ベンチャーキャピタルがつなぐ大企業 とベンチャー企業のコラボレーション

ベンチャーキャピタルがつなぐ⼤大企業
とベンチャー企業のコラボレーション
⽇日本ベンチャーキャピタル協会 理理事 齋藤茂樹
蒸気機関⾞車車と⼤大陸陸横断鉄道の
どちらが⼈人類のために
役⽴立立ったのだろか?
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インベンション・ フェーズ
発展
段階
内容
R
リサーチ
基礎技術の研
究から派⽣生す
る応⽤用技術の
洗出し
D
デベロップ
メント
コア技術と
アプリケー
ションの紐紐
付けと有望
市場への商
品化
イノベーション・フェーズ
アーリー・
ステージ
ビジョナリー
ユーザー向け
のコア・プロ
ダクトのマー
ケット参⼊入
マーケット
イン
グロース
⼀一般⼤大衆
ユーザー向け
の⼤大規模販売
と
そのための
ホール・プロ
ダクトへの商
品改善
エクスパン
ション
3
アーリーステージ
のベンチャー企業
はアーリーアダプ
ター層向けにプロ
ダクトを販売しス
タート
新規ユーザー数→
ハイテク・マーケティングの理理論論 キャズム理理論論
グロース・
エクスパンション
キャズム
アーリー
ステージ
⼀一般⼤大衆ユーザー層
に受け⼊入れられるよ
うプロダクトを洗練
させ⼤大企業との提携
により販路路を拡⼤大し
ディファクト・プロ
ダクトに発展
ホール・プロダクトへの進化
コア・プロダクト
ー
タ
ゲ
ト
像
イノベー
ター
全体の5%
アーリー
アダプ
ター
異異なる
価値観
(⾮非連
続)
全体の10%
アーリー
マジョリティ
全体の35%
ビジョナリー・ユーザー層
時間→
レイトマ
ジョリティ
全体の40%
ラガーズ
全体の15%
⼀一般⼤大衆ユーザー層
*出所:“Crossing the Chasm” by G.A. Mooreに加筆
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イノベーション・フェーズ
インベンション・ フェーズ
コア技術とアプリ
コア技術とアプリ
ケーションの紐紐付
ケーションの紐紐付
け
け
ビジョナリーユー
ザー向けのコア・
プロダクト
マジョリティー・
ユーザー向けの
ホール・プロダク
ト カー⼆二バライゼーション
イノベーション・ジレンマ
リサーチ
大企業 プロジェクト
⼤大企業と
ベンチャー
の提携
ベンチャー
デベロップメント
プロジェクト
CVC①
技術開発
アウトソース
アーリーステージ エクスパンション・
プロジェクト
プロジェクト
死の谷
シード・ベンチャー
CVC②
キャズム
サービス開発
アウトソース
アーリーステージ 公開後の第2成⻑⾧長
ベンチャー
グローバル・
コンシュマー
マーケット
グローバル・プラットフォーム
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研究開発の内製とアウトソース
日本の研究開発費/GDP 3.39% (2011年)
NTTの研究開発投資とベンチャー投資
内製研究開発投資 NTTの研究開発公式発表値 2.55% (対営業収益比率)
NTTの研究開発費 2679億円 (2012年) NTTの営業収益 10兆5,074億円 (2012年)
89.9%
アウトソース研究開発投資 NTTインベストメント・パートナーズファンド投資事業組合 150億円 ドコモ・イノベーションファンド投資事業組合 100億円 他のVCへの投資(モバイル・インターネットキャピタル・ウィルキャピタル
etc.)50億円想定して 合計300億円 (概算推定)
10.07%
【参考】 ソフトバンク 売上高 3兆3783億円 研究開発費 7億7800万円
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オープン・イノベーションとイノベーション・ジレンマ
大企業
イノベーションはリスクと失敗が
あってはじめて成り⽴立立つ。⼤大組織は
R&D機能があっても組織が⼤大きくな
るとよりリスク回避的になるため、R
&Dはリスク回避コーポレート・カル
チャーで⽌止まってしまう。
ベンチャー企業
ベンチャーは本質的にリス
ク・テイクし、破壊的はイ
ノベーションを起こし得る
テクノロジーを⽣生み出すR
&Dの源泉。
アウトソースR&D
⼤大企業はプロダクトを⼿手にし、
会社を買収することもできる。
Win-‐‑‒Win の関係
アメリカ・シリコンバ
レー・バイオテクベン
チャー・イスラエル・ベン
チャー等の豊富なケース。
グローバルな技術カバー
ベンチャー投資により世界
の最⾼高レベルの技術から⾃自
社のプロダクトラインを揃
えることができる。
7
テクノロジー・ランドスケープ・マネジメント
CTOチームの役割は、⾃自社の関連技術分野において世界中のどこの研究
チームがどういう技術⽅方式をどのクオリティーレベルで⾏行行っているかを調
べ、それを⾃自社リソースに組み⼊入れていくこと。
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医薬品業界における内製研究開発からコーポレート
VC投資への変換のケース
結果のでない内製研究開発の拡⼤大
• 
• 
