5.3.1 共通事項 - 構造設計システムBRAIN

5.3 柱の断面設計
5.3.1 共通事項
5.3 柱の断面設計
INDEX: 設計位置・設計用応力・設計結果保存位置・配筋結果保存位置・
S・CFT柱の座屈長さの計算・主筋重心位置・RC部材の主筋配置・SRC部材の主筋配置・
SRC部材の鉄骨位置・鉄骨の有効断面性能の計算・耐力壁付帯柱の付加軸力
5.3.1 共通事項
(1)設計位置
設計位置は両端部、中央の 3 点と、構造種別により次の箇所を加える。ここで、端部はフェィス位置で
あり、中央部は内法長さの中央とする。また後述の危険位置(X)はフェイスより内側にある剛域端部ま
たは危険断面位置である。各方向のフェイス位置、剛域端部や危険断面位置は原則異なるので、それぞ
れの位置で設計する。
① RC 造柱
危険位置の最大 2 点。
(合計最大 5 点)
② SRC 造柱
鉄骨継手位置・危険位置の最大 3 点。
(合計最大 6 点)
③ S 造柱、CFT 造柱
鉄骨継手位置および多段ブレースの接続点
ただし、S 造柱の横補剛位置は設計位置にはならない。
(RC柱)
(SRC柱)
(S柱・CFT柱)
凡例
:中央部
:フェイス位置
:危険断面候補位置
:継手位置
図-5.3.1.1 設計位置
B-5.3.1-1
5.3 柱の断面設計
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(2)設計用応力
一般壁を危険断面位置に考慮した場合、危険断面位置より外(端部)側の領域では、水平力による曲げ
モーメントに対する設計はしない。ただし、長期曲げモーメントおよびせん断力(危険断面位置の値を
用いる)に対しては設計する。
(3)設計結果保存位置
各構造種別を通し設計結果を保存する位置は最大次の 2 箇所とする。
① 柱脚側
柱脚側とは柱脚と中央の間にある(中央を除く)設計位置のうち、検定比最大になる位置とする。
② 柱頭側(条件は柱脚側に準じる)
柱頭側とは柱頭と中央の間にある(中央を含む)設計位置のうち、検定比最大になる位置とする。
(4)配筋結果保存位置
RC、SRC 造の場合、配筋結果を保存する位置は以下の 2 箇所である。
なお、算定された柱頭、柱脚の必要鉄筋本数が 1 本以内の場合は同一配筋とする。
① 柱脚側:柱脚~中央にある計算箇所の最大本数(中央を除く)
② 柱頭側:柱頭~中央にある計算箇所の最大本数(中央を含む)
(5)S・CFT柱の座屈長さの計算
柱材の座屈長さ  K は、学会「鋼構造塑性設計指針」に準じた方法により、方向別に計算する。  K が
直接入力された場合は直接入力値を採用するが、警告を出力する。
K  K C
ここで
K
:座屈長さ
K:座屈長さ係数。柱頭の水平移動の拘束条件により、以下に説明する Kf, Ks, Km を設定する
C
:柱部材長
柱頭の水平移動の拘束条件に対する判定は、当該柱が属する層における、ブレースの層せん断力分担率
βによる(統合柱の場合は、統合要素が属する各層のβの最小値)
。水平移動拘束、非拘束の境界値は、
初期値として、ルート 2 における地震時応力割増し係数を算定する際の(
「2007 年版 建築物の構造関
係技術基準解説書」参照)
、ブレースの水平力分担率βの境界値βb=5/7≒0.714 とする(βには、耐力
壁の分担率を含む)
。β≧βb の場合は水平移動拘束、β=0 の場合は水平移動自由とする。
① β≧βb(水平移動拘束時)の場合の座屈長さ係数 Kf の算定方法としては、1.0 とするか、
「鋼構
造塑性設計指針」P.129 の(6.64)式(下式)により精算するかを指定できる。
B-5.3.1-2
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G AGB   
 / Kf  2 tan  /2Kf 
 G  G B 
1
1 
   A

4  Kf 
2
tan  / Kf  
 / Kf


2
なお、
・G A 、G B の両方が 0 以下の場合、Kf = 0.5
・G A 、G B の両方が 100 以上の場合、Kf = 1.0
・柱の両端ピンの場合は、Kf = 1.0
とする。
② β=0(水平移動自由時)の場合の座屈長さ係数 Ks は「鋼構造塑性設計指針」P.129 の(6.65)式(下
式)により算定する。
G A G B  / Ks 2  36
 / Ks

