中学校 1 単元名 第2学年 国語科学習指導案 立場と根拠を明確にして意見を書こう 「立場と根拠を明確にして書こう」 「モアイは語る 2 地球の未来」(光村図書2年 単元6 論理をとらえる) 単元の目標 ①【関心・意欲・態度】 立場や根拠を明確にすることの必要性について興味を持ち、論理的な文章を読むことや書く ことに積極的に取り組もうとする。 ③【書くこと】 (ウ)関心のある社会問題について、根拠を示しながら意見を書くことができる。 (オ)書いた文章を互いに読み合い、意見を述べたり助言したりして自分の考えを広げること ができる。 ④【読むこと】 (イ)文章中に示された事実や根拠を的確に読み取り、文章の内容を理解し、筆者がどのよう な主張をしているのかを理解することができる。 (ウ)文章の構成に着目しながら内容に沿って文章をいくつかのまとまりに分け、各まとまり の役割や論理の展開の仕方をとらえることができる。 ⑤【伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項】 (1)イ(オ)自分の考えが相手に伝わるように形態や展開を工夫して表現することができる。 3 指導にあたって (1)教材観 本教材は、イースター島の悲劇を通して、森林資源を大切にすべきという周知の立場を、新 しい角度から述べている。歴史や科学に関心のある生徒には興味深い内容であるが、筆者の提 示する事実や主張がどのような文章構成によって展開されているのかなど、表現の工夫での興 味・関心も育てたい。本教材では、根拠となる事実を見いだした手順、その事実が物語ってい たもの、現在に投げかけている問題をわかりやすい文章構成で述べている。文章の展開に即し て読み取り、それぞれの部分で何が述べられているか内容をとらえながら、筆者の考えを理解 させたい。 (2)生徒観 1年時は説明文「ダイコンは大きな根?(1学期)」で、各段落の中からキーワードを探し て、それをつないで20字程度の一文に要約する学習を行った。このとき、要約文の中に入 れないキーワードとして、例・説明・理由を挙げている。また、説明文「ちょっと立ち止ま って(1学期)」「流氷と私たちの暮らし(3学期)」では、段落の関係に注目するためにいく つかの段落をばらばらにしてから元に戻し、それぞれのまとまりの中から中心文を探すとい う学習を行っている。1学期は文章を全く元に戻せない生徒が多かったが、3学期には指示 語や文章の内容に注目して戻せる生徒が増えた。また、なぜそうなるのかを説明できる生徒 も増えていた。 2年時は説明文「やさしい日本語(1学期)」で、キーセンテンスと根拠の文に分ける学習を 行った。このとき、根拠の種類として具体例・実験結果・説明・原因・理由というように生 徒にとって判断のしやすいものを強調して伝えた。キーセンテンスを意識的に探すよりも、 根拠の部分を削っていくと残る部分がキーセンテンスになるという方法が生徒には理解しや すかったようである。この学習を思い出し、事実と意見を読み分け、事実という根拠が、筆 者の主張を力強く支えていることを確認し、根拠を示すことの重要性を認識してほしい。 (3)指導観 「モアイは語る 地球の未来」で、筆者が最終的に述べたいことは、限りある森林を効 率的に利用することの必要性であり、それ自体は特に目新しいものではない。このことを、 筆者が自分で解明した事実を根拠に述べている点が重要なのである。有力な根拠となる事実 の提示は、論の説得力を高め、文章全体に信頼感をもたらすことを考えさせたい。 また、事実と意見を読み分ける際には、両者を単に区別するだけではなく、筆者の意見は、 その事実に本当に支えられているのか、事実のどのような内容が、筆者の意見を支えている のかなど、事実と意見の相互関係を吟味することが大切である。いくつかの事実と意見の組 み合わせが、最終的に筆者の主張につながることを読み取らせたい。 さらに、単元を貫く言語活動として、新聞記事にある社会問題に対する自分の意見を、根 拠となる事実を示して書く学習を行う。意見文をグループで交流して、どのような根拠が示 されていると説得力が増すのかを考えさせたい。 (4)校内研究との関わり 自分一人では気付かなかったようなことに気付き、さらに自分の意見を深めるために、意 見を伝え合うための班活動の場を設定する。班活動に入る前には、個人で問いに向かう時間 をしっかりと確保してから、少人数(4人班が妥当)で話し合う時間を確保する。 