2014年1月28日 分野別(環境)新技術説明会 (JST東京本部別館ホール) 多角バレルスパッタリング法とその応用 (高活性CO2メタネーション触媒) 富山大学 水素同位体科学センター 教授 阿部 孝之 現在 微粒子:工業製品(触媒等)、 化粧品、医薬品等に利用) 重要な製品、中間生成物、材料 一般には微粒子物質自身の特性をそのまま利用 高機能化 新機能発現 微粒子表面修飾・改質 微粒子取扱が難しい ★現在利用されている方法 湿式(めっき法) 方法が殆ど無い 問題点 ・水溶性の担体は不可能 ・行程が複雑 ・廃液処理が必要(環境問題) <問題解決> ドライプロセスを用いた微粒子表面修飾装置の開発 「多角バレルスパッタリング装置」 多角バレルスパッタ装置、多角バレルス パッタ方法及びそれにより形成された被 覆微粒子、マイクロカプセル及びその製 造方法、阿部孝之、渡辺国昭、本多祐二、 特許番号:3620842 (2004) <発表内容> 1)多角バレルスパッタリング装置の概略と原理 2)調製した各種微粒子試料 <担体> ○セラミック(Al2O3) ○高分子(PMMA) <修飾物質> ○金属(Pt, Au, ・・) 3)応用例 ○燃料電池電極触媒 ○CO2メタネーション触媒 <多角(六角)バレルスパッタリング装置の概略と原理> 特徴 バイブレーター ・六角形バレルの回転 粉体の攪拌、凝集防止 ・ターゲットの角度可変 ヒーター 振動装置 上昇 落下 修飾効率の向上 粉体スパッタリング法 < Al2O3微粒子の光学顕微鏡写真> Pt修飾前 120 mesh 100μm Pt修飾後 120 mesh 100μm 80 µm 100μm 20 µm 20μm <六角バレルと円筒バレルの明瞭な異差> (A) 円筒バレル (B) 六角バレル 図1 Pt修飾 平均粒径 20 µm Al2O3球形粒子の外観写真 100 µm 図2 Pt修飾 平均粒径 20 µm Al2O3球形粒子の光学顕微鏡 写真 ○直径50μm以下の微粒子で明らかな違い! <高分子(PMMA)へのPt修飾> 試料外観及び光学顕微鏡写真 修飾前試料 50μm 修飾後試料 50μm 修飾後試料 5μm 100 µm 架橋ポリメタクリル酸メチル微粒子 微粒子試料 (テクポリマー、積水化成品工業(株)) 平均粒径 5、50 µm 条件 ・スパッタ出力:100 W ・スパッタ時間:30 min. ・バレル回転速度:4 rpm ・ターゲット:Pt <50 µm PMMA微粒子断面の電子顕微鏡写真> 保護層 PMMA 保護層 Pt PMMA 未修飾 Pt修飾PMMA微粒子 ・ Techpolymer (積水化成): 3.0 g MB30X-15SS: (粒子径: φ 15 µm) XX450Z: (粒子径: φ 5 µm) ・ ターゲット金属: Au,Ag,Pd,Cu,Ni,Pt ・ スパッタリング: 100W,2.0 Pa(Ar),1 h (Ni:200W,2.0Pa,8 h) <多角バレルスパッタリング法の特徴> ○修飾可能な物質の多様性:金属、化合物(酸化物、窒化物等)、高分子等 ○任意な修飾形態の構築 nm~ 均一ナノ(マイクロ)膜 (適用)機能性(電子、磁気、光 等) 微粒子材料 スパッタリング条件の変更 (微粒子径、時間、電圧(パルス)、 シャッター) 均一ナノ粒子 (適用)高効率、高機能な触媒、電極 等 応用例 <PEFC型燃料電池アノード電極触媒の調製と評価> アノード電極触媒 Pt-Ru 合金 が有力 <実用化に向けた課題> ○ Pt、Ru 量の低減(コスト低減) ○耐久性の向上 解決策 ○合金微粒子の粒径が微細で均一(貴金属の使用低減) ○合金組成が均一(CO耐性の向上) 従来法:wet process バレルスパッタリング法:dry process ・合金粒径が不均一 ・均一な合金組成 調製不可 = 0:100 = 30:70 Pt:Ru = 50:50 = 70:30 = 100:0 バラバラ ・合金粒径が均一で微細 ・均一な合金組成 調製可能 Pt:Ru = 50:50 :均一 <Pt-Ru/CのTEM 測定 > ○ 市販試料 A社 B社 ○粒径;不均一 ○合金微粒子の凝集体が存在 Pt-Ru 合金凝集体 20 nm 20 nm Pt:Ru / at.