1990年年代中期、研究開発投資が
増加しながら新薬の承認数は増え
なくなった。
研究開発投資をリスクマネーにシ
フトする経営上の必要性。
基礎研究の中⽌止
1995年年、Rocheは1967年年設⽴立立以来世界で
最も成果を出していたThe Roche Institute of Molecular Biologyを解散。
2013年年拠点閉鎖。
メガファーマ化の始まり
薬品業界は、研究より下流流の「開発」
フェーズ(治験)に巨額の投資を⾏行行うため
盛んにM&Aがを⾏行行い拠点の再配置で投資
体⼒力力を維持。1995年年頃からメガファーマ
の時代に突⼊入。
ベンチャー投資の増加
1995〜~2000年年にかけて製薬メーカーの
CVCによるベンチャー投資の増加・ハイリ
ターン
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市場と内部組織の横断的な組織形態
ロナルド・コース
オリバー・ウィリアムソン コースの定理理:市場と
企業組織は取引コスト
の違いによる横断的な
ものであることを証明
(2009年年ノーベル経済学賞)
市場取引
取引
パート
ナー
取引
パート
ナー+
資本提携
(株主ポジ
ション)
内部組織
関連企業
⼦子会社
(連結持分
法適⽤用)
(50%株
式保有)
カンパ
ニー制
内部部⾨門
組織
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デベロップメント・ファンドのビジネスモデル
⼤大企業のデベロップメントの問題点は、内製リソースに頼っている場合、
デベロップメント費⽤用が実⽤用化の過程のなかで⾃自社商品にこだわるため⽢甘
くなり⻘青天井に陥りやすい。テクノロジーVCのGPチームにより⾃自社事業
の枠を超えた技術の応⽤用ビジネス化を実⾏行行する。
デベロップメント・
マネジメント・
ファンド
(VCデベロップメント・チーム)
投資
IP・投資リターン
IP・投資
SPC
(IP管理理会社)
⼤大企業
株式 投資リターン
l  スポンサーへのロ
イヤリティ収入 l  第3企業へのロイ
ヤリティ収入 l  IPO l  売却益
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ベンチャー企業の成⻑⾧長段階
企業価値
製品化が
経営の中心課題
販売チャネルが経営の中心課題
(並行して資金と管理の問題)
100〜~300億円
の企業価値
死の谷
累累損解消
損益分岐点を越え
る。単クロ達成
商品開発が終わり、最初
のユーザーで販売売上が
あがる
3〜~5億円
の企業価値
(10〜~20%の確率率率)
創業のサービス
開発フェーズ
1億円前後の企業価値
(0.3〜~0.5%の確率率率)
創業
2
3
20〜~30億円
の企業価値
(40〜~50%の確率率率)
10〜~20億円
の企業価値
(20〜~40%の確率率率)
ビジネスモデルが
しっかりしており、
公開株価上昇後、
⼤大衆ユーザーをつ
かみ急成⻑⾧長し、100
-300億円規模まで
成⻑⾧長できる会社
公開による発⾏行行株
式の流流動性獲得に
よる価値上昇
⼀一⽅方で株式市場の
浮き沈沈みの影響が
⼤大きすぎる
1
【シード】 【アーリーステージ】
12
IPO【グロース・エクスパンション】
12
資本市場の構造とベンチャー企業とマイクロキャップ公開企業
⽶米国VCの
投資対象領領域
⽇日本VCの
投資対象領領域
日本の
資本市場の
空白地帯
法⼈人投資家の不不在
世界共通の機関投資家
の投資対象領域
⽶米国・
⾹香港のIPO
キャズム
アーリー
ステージ
グロース・
エクスパンション
【SEED STAGE】
VCユニバース
個⼈人投資家
法⼈人投資家は欧⽶米投
資が限定的に存在
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ケーススタディ: マイクロキャップ企業の株価の飛躍 JIN(TSE3046)
l  東証1部へ市場替え
l  公開後初の公募実施
1500億円
1000億円
PER X27
PER X36
機関投資家が中心
個人投資家が中心
300億円
100億円
Air frame Titan frame
Sales
Sales
赤字計上
赤字決算
赤字計上 赤字決算
PER X54
Eyeway
sports
sales
JINS PC 100m sales
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ベンチャーのビジネス展開と株式取引の拡⼤大の両輪輪
マイクロキャップの公開企業は⼤大企業の提携による事業⾯面とIR・ファイナ
ンシャル⾯面の⽀支援を求めている倒産リスクのないグロースステージ・ベン
チャー企業。
IR・ファイナンス支援
KPI model
税引後利利益: 10-20億
円
株式取引ボリュームの拡⼤大
公開会社
時価総額
300億円
時価総額
100億円
事業収益の拡⼤大
ビジネス展開⽀支援
PER: 20- 30
時価総額
株主数: 1万⼈人
株式取扱い⾼高: 1000
個(単位株数 or 10
万株/⽇日
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ベンチャーのビジネス展開とマルチマーケット・アプローチ
