リンモリプデン酸アンモニウムの硝酸に対する溶解度 (続報)

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リンモリプデン酸アンモニウムの硝酸に対する溶解度(続
報)
上野, 幸三
室蘭工業大学研究報告. Vol.2 No.3, pp.753-760, 1957
1957-12-25
http://hdl.handle.net/10258/3105
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Journal Article
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Muroran Institute of Technology
リンモリプデン酸アンモニウムの
硝酸に対ナる溶解度(続報)
七 野 幸 一
The Solubility of Ammonium Phosphomolybdate to
Diluted Nitric Acid一 一 Continuation
Kozo Ueno
A
b
s
t
r
a
c
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5
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司
0
0
1
. 緒 言
著者らは前にη リシモリブデン酸アンモニヲムの沈デシ洗浄剤としては,柴田氏めらの結
果とは反対に硝酸 (
2
:10,
0
0
0
)が 不 適 当 で あ る と い う 結 論 に 達 し , こ れ は 恐 ら く リ シ モ リ ブ デ シ
2
:
1
0,
0
0
0
)に溶けるためであろうと考え,前手足めにおいて硝酸 (
2
:10,
0
0
0
)
酸アンモニクムが硝酸 (
に対する溶解度を調べた。
0
そ の 結 果 25-65
Cの温度範囲で生成した試料についての,
室温に
おける溶解度は高温で生成したものの方が小であることを見出し,沈デシ生成をゴロイド化学
の 立 場 か ら 論 じ た vonWeimarnの 説 に よ っ て , 生 成 温 度 が 違 う こ と に よ っ て 沈 デ ン 位 子 の 大
きさが異なり,その結果として硝酸に対する溶解度の差が生ずるものと推定し f
。
こ
1
) 上野: 室工大研報, 1,7
8
7(
1
9
5
4
)
.
9
7(
1
9
5
2
)
.
2
) 柴田・築山. 分析化学, 1,1
3
) 上野: 室工大研報, 2
,1
4
7(
1
9
5
5
)
.
(235)
7
5
4
上野幸三
本報告におい亡は,著者らは生成温度を変えたリンモリブデシ酸アンモニクムについての
X 線粉末法による結果と, 2
50 および 6
50Cで生成したリンモリブデン酸アンモニウム粒子半径
の比の計算結果とについて報告する。
I
I
. X線 粉 末 法 の 結 果
2
5,3
5,4
5,5
5 および 6
5Cの各温度で第 29ン酸ソ{ダ (Na2HP04・12H20) (特級)か
0
0
0
0
0
ら,前報吟と同様の操作でえられたリシモリブデン酸アンモニクムと,これらの試料。各一定
m
eの入った共栓っき三角プラスコにとり,前報
2
:1
0,
0
0
0
)50
量を硝酸 (
3)
の溶蝉度測定の場合
去による写真をとった。その
と問機の操作によってえられた 5種類の試料について, X 線 粉 末 J
際の条件は次の通りである。
(
i
) 対
陰
極: 銅,ブィノレタ{はニッケノレ箔を使用
(
i
i
) カメラ直径: 90.4mm
それらの写真のうち,著者らの実験の最高および最低温度で生成した試料と,これを硝酸
処理したものとを第 1凶に示した。
(A)
(
B
)
ρU
(
D
)
第 1図
リンモリブデン酸アンモニウムの X 線写真. (
A
) 2
50C で生成したもの;
(
B
) 同土を硝酸処理したもの; (
C
J6
5
"
Cで生成したもの; (D) 同上を
硝酸処理したもの。
第 1図の X 線写真右ごみると,
この写真の精度の範囲内では,
2
50 および 6
50Cで生成した
試料の聞には差がみられず,また硝酸処坦を施したものと未処浬のものとの聞にも差がみられ
ない。
これらの写真のうち 2
5Cで生成した硝酸未処理の試料の線の強度と,
0
J
.D
.Hanawaltお
4
)J
.D
.H
anawaltandI
.K
.F
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(2
3
6
)
リンモりフデン酸アンモニウムの硝酸に対する溶解度一一一続報
755
よび1.K
.Frevel~) が測定したりンモリブデン酸アン'モニウム ((NHふ PO~ ・ 12 Mo03・
3H
0) と
2
の比較を第 1表に示す。
第 1表の結果から著者らの方法で生成したリシモリブデン酸アンモニクムと Hanawaltの
2
:10,
000)で処;思したものも未処理。もの
試料とは全く同ーであることがわかった。また硝酸 (
も,全く組成変化はみられなかった。
0
従って前報めで著者らが推定したように, 25_65C の温度範囲で生成した Y シモリブデシ
2
:10,
000)に対する溶解度の差は,試料が作られる!時の
酸アジモニワムの,室温における硝酸 (
粒 子 の 大 き さ の 違 い に よ る も の で あ る と 結 1治でぎる。
第
試 料
dc
(
A
)
1 表
(NH;hPO
,
j.
1
2Mou)'3HょOb
(
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2
37)
756
上野幸
第
誌
宮
(
A
)
料
1 表(続き)
(
N
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(NH,
)
3Pu
,・間働問。町
強 度
"'''''7-
│ ?