% = 46.3:53.7 ~ 100:0 (n = 25) ○ 調製試料 Pt 2.5 wt.% Pt 9.4 wt.% Pt 4.1 wt.% ○粒径;均一 ○Pt 担持量;増加 20 nm 20 nm 300℃、2 h 加熱処理 20 nm 担持密度;増加 < 担持密度 > 10 nm 0.03 個/nm2 1.7 倍 10 nm 0.05 個/nm2 粒径;変化なし 2.0 倍 10 nm 0.10 個/nm2 Pt:Ru / at.% = 52.9:47.1 (± 5.4) (n = 128) < Pt-Ruナノ粒子の粒度分布> ●Pt:Ru= 51.0:49.0 ~ 89.4:10.6 (n = 22) 10 ●平均粒径; 4.5 nm (n =195) 5 0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 particle size / nm 15 10 0 0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 particle size / nm 30 ●Pt:Ru= 52.9:47.1 (± 5.4) (n = 128) ●平均粒径; 2.2 nm (n = 199) 2.0 4.0 6.0 particle size / nm ●平均粒径; 4.0 nm (n =122) 5 8.0 distribution / % distribution / % 10 ●Pt:Ru= 46.3:53.7 ~ 100:0 (n = 25) 20 < 50 W > 20 <市販試料 JM> 25 distribution / % distribution / % <市販試料 T> 20 10 0 < 30 W > ●Pt:Ru= 50.5:49.5 (± 7.0) (n = 32) ●平均粒径; 2.4 nm (n = 155) 2.0 4.0 6.0 particle size / nm 8.0 応用例 <CNF及びCNT表面への金属ナノ粒子修飾> CNF, CNT → 金属担持 Pt Au Pd 燃料電池用触媒 バイオセンサー 水素吸蔵材料 etc. 金属微粒子が高分散に担持 液相法(従来法) スパッタリング法(従来法) 金属錯体 → 前駆体 金属を直接担持 ○前処理必要 処理無 ○前処理不要・外表面に担持 局所的 不均一担持 金属前駆体の吸着サイト形成 処理有 金属 全体的 Ar+ M ○基板に成長・固定 → 不均一担持 均一担持 ○空洞内に担持 → キャピラリー効果 空洞内の金属は無駄 濃 淡 <Pt/CNFのTEM写真> 50 nm (%) 含浸/CNF 20 nm 20 10 0 0 50 nm 50 nm 10 20 30 40 50 60(D/nm) BS/CNF (%) 20 10 0 0 10 20 30 40 50 60 (D/nm) 20 nm <CNF空洞内のPt粒子> 回転 回転 外表面の粒子 : 移動する 空洞内の粒子 : 移動しない 30 ° 15 ° 0° -15 ° -30 ° 10 nm 30 ° 15 ° 0° -15 ° -30 ° 10 nm 含浸 CNT60 BS CNT60 含浸法 空洞内担持あり(37%) BS法 空洞内担持なし 応用例 <CO2の水素還元(CO2メタネーション)反応> ●地球温暖化 → 大気中CO2濃度の上昇 <解決方法> ○CO2の排出制限(京都議定書) ○代替エネルギーの利用(バイオエタノール、水素 等) ○排出CO2の固定化(地中・海底貯蔵、植林 等) ※経済性、安全性、信頼性等の観点から実行性のある方法論か? ◎触媒反応によるCO2の有用物質への変換 メタネーション反応: CO2 + 4H2 → CH4 + 2H2O ※通常の反応条件:300~400℃ → 新たなCO2発生 <本研究課題> 多角バレルスパッタリング法を用いた高活性なナノ触媒の開発 <TEM観察:BS触媒 vs.