「自分の意見を持つ」→「他の人はどうかな」→「あっそういう考え方もあるのか」→ 「もう一回考えてみよう」という時間を1時間の中に組み込んでいく。 また、班活動や全体の発表の中で、自分の考えを自分の言葉で相手に「伝わる」ように 「伝える」場面を意図的に設定していく。 4 次 単元(題材)の指導・評価計画(総時数7時間) 学習内容 主な学習活動 ○学習の課題 ・本時のまとめ 評価規準 ☆C→Bへの手だて ① ③ ④ ⑤ 立場と根拠を明確に ○説得力のある文章を書くため ①立場や根拠を明確にした論 一 した文章を書くため にはどのような工夫が必要か。 理的な文章を進んで読んだ ( の学習の見通しを立 てる。 り、書いたりしようとしてい ・立場を明らかにし、それを支 る。(観察・ワークシート) える根拠を明確にして、展開や ☆立場や根拠が不明確な文章 ) 1 ○ 構成を工夫しながら書くこと。 例を挙げ、読み手が納得できる 文章との違いを探すよう促す。 二 「モアイは語る」 ○文章全体を、序論・本論・結論 ④(ウ)文章の構成に着目し ○ 本文を通読し、文章 に分け、本論をさらに4つのまとま ながら内容に沿って文章全体 ○ ( 全体を内容に即して りに分けるとどうなるか。 ) 4 まとまりに分ける。 ・序論 ①~② を3つ、本論を4つのまとま りに分け、各まとまりの役割 【モアイの説明と問題提起】 や論理の展開の仕方をとらえ 本論1③~⑥ ている。(観察・ワークシート) 本論2⑦~⑩ ☆序論・本論・結論の役割を 本論3⑪~⑫ 再確認する。 本論4⑬~⑮ 【島の歴史とモアイの秘密】 結論 ⑯~⑳ 【モアイが語る地球の未来】 根拠の役割について ○根拠とは何なのか。 ④(ウ)筆者の考えの根拠と 考える。 なる事実や例示がどのように ・主張を力強く支えるもの。 ○ 配置されるか考え、内容の理 解に役立てている。(観察・ ノート) ☆問題の再提示に注意させる。 イースター島の文明 ○モアイの謎を解くカギは何な ④(イ)本論に示された事実や根 が崩壊した理由を考 のか。 拠を的確に読み取り、文章の内 え、意見に対する事 容を理解し、筆者がどのような主 実の効果を考える。 ・森の存在 張をしているのかを理解してい 森の消滅 ○ る。(観察・ノート) ☆問いの文と答えの文を確認 するよう促す。 結論に書かれた筆者 ○イースター島での出来事をも ④(イ)結論に示された事実や根 ○ の主張を読み取り、 とに筆者は何を伝えたいのか。 拠を的確に読み取り、文章の内 意見に対する事実の 効果を考える。 容を理解し、筆者がどのような主 ・人類が生き延びるためには、 張をしているのかを理解してい 私たちは ~ 方策を考えなけれ る。(観察・ワークシート) ばならない。 ☆各段落のキーセンテンスを 探すよう促す。 三 新聞記事の社会問題 ○自分の意見を、根拠となる事 ③(ウ)関心のある社会問題につ ( に対して、事実を示 実を示して 400 字程度で書こ いて、根拠を示しながら意見を して自分の意見を書 う。 述べている。(観察・ワークシート) ) 2 く。 ○ ☆社説の場合は事実と意見を (同じ内容の記事を 分類してから根拠を挙げるよ 数社分読み比べる) う促す。構成の型を示す。 意見文をグループで ○どのような根拠が示されてい ③(オ)書いた文章を互いに 交流し、意見に対し ると説得力のある文章となるの 読み合い、意見を述べたり助 ○ ○ て、説得力のある根 だろう。 言したりして自分の考えを広 拠が示されているか げている。(観察・ワークシート) 評価し合う。 ・事実から導き出された意見は ☆意見を補強する根拠が示さ 説得力がある。 れているかで評価し合い、工 ・調査結果や実験結果が示され 夫改善につなげるよう促す。 ると良いのではないか。 ⑤(1)イ(オ)自分の考えを相手 ・数値で示されるとよくわかっ に伝わるようにわかりやすく表現 た。 している。(観察) ☆意見と根拠の間に矛盾がない か見直すよう促す。 5 本時の学習(第一次第3時) (1)単元(題材)名 立場と根拠を明確にして意見を書こう 「立場と根拠を明確にして書こう」 「モアイは語る (2)本時のねらい 地球の未来」(光村図書2年 単元6 論理をとらえる) ④(イ)本論に示された事実や根拠を的確に読み取り、文章の内容を理解し 筆者がどのような主張をしているのかを理解している。