気管分枝 1.70 ス コ ア 1.50 1.30 ■RG ■VG実測値 ■VG設定値 1.90 1.70 1.50 ス コ 1.30 ア 1.10 1.10 0.90 0.90 0.70 0.70 0.50 0.50 92 97 103 106 109 114 SID(cm) 92 1.90 Result of F-test (1)気管分枝 (2)心臓 (3)肺血管 (4)横隔膜 (5)全体像 RG-VG実測値 RG-VG設定値 0.82 0.06 0.16 0.24 0.79 0.73 0.06 0.43 0.33 0.28 (2)心臓 97 103 106 109 114 SID(cm) (3)肺血管 1.70 1.50 1.30 ス コ 1.10 ア 0.90 0.70 0.50 92 97 103 106 109 114 SID(cm) Nihon University School of Medicine Itabashi Hospital 第61回関東部会研究発表大会 Result of Chest Phantom RG SID 92cm 100cm 114cm VG 設定値 Nihon University School of Medicine Itabashi Hospital 第61回関東部会研究発表大会 結果 • VGとRGとの間にはコントラストに有意差がないこ とが証明された。しかし評価者の印象としてはVG の方がコントラストが高い傾向にあった。 • デフォルト値として設定したSIDは、実臨床で想 定されるSIDのばらつきの範囲では、コントラスト のばらつきはなかった。 Nihon University School of Medicine Itabashi Hospital 第61回関東部会研究発表大会 考察 • VG処理は、基礎検討の物理評価と同様に視覚 評価でもRG画像と差異がないことが証明された。 • 今回、胸部ファントムにおいてVG処理は空気と臓 器が重なる部位でコントラストがばらつく傾向に あったが、評価の結果、臨床の場では無視でき るものと考えられる。 Nihon University School of Medicine Itabashi Hospital 第61回関東部会研究発表大会 [結語] • VG処理は、従来の実グリッドのような画質を 劣化させる因子は少なく、安定して散乱線の 少ない画像を提供できる。 • 実グリッドに代わる散乱線除去処理として、 今後は更なる画質改善を含めた、線量やプ ロトコールついても検討してきたい。 Nihon University School of Medicine Itabashi Hospital 第61回関東部会研究発表大会 ご清聴ありがとうございました Nihon University School of Medicine Itabashi Hospital
© Copyright 2024