プロバイオティクスの培養から製剤化までを GMP工場で受託生産

プロバイオティクス受託工場レポート
プロバイオティクスの培養から製剤化までを
GMP工場で受託生産
~ 生菌体に加え殺菌体もラインアップ!~
東亜薬品工業㈱
2013 年 1月に培養棟「カルチャー
プラント」を竣工させた東亜薬品工業
では、プロバイオティクスの培養受託
事業が軌道に乗り始めた。同社はプロ
棟「カルチャープラント
(CP)
」
(写真 2)
ままスプレードライへ圧送される。 乾
CP の概略は、培養から原末化まで
混合され、生菌原末となっていく。
などからなる。
の一貫ラインと、品質管理エリア、そ
バイオティクスを使用した医療用医薬
して中央制御室(管理室)からなって
販売企業であるが、近年の世界的な
型タンク、5,000リットルの培養用タンク
品、動物用医薬品などの医薬品製造
プロバイオティクスブームを背景に、自
社の関連する医薬品の売り上げも順調
いる。 製造設備としては、種菌用小
(写真 3)、薬液タンク2 基、連続遠
心機、UF 水製造装置、ピュアスチー
燥後の粉体についても、清浄エリアで
工場内には他にも、1,000リットル培
養タンク、30リットルジャーファーメンター
も揃えており、需要規模に合わせた生
産も可能となっている。
プロバイオティクスの受託生産
ム製造装置、嫌気性培養に使用でき
昨年 6月からは自社製品に使用する
混合機など製造用機器からなる。
クス受託生産」事業も開始した。具体
プロバイオティクスは「生きた菌」を
である「ビオスリー配合散および錠」、
預かり、培養方法の段階から研究開
殺菌体の需要も高まっており、同社は
混合飼料「ビオスリーエース」に加え、
に推移している。また、国内のみなら
ず海外の医薬品、食品メーカーが保
る窒素ガス製造装置、スプレードライ、
託の受注も増えてきた。
現在館林工場では、医療用医薬品
有するプロバイオティクス株の製造受
定義するが、近年乳酸菌の加熱処理
今注目のアンチエイジング作用を有す
動物用医薬品の「動物用ビオスリー」、
研究所内には、遺伝子組換え菌の培
原料も製造している。
極的に取り組んでいくという。
東亜薬品工業培養施設の概要
(カルチャープラント含む)
東亜薬品工業・館林工場(写真 1)
は、 群 馬 県 館 林 市 西 部にある近 藤
工業団地内に立地し、敷地面積は約
33,000m である。
2
養も可能な培養実験室があり、ジャー
ファーメンター十数基、遠心分離機、
り、培養、遠心分離、乾燥までの一
がある。さらに、膜分離装置、試験
SIP 機能を有し、徹底したGMP 管理
写真 3 5,000 リットル培養タンク ‌
準の UF 水を使用する仕様となってお
貫したクローズドシステムの製造設備は、
のもと製造を行うシステムとなっており、
凍結乾燥機、噴霧乾燥機(写真 4)
他菌の製造に対応できている。
また、培養後はSIP 対応可能な多
翼型連続遠心機により、密閉した状態
で菌体分離及び菌体の洗浄が可能と
なっている。さらに集菌されたのちには、
製造専用の注射棟、管理棟及び培養
保証するための滅菌安定化剤(分散
写真 1 館林工場エントランス ‌
工場内の培養施設とは別に、総合
CP の製造用水は注射用水と同水
同工場は、医療用医薬品の固形製
剤や動物用医薬品の製剤棟、注射剤
作業(技術)標準書を預かりスケール
種製品に使用するプロバイオティクス
H61 株含有健康食品の供給を始めた
酸菌などの殺菌体の受託製造にも積
発業務を受託する「RD 型」、菌株と
アップ条件を請け負う「SC型」がある。
ではGMP 管理のもと、 高品質の各
のをきっかけに、今後、生菌に加え乳
的な業務体系として、菌株を顧客から
健康食品などを製造しているが、CP
る乳酸菌 H61 株の殺菌体原料の大
量製造にも成功している。 同社では
菌株の培養のみならず、
「プロバイオティ
生菌としての長期間の経時安定性を
媒)とサニタリーの状態で混合、その
写真 4 噴霧乾燥機 ‌
写真 2 培養棟(カルチャープラント)
‌
食品と開発 Vol. 49 No. 4
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