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附
w
戸 川5
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.
8
8
4
立1
0
.
8
7
4
立1
a: 25Cで生成し,硝酸 (
2
:1
0,
0
0
0
) 処理を施さないもの
0
b:
c:
d:
e:
Hanawaltの表めによる
面間隔
廻折線の強さ
最も強い廻折線の強さ
日ニ s
trong, m =
m
i
d
d
l
e, w=
weak, v=very (いずれも廻折線の強 3を表わす)
I
II
. 沈デン粒子の大きさ
M.L
.Dundon ら口〉は慌溶性塩瀬に関して,
表面張力と溶解度との問には次の関係が成立
つことを示した。
5
) M.L
.DundonandE
.Mack,J1
'
.
: J
.Amer.Chem.So巴
.
, 4
5,2
4
7
9(
1
9
2
3
)
; M.L
.Dundon: I
b
i
d
.,
4
5,2
6
5
8(
1
9
2
3
)
.
(
2
3
8
)
リンモリブデン酸アンモニウムの硝酸に対する溶解度
続報
7
5
7
RT S
γ
20" 1
M '
" S 一 ρr
咽
(1)
一一…一一)一一
た だ し R は気体恒数,
T は絶対 i
j
l
)
あ M f主分子量, S
rは 半 径 rの松子の溶解度, S(
ま
普 通 の 大 き さ の 粒 子 の 溶 解 度 ,0" (土表面張力, ρ は密度を表わす。
上述のように生成温度の異なったジシモリブデシ駿アシモニヲムの溶解度の差は,粒子の
0
0
大きさの追いにもとずくものと考えられるから, 25 および 65C で 作 ら れ た リ ン モ リ ブ デ シ 駿
アジモニクムの室温におけろ硝酸 (
2
:10,
000)に 対 す る 溶 解 J
玄の実測値りを用い,
多少の仮定を
設けて 25 および 65 C で f~ られたリンモ P ブデン酸アンモニクム粧子の半径の比を,
0
0
(
1
)式に
よって計算する。
それにはまずリンモリブデン酸アンモニヲムの分子量が矢口られていなければならない。
し
かしリシモリブデシ酸アンモニヅムの組成そのものがはっきりしていないので, まだ正確な分
子量は知られていない。
しかしそれでは計算は不可能であるので,
リンモリブデシ酸アシモニ
ワ ム の 分 子 量 を 次 の よ う に し て 求 め て み た 。 す な わ ち 第 2 リシ酸ソーダからリシモジブデシ酸
アジモニクムなf
トった際に,試料中のリシ含量を求めるために次の式を I
I
Jい1
1
P(%)=
沈デンの宇円
二 豆 xfx1
0
0
試料の亘旦
係 数 / に 対 し て は 経 験 的 な 数 値 0.01456を用いていたが,
モリブデン酸アンモニヅムを作ったのであるから,
上式の
P(%)としては即論値 21
.820を!百
2 リン駿ソーダ 0.1000gか ら 生 成 さ れ た Y シモリブデシ酸アンモニクムの重量から,
玄小
い
,
著 者 ら は 第 2Yγ 酸ソーダから Dγ
数 fを 求 め る と 第 2表のようになる。
従 っ て 前 報 η で 著 者 ら が 使 用 し た 係 数 / の 0.01456の代りに,
第
誌料,
実験番号
2 表
t
t
P,
(
g
)
1
第 2 の平均{直 0.01458を
(~~)
21
.820
0
.
1
0
0
0
f
0
.
0
1
4
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2
2
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/
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4
円
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(
2
3
9
)
7
5
8
)
j
j
v
"
上野幸一
!=PjMから M を求めると , M=2124
.
4
9となる。
ただし P
=30.975とする。
この
2124.
49な る 値 を リ ン モ リ ブ デ ン 酸 ア ジ モ ニ ヲ ム の 分 子 量 と す る .
S すなわち普通の大きさの粒子の浴解度に対しては, S
e
i
d
e
lの 溶 解 度 の 表 fi) にのっている
1,
000g の 水 に 対 す る 溶 解 度 の 値 , す な わ ち 0.238gを2:10,
000の 硝 酸 に 対 す る 溶 解 度 と し て も
, す な わ ち 50meの 硝 酸 (
2
:10,
0
0
0
) に対する但に換労.して 0
.
0
1
1
9g
これを 50g
大差はなく,
とし,
5,.すなわち半径 rの 粒 子 の 溶 解 度 に 対 し て は , そ れ ぞ れ 25 お よ び 65C で作られたり
0
0
参 考 の た め に 50me の 硝 鞭
シモリブグシ酸アジモニウムに対する著者らの実測値を用いる。
(
2:
1
0,
0
0
0
) に 対 す る リ シ モ リ ブ デ シ 酸 ア シ モ ニ ヲ ム の 溶 解 度 の 実 測 位 。 を 第 3表に示す。
3 表
第
3
5
4
5
5
5
6
5
0
.
0
8
9
9
0
.
0
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0
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.
0
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.