含浸触媒> 平均粒径:9.5 nm 幅広い粒径分布 低分散 30 30 25 25 20 20 15 15 10 10 20 nm 5 0 0 Distribution / % Distribution / % 平均粒径:2.5 nm 均一な粒径分布 高分散 5 5 nm 10 15 20 25 Diameter / nm 30 20 nm 5 0 0 5 10 15 20 25 Diameter / nm 30 5 nm CO2メタネーション活性: 120 CH4 収率 / % 100 CO2 + 4H2 触媒 BS触媒 CH4収率100% 160℃ CH4 + 2H2O BS触媒 ナノ粒子表面積:1.9 m2/g 反応ガス流速:14.2 mL/min 80 200℃低温化 60 40 含浸触媒 ナノ粒子表面積:0.5m2/g 反応ガス流速:14.2 mL/min 20 0 0 50 含浸触媒 CH4生成開始 120℃ 100 150 温度 / ºC 200 250 300 含浸触媒 300℃ CH4収率30% 二酸化炭素の水素還元用触媒及び二酸化炭素の水素還元方法、阿部 孝之、田口 明、特許番号:5392812(2013). <Ru粒径とTON値及び水素化開始温度の関係> 2.0 160 140 100 1.2 80 0.8 60 40 5 nm 20 ナノ化による不連続性 0 0.0 2.0 4.0 0.4 0.0 6.0 8.0 Mean particle size / nm 10.0 TON ×102/ s-1 Temperature / ºC 120 1.6 5 nm Methanation reaction analysis based on DFT calculation : CO2 + 4H2 → CH4 + 2H2O (CH3_ad + Had → CH4 ) Ru metal surface CH3_ad Ru metal : +29.0 (kcal/mol) Had Ru CH4 Nano-Ru : +19.6 (kcal/mol) TS < Reactant > Nano-Ru on TiO2 Ru < Product > CH4 CH3_ad CH4 Had CH3_ad + Had TiO2 < Reactant > Energy barrier, - Potential Energy diagram - < Product > Nano-Ru on TiO2 << Ru metal surface 有人宇宙活動を可能とする技術確立 (JAXAとの共同研究) (20年後頃までに):次期国際有人宇宙計画への参加 (現在~10年後頃までに) © ○ 現在のISSでの生命維持 (呼吸) JAXA CO2 民生展開 ナノ触媒 呼吸 (人) © JAXA ○ 予想される月面や火星基地での生命維持 (呼吸) O2 生命維持:地球からの輸送なし 循環・再生型 挑戦! 微粒子表面のナノ修飾・改質 ○多角バレルスパッタリング法 ○多角バレルCVD法 ○多角バレル表面改質法 Nanofabrication technology on fineparticles 独自な手法 5 nm Ru/TiO2微粒子 微粒子の機能化 Functional Fineparticles 微粒子「表面」の ナノデザイン Nanosurface 不連続性による 特異な効果 高機能性ナノ表面(材料)の構築 Ti微粒子の表面窒化 ○エネルギー ○環境 連絡先:富山大学水素同位体科学研究センター 電話:076-445-6933、e-mail:[email protected] お問い合わせ先 富山大学 産学官連携コーディネーター 永井 嘉隆 TEL 076-445 - 6391 FAX 076-445 - 6939 e-mail yonagai@adm.u-toyama.ac.jp 10
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