アーリーステージ
シード 技術
ソース IP 特許
エクスパンション
機関投資家 ユニバース マイクロキャップ・ ユニバース VC ユニバース キャズム 公開株式
未公開株式
アーリー
アダプター
イノベーター
キャズム
アーリー アダプター
エクエスパンションは
海外の複数国家の市場に
同時アプローチ
アーリー マジョリティ-­‐
レイト マジョリティー
ラガード 16
20世紀のビジネスモデルと21世紀のビジネスモデルへのシフト
20世紀型ビジネスモデル
p アメリカ経済が世界を
牽引
p ⽇日本がアメリカ経済を
追い、ヨーロッパは統
⼀一経済圏をつくってい
く過程
p 成⻑⾧長を牽引する市場は、
通信・パーソナルコン
ピュター・ソフトウェ
ア・インターネット
21世紀型ビジネスモデル
p リーマン・ショック以降降、⽶米
⽇日欧経済が弱体化。代わって、
中国が低労働賃⾦金金の⽣生産⼤大国
から中間層が豊かになり消費
者⼤大国となる。
p ASEAN、インド、ロシア、ブ
ラジルなどが中国の成⻑⾧長を追
いかけ次の経済の主役に参加。
p 成⻑⾧長を牽引する市場は、成⻑⾧長
する開発途上国の消費者が購
⼊入する商品で⼤大衆向けスマー
トフォンや⾷食品等広範な分野
に成⻑⾧長分野が存在。
⽇日本の⼤大企業は、⽇日本以外の市場開拓拓が弱い。ベンチャー⽀支援とともに海
外販路路拡⼤大戦略略を進めていくべき。
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シリコンバレーのトライアングル・パートナーシップ
大企業
ベンチャーキャピタル
ベンチャー企業
Where 2 Technologies
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Google のビジネスモデルの発展のケース
Googleは、新サービスメニューはベンチャーにパートナーし、⾃自らはひた
すらチャネル影響⼒力力を拡⼤大するためのイノベーション・システムの発展に
特化。
検索索エンジン
ポータル
クラウド
アンドロイド
Chrome PC/Cast, html5, What is next?
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ベンチャーキャピタルのストロング・ポイント
多くのキャピタリスとは⼤大企業出⾝身。⼤大企業の
組織的な経営が理理解できながら、アントレプレ
ニューアーシップをもっている⼈人間が多い。
ベンチャーと⼤大企業のコラボレーションのケー
スを数多く知っているので、ベンチャー企業と
つきあっているためのインターミディエタリー
的な存在となってくれる。
20
本⽇日のまとめ
1. 研究開発について、CTOチームは開発技術情報を世界中の開発リ
ソースに巡らせ、内製投資とベンチャー投資によるアウトソースの バランスをとって拡⼤大を図っていくべき。
2. 新商品ラインの拡⼤大については、グロース段階を求めているマイク
ロキャップ企業にターゲットして資本政策・販売事業戦略略の両⾯面か
ら拡⼤大を図るべきである。 3. 現在はアジアを中⼼心とする世界的な新興国の発展によりグローバ
ル・マーケットの時代に突⼊入。⼤大企業もグローバル・マーケットへ の拡⼤大をベンチャー企業との提携を機会に取り組むべき。
4.⼤大企業とベンチャーのコラボレーション戦略略において、VCのマッ
チング情報⼒力力のインターメディエーション機能を媒介に、ベン
チャー企業はイノベーティブな新サービス・プロジェクトとして捉
え、⼤大企業はグローバル・マーケットへのチャネル拡⼤大を⾃自らのビ
ジネスモデルの進化させる経営戦略略にリソースを投⼊入していくべき
である。
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JVCAからのお知らせ ベンチャーキャピタリスト研修
一般社団法人日本ベンチャー
キャピタル協会(JVCA)主催
投資戦略・デューデリジェンス概論実践論・ 会計不正の事例分析・ディールストラクチャー・ ベンチャー企業の価値評価手法・投資会社M&A・IPO などのテーマについて経験豊富な会員講師がレクチャー 第一線で活躍する一流キャピタリスト・専門家による4日間の集中講座!
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JVCAからのお知らせ JVCAの⼊入会
ベンチャーキャピタル(VC)会員
VC会員
⼊入会⾦金金
年年会費
CVC会員
25万円
固定部分 25万円 + 変動部分 投資残高・本体1
億円に対し1000
円(最低5万・上
限200万円)
1
賛助会員
法⼈人
1⼝口10万円
1⼝口以上
個⼈人
1⼝口1万円
1⼝口以上
ただし、VC会
員の社員の
キャピタリス
トは無料料
1万円
固定部分
25万円
10万円
ただし、VC会
員の社員の
キャピタリス
トは無料料
(注) 現在一部
改訂中
皆で、日本発グローバル・イノベーションで日本の元気とリーダーシップ
を取り戻しましょう!
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