6 G A  G B 
tan  / Ks 
なお、
・G A 、G B の両方が 0 以下の場合、Ks = 1.0
・G A 、G B の両方が 100 以上の場合、Ks = 10.0
・柱の両端ピンの場合は、Ks = 1.0
とする。
③ 0<β<βb の場合、座屈長さ係数 Km として、水平移動自由として算定した Ks を用いるか、 (0,
Ks)-(βb, Kf)間で直線補間した値を用いるかを指定できるようにする。Km は下式とする。
Km  
Ks  Kf     Ks
b


A g1
A g2
G A 、G B は以下による。
I

A c
GA
(IC /  C )  ( A IC / A  C )

( A I g1 / A  g1 )  ( A I g 2 / A  g 2 )
GB 
I
A g1
(IC /  C )  ( B IC /B  C )
( B I g1 / B  g1 )  ( B I g 2 / B  g 2 )
A
A c
I
A g2
Ic
c
ここで
I
I
:面内有効断面 2 次モーメント
B g1
B
I
B g2
×鋼材のヤング係数

:部材長

I
B g1
B c
ただし、
柱端が構面内ピンの場合 ピン端の G=10

(端部バネ支持は固定支持として扱う)
B g1
柱端に接続する梁端がすべてピン支持の場合、
または柱端に梁が接続しない場合
当該端の G=10
柱端の格子点の回転が拘束の場合 固定端の G=1.0
とする。
B-5.3.1-3

