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分析事例C0368 2014/11/25 2014/11/25
ポリカーボネートの劣化層の評価
GCIB(Arクラスター)を用いることで劣化層の膜厚を評価することが可能
測定法 :TOF-SIMS
製品分野 :電子部品・太陽電池・日用品
分析目的 :化学結合状態評価・劣化調査・信頼性評価
概要
ポリカーボネート(PC)は熱可塑性プラスチックの一種であり、優れた透明性・耐衝撃性・耐熱性などの特
長をもち、太陽電池パネル・メガネレンズ・CD・車載部品・医療機器の材料として、幅広く活用されており
ます。今回、スパッタイオンビームにGCIB(Arクラスター)を用いてTOF-SIMS分析を行い、PC表面の劣
化層の評価を行いました。
※GCIB:Gas Cluster Ion Beam
データ
ポリカーボネート(PC)に3分・10分・30分のUV処理を行い、表面を劣化させたサンプルを用意しました。
PCに由来するフラグメントイオンのデプスプロファイルを図1に示します。
UV処理を行ったサンプルでは深さ130nm程度までの領域でイオン強度が減少していました。
これはUV処理によってポリカーボネートが分解し、劣化していることを示唆しています。
また、処理時間が長いほど分解が進んでいますが、最大劣化深さは変化しないことが確認されました。
GCIBを用いることで高分子材料における100nm以下の劣化層の厚さを評価することが可能です。
--- 未処理 --- UV 処理 3min --- UV 処理 10min --- UV 処理 30min
カウント
4000
UV処理条件
照射:大気中(オゾンの影響含む)
温度:室温(26℃)
波長:254nm
照度:5mW/cm2
3000
①
2000
②
1000
0
50
100
150
深さ PC換算 (nm)
図1 PCのデプスプロファイル
PC由来
O
C
Intensity
Intensity
1.0E4
2.0E4
#未処理
211(C15H15O)
1.5E4
O
CH3
Chemical Formula: C14H11O2-
5.0E3
PC由来
1.0E4
Intensity
Intensity
5.0E3
C
O
Chemical Formula: C14H11O2-
2.0E4
1.0E4
O
CH3
5.0E3
#UV処理 3min以上
1.5E4
#未処理
211(C15H15O)
1.5E4
#UV処理 3min以上
211(C15H15O)
1.5E4
1.0E4
PC由来
5.0E3
200
210
220
m/z
230
240
図2 ①付近の定性スペクトル
250
200
210
220
m/z
230
240
250
図3 ②付近の定性スペクトル
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