【読む能力】 (3)準備・資料等 既習の掲示物 モアイ像の拡大写真 (4)本時の展開 時間 学習活動 指導上の留意点 評価(観点,方法等) ☆C→Bへの手だて 導入 1.単元のねらいや既習内容を確 ・ノートや教科書を活用するよう (10) 認する。 促す。 2.本時の課題を確認する。 【課 ・本時の学習に見通しをもたせる。 題】 モアイの謎を解くカギは何なのか。 展開 3.本論1の問いと答えを探す。 ・全員で本論1の中から問いと答 (5) 4.本論1について、その根拠と えを見つけるため、範読する。 なる事実と理由づけの部分を確 ・問いと答えを除いた文章に注目 認する。 するよう促す。 (10) 5.黙読しながら本論2,3につ ・本論2,3について、問いと答 いて、まず、問いと答えを見つ え、その根拠となる事実と理由づ ける。次に、その根拠となる事 けの部分を探し、教科書に線を引 実と理由づけを見つける。 かせる。 ・これは事実かな意見かな ・自分の意見を持ってから班活動 に入るため一カ所でも必ず線を引 くように指示する。 (10) 6.4人班で情報交換をする。 ・同じ所に線が引いてある。 ・自分の考えと比較しながら交流 するよう机間指導する。 ・それも事実になるのか。 7.机を戻し、それぞれの問いに ・発表者の考えと自分の考えを比 8.範読を聞きながら本論4につ ・本論4について、問いと答え、 確に読み取り、文章 (5) 対する答えとその根拠、理由づ 較しながら聞くように促す。 ④(イ)本論に示さ けを発表して確認する。 れた事実や根拠を的 いて、まず、問いと答えを見つ その根拠となる事実と理由づけの の内容を理解し、筆 とを全体で確認する。 れるのかわかってきた。 ・次時は結論の部分で検証するこ ・文章の説得力がどこから生ま 解している。(観察・ 実と理由づけを見つける。 ・本論4について、全員で確認す をしているのかを理 ・これは事実かな意見かな る。 ☆問いの文と答えの 曖昧になるぞ。 文を確認するよう促 ・筆者の意見に納得できるのは す。 この文があるからだ。 (5)板書計画 題 題 提 起 安田 根拠=事実 理由づけ ↑ モアイの謎を解くカギは何なのか。 答え(意見・主張) 問 モアイは語る 課 喜憲 生活していたのであろう。 激に増加。いつもモアイの目に見守られながら 採って生活。モアイの製造が始まる。人口が急 バナナやタロイモを栽培し、豊かな海の資源を ↑理由づけ 遺跡から出土した炭化物を測定した結果。 ヒョウタンなどの栽培作物の分析。 墓の中の化石人骨の分析。 事実 小見出し【イースター島の歴史とモアイの秘密】 問い ⑥ 【モアイを作ったのは誰か 。】 ⑮ 問い 【 モアイ を作った文 明はどう なったのか。 】 まとめ 事実 ↓ 森に覆われていた時代。 森が消滅する。 食料危機 + 部族間の抗争 ↑理由づけ 森の存在 が、謎を解くカギ! 森の消滅 4 答え 論 【崩壊してしまった。 】 本 ⑬ ⑮ ⑩ 問い 事実 【 モアイ をどのよう にして運 花粉の分析をしてみると、五世紀ごろの土の中 ⑦ んだのか。 】 からヤシの花粉が大量に発見された。 ↑ ③ 2 答え 論 【ヤシの木をころとして使い ↑理由づけ 本 海岸までモアイを運んだ。 】 人間 が 移住 する 前の イー スタ ー島 が、 ヤシの森 論 に覆われていたことを示している。 問い 事実 ⑫ 【モア イが作 られなくなった 花粉分析の結果からヤシの花粉量が徐々に減 本 のはなぜか。 】 少。代わってイネ科やタデ科などの草の花粉と ⑪ 。 炭片が増えてくる 答え 3 【森が消滅して、海岸までモ ↑理由づけ 論 アイを 運ぶことが できなく ヤシの森が消滅していったことを物語っている 本 なったから。 】 ~ ③ 答え 【五世 紀ごろ 西方からやって きたポリネシア人】 1 論 本 ~ ~ ~ ~ 「森の存在」と「森の消滅」が謎を解くカギである。 【まとめ】 まとめ ノート) ・この文がなかったら、主張が 者がどのような主張 ける。次に、その根拠となる事 部分を探し線を引くよう促す。 (10) 9.根拠に支えられた主張は説得 力があることを確認する。 10.授業の振り返りをする。 ・自分の文章にも生かそう。
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