5.3.5 S柱梁接合部 - 構造設計システムBRAIN

5.3 柱の断面設計
5.3.5 S柱梁接合部
5.3.5 S柱梁接合部
INDEX: 対象部材の選定・柱梁接合部の検定・メッセージ
すべての設計ルートに対して、
「鋼構造設計規準」日本建築学会(2005 年版)の「14.12 剛接合柱は
り接合部」に従って、1 次設計時応力に対して検討を行なう。異形接合パネルの扱いは「鋼構造接合部
設計指針」日本建築学会(2006 年版)に準拠する。
柱梁接合部とは S 柱の柱頭とそれに取り付く S 大梁との接合部分をいう。柱梁接合部はプログラム上
では柱頭にだけ存在するものと取り扱い、最下階および下階に S 柱が存在しない柱の柱脚部分の接合部
については検討しない。
柱梁接合部の検定結果はその部材の検定結果(OK,NG)に影響する。
上階柱
▽FL
柱梁接合部
検討柱
図-5.3.5.3 柱梁接合部
(1)対象部材の選定
柱梁接合部の検討は柱に対してz方向、y方向の 2 方向について、それぞれの方向に対して①~④の
条件に従って検討を行なう。
①対象柱の選定
検討柱は S 造の鉛直柱と斜め柱で、下記の条件をすべて満足する柱とする。鉛直柱とはダイアモン
ドグリッドにおいて、同一通上の上階と下階の格子点を結んだ線上の柱を指し、斜め柱は対角の格子
点上の結んだ線上の柱を指す。
・柱頭が固定
・鉄骨形状が□、○、H、I 形鋼である。
「その他鋼」は柱梁接合部の検討はしない。
① 右対象大梁の選定
第一段階として、対象柱の柱頭に取りつく S 大梁のうち I 形鋼かつ柱梁接合部側の端部条
件が固定の梁をピックアップする。このときに斜め大梁も条件を満足すれば、ピックアップ
の対象とする。柱梁接合部の左右の梁がすべてピン接合の場合は検討対象梁がないとして、
柱梁接合部の検討はしない。S 大梁は、斜め大梁(対角グリッド上の梁)も対象とする。斜
め大梁とはダイアモンドグリッドにおいて、対角の格子点を結んだ線上の大梁を指す。
第二段階として、検討方法に対して±45°以内の柱頭に取り付く大梁のうち検討方向に一
番近い梁を最大 2 本選択し、検討対象大梁とする。
B-5.3.5-1
5.3 柱の断面設計
5.3.5 S柱梁接合部
② 上階柱の条件
上階の柱の有無に関係なく、柱梁接合部の計算は行なう(鉄骨形状、端部条件、構造種別に無関係)
。
上階柱が冷間成形柱であっても計算する。上階に柱が存在する場合は、鉛直柱のみを対象とする。斜
め柱が取り付く場合、斜め柱は取り付いていないものとして扱う。
また、柱梁接合部にピンまたは剛ブレースが取り付く場合は、ピンまたは剛ブレースは取り付いて
いる場合でも、計算には影響しない。
③
梁接合部の周辺部材配置を確認
左右大梁の梁成が接合部で交わらない場合は、柱梁接合部の計算は行なわない。左右大梁の梁成
が交わるか否かは、柱面位置において幾何学的に判断する。一方の梁の下フランジ下面ラインが
もう一方の梁の上フランジ上面ラインと同レベルの場合は、梁成は交わらないとする。
上フランジの上面面
下フランジの下面
左右大梁の梁成が交わる。
左右大梁の梁成が交わらない。
→柱梁接合部を計算する。
→柱梁接合部を計算しない
図-5.3.5.4 左右梁成の位置関係
(2)柱梁接合部の検定
柱梁接合部は梁の上下フランジ位置でダイアフラムまたは水平スチフナーなどにより、柱フラ
ンジの局部的な曲げ変形に対して適切な補剛がなされているものとして、S 規準(2006 年版.p
109)に記載のある(1)式によって検討を行なう。ただし、長方形 BOX 柱の形状係数κ値と異
形接合部パネルの扱いについては「鋼構造接合設計指針」日本建築学会(2006 版)に準拠する。
|bM1+bM2|/Ve ≦ 2×fs
・・・(1)
B-5.3.5-2
5.3 柱の断面設計
5.3.5 S柱梁接合部
hb
hc
tw
tw
ケース B
ケース A
tf
hc
bc
tw
ケース C
tw
ケース D
hc
図-5.3.5.5 断面寸法
Ve:パネル有効体積で、柱の形状に応じて下記の値をとる。
<ケース A>
Ve=hb×hc×tw
→ S 規準では形状係数は考慮されない。
<ケース B>
Ve=2×hb×hc×tw
<ケース C>
Ve=2×(1/κ)×hb×hc×tw
→ S 規準および接合部設計指針で形状係数を考慮している。
長方形断面の形状係数は、接合部設計指針による。
長方形断面の場合:
κ=
1
1

