world news 大面積イメージング 高速光応答タイプの a-Si/MoS2 光検出器 カリフォルニア大学バークレー校 (UC によって、この問題を解決した。a-Si 化学蒸着によって 100nm 厚 a-Si 薄膜 バークレー)の 2 人のエンジニアは、医 とともにダイオードを形成することで、 で被覆された MoS2 フレークから成る 用画像の高速化を低コストで実現する MoS2 は、そこで集められた光生成電 (図 1 ) 。金( Au )とチタンのコンタク ために、2 硫化モリブデン( MoS2 ) を追 子が a-Si 内を 10 倍速く通過することを トも電子ビーム蒸着によって追加され 加したアモルファスシリコン( a-Si ) 金属 可能にする。この検出器は緑色光に対 た。また、MoS2 のない制御デバイス −半導体−金属ヘテロ接合光検出器を して 210mA/W の光応答性をもち、通 も作製された。 開発した 。2 硫化モリブデンは良く知 常のa-Siデバイスに比して2〜4倍高い。 このデバイスの光応答性を標準的な られた乾燥潤滑剤である。 研究者たちは、これらの材料が取り 青色、緑色、赤色 LED を光源として約 大面積イメージング装置における多 扱い容易で、安価なので、光検出器の 0.4mW/cm2 の入射パワーで測定した。 くの光検出器には、光をよく吸収し、 高速化に要するコストを最小にできる 3 つの LED 光に対する応答性は MoS2 加工コストが比較的安価であるという と語っている。Si などの従来型半導体 含有デバイスの方がかなり高かった。 理由で、一般に、a-Si が使われている。 と異なり、MoS2 は、本のページのよ 検出器の過渡応答も調べた。a-Si デバ しかし、a-Si は、高速で規則的な電子 うに引き剥がすことができる個々のナ イスで 3 〜 5ms の残留伝導率が測定さ の運動を妨げる欠陥を含むため、動作 ノシートから成る。これらのシートは、 れたが、MoS2 含有検出器ではこの残留 速度が遅く、光照射量が多くなりがち 薄い新規電子デバイスの作製または既 応答は測定されなかった。結論として、 である。優れた性能を得るには、イメ 存のデバイスの改良に利用されるであ 新しい検出器のイメージング速度は従 ージング装置のコストに加えて、より ろう。 (1) 高価な高温処理が必要になる。 来の a-Si 検出器に比して 10 倍速くなっ たと、研究者たちは語っている。 セイエーフ・サラフディーン氏 ( Sayeef 機械的に剥離されたフレーク Salahuddin ) とモハマド・エスメイリ‐ラ この構造は 2 酸化ケイ素( SiO2 )基板 生物医学イメージングに利用されるで ッド氏( Mohammad Esmaeili-Rad ) は、 上にあり、60nm 厚の機械的に引き剥 あろうと、研究者たちは指摘する。1 MoS2 薄膜を a-Si シートと対にすること がされた(剥離された) プラズマ増強 例でいえば、a-Si/MoS2 光検出器の高 この新しい光検出器構造は大面積の 速度応答によって、フラットパネル X 図 1 メカニカルに引き剥がさ れた 2 硫化モリブデン (MoS2 ) フレークは従来の a-Si 検出器 よりも高速かつ高い光応答性 を持つ新しいアモルファスシリ コン( a-Si )ベース光検出器の 心臓部である (a) 。MoS2 有り と無しの a-Si 検出器の光応答 性 を比 較し、MoS2 追 加 の価 値を示した( b ) 。 (資料提供;モハマド・エスメイ リ - ラッド氏) (a) 光 Au a-Si MoS2 (b) 光応答性 (mA/W) 250 200 a-Si 厚み:100nm 線イメージャのフレームレート 10 〜 1000Hz よりもかなり速い、最高数キ ロヘルツのフレームレートを達成する であろう。しかし、実用的用途では、 機械的剥離に代わって、化学蒸着など の大面積製造アプローチの開発が必須 である。究極的には、MoS2 トランジ スタとの集積が達成され、大型でモノ リシックな光電子イメージングデバイ a-Si/MoS2 スが生まれるであろう。 150 a-Si 100 50 0 線イメージャは、従来の a-Si ベース X 400 450 500 550 波長(nm) 600 650 ( John Wallace ) 参考文献 ( 1 )M. R. Esmaeili-Rad and S. Salahuddin, Sci. Rep., 3 , 2 3 4 5 ( Aug. 2 , 2 0 1 3 ); doi:10.1038/srep02345. LFWJ Laser Focus World Japan 2013.11 15
© Copyright 2024