B g2
図-5.3.1.2 座屈長さ
5.3 柱の断面設計
5.3.1 共通事項
統合柱の場合、統合部材としての柱頭・柱脚に接続する大梁から計算する(中間に取り付く大梁は考慮
しない)
。接続する統合が統合大梁の場合、中間格子点の有無によらず、統合大梁全長で計算する。
梁の剛度 λ g =I g / g は、梁の他端(取り扱っている柱から遠い端)の接続状態により次の係数を掛ける。
① 水平移動自由(Ks 算定時)
梁の他端がピンの場合
×0.5
梁の他端が固定の場合
×0.67
② 水平移動拘束(Kf 算定時)
梁の他端がピンの場合
×1.5
梁の他端が固定の場合
×2.0
上記の計算では、柱の座屈長さが階高を超える場合があるが、最新の知見では、
「水平地震荷重作用時
の転倒モーメントで発生する柱軸力による弾性座屈では、1 次設計時の柱の短期許容圧縮応力度を算定
する上で、ブレースのないラーメン骨組みにおいても柱の座屈長さを階高に採ることで安全側に評価で
きる」とされているので参考にされたい。
(参考文献)日本建築学会:鋼構造物の座屈に関する諸問題 2013,11.水平荷重による逆対称柱軸力に対
するラーメン柱の弾性座屈荷重 pp.166-173,2013.6
(6)主筋重心位置
主筋重心位置は部材毎に指定したコンクリ-トかぶり厚より算定する方法と、建物共通で定義した主筋
位置タイプより算定する方法がある。
①
かぶり厚より算定する方法
主筋重心位置= Dc  d' 
n p
D'
 2
2 n1  n 2
ここで
Dc
:コンクリートかぶり厚
D
:主筋呼び径
D'
:主筋最大径
d
:帯筋呼び径
p
D’/2
d‘
Dc
p’
d':帯筋最大径
図-5.3.1.3 主筋重心位置
n 1、n 2
:主筋本数(添字は段数を示す)
p
:最大主筋間隔(=D'+p')
ただしSRC部材における成方向の場合は 12.5cmで固定
p'
:主筋あき間隔(=max(D×α、G×1.25)
)
α
:Dに対する倍率で指定による(デフォルト値は 1.5)
G
:粗骨材最大寸法=2.5cm
なお、コーナーR分(隅筋位置)は無視する。
②
主筋位置タイプより算定する方法
主筋重心位置= dt 
n2  P
n1  n 2
記号
B-5.3.1-4
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5.3.1 共通事項
dt
:1 段目主筋の中心位置(上端、下端別に指定可能)
P
:1 段目主筋と 2 段筋主筋の中心間隔
n 1、n 2
:主筋本数(添字は段数を示す)
(7)RC造部材の主筋配置
RC 造部材の主筋本数と部材断面の必要幅は以下の手順により算定する。
Dcl
1)必要幅の算定
Dcr
a)溶接閉鎖型、スパイラル
B   Dc  2d'  2R  D'  p(n  1)
ここで
B
:必要幅
n
:1 段に並ぶ主筋本数
R
:コーナーRあき分
R  1.5d' 
 Dc
図-5.3.1.4 側面かぶり
D'
(ただし 0 以上)
2
:両側のかぶり厚(Dcl+Dcr で個別に指定できる)
b)O 型フック(先曲げ形式)
主筋あき間隔がツメ分より小さい場合は溶接型で求めた必要幅に(ツメ長さ-p')を追加する。ここで
ツメ長さは下式による。
ツメ長さ= ( 2  1)(1.5d  d' )  d' 
2 1
D'
2
ただし、D' >3d の場合は ( 2  1)D'  2 d' とする。
c)主筋位置タイプによる場合
B  2dt  ( D'  p ' )(n  1)
直交方向主筋が 1 段筋の場合
B  2dt  P  ( D'  p ' )(n  2)
直交方向主筋の片側が 2 段筋の場合
B  2dt  2P  ( D'  p ' )(n  3)
直交方向主筋の両側が 2 段筋の場合
ここで
B
:必要幅
dt
:コンクリート側面から外側主筋中心までの距離
P
:1 段目主筋と 2 段筋主筋の中心間隔
n
:主筋本数
D'
:主筋最大径
B-5.3.1-5
5.3 柱の断面設計
5.3.1 共通事項
p’
:主筋あき間隔(主筋重心位置の項を参照)
2)主筋本数の計算
検定対象断面の柱幅に並ぶ各段の最大主筋本数を求め、それを超す本数が設定されている場合は検定結
果を NG とする。
特殊なケースとして設計条件の最大柱幅が主筋 2 本の必要柱幅以下の場合、配筋上の工夫がなされてい
るとし、2 本並ぶものとして検定し、注意メッセージを出力する。
(8)SRC造部材の主筋配置
SRC 造部材の主筋配置はパターン配置によるが(表-5.3.1.1 参照)
、指定により RC 造としての配筋も可
能である。主筋本数と部材断面の必要幅(幅最小限度)は以下の手順により算定する。
1)必要幅の算定
必要幅の計算には梁の鉄骨は考慮しない。RC 造柱に準ずる。
2)主筋本数の計算
検定対象断面の柱幅に並ぶ各段の最大主筋本数を求め、それを超す本数が設定されている場合は検定結
果を NG とする。
特殊なケースとして設計条件の最大柱幅が主筋 2 本の必要梁幅以下の場合、配筋上の工夫がなされてい
るとし、2 本並ぶものとして検定し、注意メッセージを出力する。
主筋のパターン配置において、z,y 方向ごとに、主筋段数が非対称となる場合、段数が多いほう(2 段
筋)で対称配筋されているものとして、主筋重心位置を算定する。
(9)SRC造部材の鉄骨位置
断面設計において、SRC 造部材の鉄骨の位置は、z,y 方向それぞれについて、フランジ間中心が柱コン
クリート断面中心にあるものとする。コンクリート断面内の寄りは考慮しない。
B-5.3.1-6
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5.3.1 共通事項
(10)鉄骨の有効断面性能の計算
鉄骨の有効断面性能は大梁に準ずる。ウェブの軸力に対する有効率はせん断に対する値による。
表-5.3.1.1 配筋タイプ
順位
TYPE A
TYPE B
TYPE C
TYPE D
6
4
4
1
2
3
6
8
5
8
10
10
5
6
6
6
7
8
10
5
5
6
4
6
5
5
6
6
6
7
7
7
8
は、2 段筋とならない主筋を示す。
B-5.3.1-7
7
TYPE E
5.3 柱の断面設計
5.3.1 共通事項
(11)耐力壁付帯柱の付加軸力
耐力壁の付帯柱については、指定により耐力壁が負担する曲げモーメントを柱の設計用軸力に付加する
ことができる。デフォルトは付加するであり、付加しないと指定した場合は警告メッセージが出力され
る。
N
N
C1 add_t
C2 add_t
M
w t
C1
C2
M
w b
N
N
C1 add_b
C2 add_b
L
図-5.3.1.5 耐力壁付帯柱の付加軸力
付加軸力の計算は下式による。
c1 Nadd _ b

c1 Nadd _ t

wMb
L
wMt
L
c 2 Nadd _ b

c 2 Nadd _ t

wMb
L
wMb
L
ここで
Nadd_b
:柱脚位置の付加軸力
Nadd_t
:柱頭位置の付加軸力
wMb
:壁脚位置の曲げモーメント
wMt
:壁頭位置の曲げモーメント
L
:壁長さ
耐力壁の左右付帯柱では、付加軸力は逆符号となる。また、柱の中間位置における付加軸力は、その位
置における耐力壁の曲げモーメントを直線補間から計算する。
B-5.3.1-8