2 2bc・tf
bc・tw

1
3 hc・tw
3bc・tf
正方形断面の場合:κ=9/8 (長方形断面の式より計算する)
<ケース D>
→ S 規準および接合部設計指針で形状係数を考慮している。
B-5.3.5-3
5.3 柱の断面設計
5.3.5 S柱梁接合部
Ve=(π/2)×hb×hc×tw
tw:柱材の板厚を用いる(柱材は上下に柱がある柱梁接合部は下柱)
。
hb:梁の上下フランジの板厚中心間距離
左右それぞれのhbを計算し、両者の小さい値を採用する。
hb
hb
hb
図-5.3.5.6 梁せいが異なる場合の hb
hc:検討柱自身の下記の距離と検討柱の上階の下記の距離の平均をとる。
H 形断面柱の左右フランジの板厚中心間距離(ケース A)
、
H 形断面柱のフランジ間距離(ケース B)
矩形空中断面の柱の左右柱板厚中心間距離(ケース C)
、
円形鋼管断面柱の板厚中心における直径(ケース D)
ただし、上階がS柱以外の場合は、上階のhcU は 0.0 とする。
hc=(hcU+hcL)/2
hcU
hcU
▽柱心
▽柱心
eh
▽FL
▽柱心
eh
▽柱心
hcL
hcL
図-5.3.5.7 上下階で柱幅が異なる場合の hc
B-5.3.5-4
5.3 柱の断面設計
5.3.5 S柱梁接合部
bM1、bM2:短期地震時(荷重ケースが「短期」
)にそれぞれ左右の梁端部(柱フェース位置)
に作用する曲げモーメント
応力の符号は下図で表記した応力の向きを正とする。
cM1
bM2
bM1
cM2
図-5.3.5.8 曲げモーメントの向き
<bM1、bM2 の補足>
・柱面で左右大梁の曲げモーメントが逆方向に応力がある場合の例
柱面
-70
|bM1+bM2|=|-(-70)+(+19)|=89
+19
・柱面で左右大梁の曲げモーメントが同方向に応力がある場合の例
-70
-19
|bM1+bM2|=|-(-70)+(-19)|=51
柱面
fs:長期許容せん断応力度 fs=F/(1.5√3)
※柱材の鋼材強度を用いる(柱材は上下に柱がある接合部は下柱)
。
※H 鋼の場合は、ケースAならばウェブ強度、ケースBならばフランジ強度。
(3)メッセージ
①モデリングフェーズの S 柱の「応力設計 PRO」において「S 柱梁接合部の検討をしない」指定
の場合は、
「S 柱梁接合部の検討は行なっていません」という補助メッセージを出力する。
②検討柱の下階に柱がない場合(=おか立ち柱)は、
「柱脚部の柱梁接合部の検討を行なっていません」
という補助メッセージを出力する。
B-5.3.5-5