0
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.
0
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.
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5
9
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0
.
0
3
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.
0
2
3
8
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.
0
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.
0
3
7
7
0
.
0
2
6
2
2
5
(
OC
)
溶解度,
I
第 3表 に 示 し た 溶 解 度 は 50meの 硝 酸 (
2
:10,
0
0
0
)に対するもので
50gの硝酸に対する
ものではないが,右下j離が非常にうすいので水とほとんど同じと弓一えても走支えなく,従って梢
酸 50meの重量は 50g と等しいと考えてよい。
なお S
e
i
d
e
lの 表 に の っ て い る 値 は 1
5C のものであり,著者らの実!¥iu
f
l
庄は室温 (
1
8
"士 20) に
0
お け る 値 で あ る が , 計 算 の 場 合 に は 著 者 ら の 実 測 値 を 15C のものと等しいと仮定する。
0
(
1
)式の
d
お よ び ρ の世ぷ矢口られている時は ,rの大ささを計算できるのであるが,
リシモ
リブグン酸アンモニウムに対するそれらの値は知られてお%ず,また他にこれらを求める適当
な方法もみあたらない。それで以上の値を用いて, 25 および 65C で 作 ら れ た り ン モ リ ブ デ シ
0
0
酸アンモニクムの粒子半径の比を求める。
(
1
)式から
M 20'
r 一
一
一
一
一
RT
ρ
,
1
一
一
5
,
.
l
n ~~~
-
M 20'
1
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
RT 一一
ρ Q
2
.
3
0
3l
o
gす
7
これに M =2
1
2
4
.
4
9,Rニ 8
.
3
1
4X 10
e
r
g
.
/
d
e
g
f
.
mol,T=2880K,5r" =0
.
0
8
6
9g‘ 5, =0
.
0
2
6
2
.
0
1
1
9g の数偵を入れると,
g, 5ニ 0
6
) A
.S
e
i
d
色1
:“S
o
l
u
b
i
l
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r
g
a
n
i
candMetalO
r
g
a
n
i巴 Compounds",3r
dE
d
.,Vo
l
.1
,1
1
0
4,
D
.VanNostrandComp.,l
n
c
.,NewYork
.
く2
4
0
)
リンモリブテン酸アンモニウムの硝酸 i
乙対する溶解度
続報
759
ケ
1
.1
2
4 1
0
-て
ろ
Y25 =
4.
4
62x1
0
-0
Yn
;
r=
X
8
5 および 6
5C で作られた Yンモリブデシ駿アンモユクム
ただし 525, S 65 はそれぞれ 2
0
t.
0
1"
の1
50C に お け る 硝 酸 (
2
:1
0,
0
0
0
) に対する溶解度 ,r~5 およひ f市はそれぞれの温度で作られた
リンモリブデン酸アンモニヲム粒子の半径を表わす。
従って
Yr
,
,
_= 2
.
5
2
r25
すなわち Dundonが用いた式のように固体の枕子半径が小さくなっても,
国体の表面張
5Cで作られたリシモリブデン酸アジモニクムの桂子の平均半径は,
力が変らないとすれば, 6
0
25C で作られたものの 2
.
5倍の大きさをもつこととなり,従てつ前報弓)で著者ーらが報告したよ
0
うに,溶解度は低温で作ったリンモリブデシ酸アジモニワムの方が,高温で作ったものよりも
大きいことが説明できる。
しかし上にも述べた通り,
リシモリプデシ酸アンモニクムの表面張力および密度に対する
データが全くなく,粒子半径を算出することができなかったことは残念である。今後機会があ
ったらこれを算出してみるつもりである。
I
V
.総 括
以上の結果を要約すると次の通りである。
1
. 2
50,3
50,4
50,5
50 および 6
50C の各温度で作られたリンモリブデシ酸アンモニクムも,
またこれらを 1晩室温で 2
:1
0,
0
0
0の硝酸にひたしたものについても,
その X 線粉末写真法に
よる結果では全く組成の変化がなく, Hanawaltが X 線粉末法℃解析した試料と全く同じであ
り,従ってリンモリブデ/酸アシモニクムの石青酸に対する溶解度の差は,松子半径の大きさの
通いにもとつく。
2
. 著者らが作ったリンモリブデン酸アンモニヲムのうち, 2
5 および 65C の試料の枝子
0
半径の比を,溶解度と表面張力との聞の関係から計算し,
0
6
5Cで作ったおL
子の半径は 2
5Cで
0
0
作った粒子の半径の約 2
.
5倍であることを知った。
終りにあたり,
リンモリブデン酸アンモニクムの X 線粉末写真の撮影およびその解析に
御協力下さった北海道大学理学部無機化学教室,ならびに実際にそれらを担当された同教室の
(241)
760
上野幸三
和田次康教官に厚い感謝の志;を表わします。また本実験の結果について種々御討議下さった本
学の森田陸夫,松本 Bt~ 彦の両教官に対しましでも謝意を表わします。
(昭和 3
1年 4月
日本化学会第 9年会で講演)
(昭和 3
2年 4月 3
0日受理)
(
2
4
2
)