2014年度 京都大学医学部 物理 解説

2014 年度 京都大学(物理学)
概要
(試験概要)
解答方式
大問数
難易度
記述式
3問
やや難
点数
時間
(設問別分析)
問題番号
領域
難易度
内容
1
力学
やや難
運動する台上での単振動
2
電磁気学
標準
3
熱力学
標準
RC 回路
分子運動論(ポアッソンの関係式の導出),熱サイクル
物理問題 I
(1)
ア
2kl
m
イ
−
2kl
m
ウ 台車と小球各々の運動方程式を立て,整理することで系の運動方程式を求める。その後,運
動量保存則および力学的エネルギー保存則を適用。台車中央における小球の速度を v0 ,台車
の速度を V0 とすると,
√
2kM
v0 = l
m(m + M )
1
エ
√
V0 = l
2km
M (m + M )
(2)
オ
M a1 = N + 2kd
カ
ma2 = −2kd
キ 上で求めた小球の運動方程式より,小球の単振動の角速度は ω =
条件を考慮すると,
√
√
m
m
sin
d = −v0
2k
2k
√
2k
m
である。ゆえに,初期
ク 上で求めた運動方程式より,台車が離れる瞬間は d = 0 の点。よって,
√
m
sin
=0
2k
√
m
∴ t=π
2k
(3)
問 1 台車の中央の座標を xM ,小球の座標を xm とおくと,各々の運動方程式は次のように書ける。
M aM = 2(xm − xM )
mam = −2(xm − xM )
これら2式を整理すると,
am − aM = −2k
m+M
(xm − xM )
mM
よって,台車からみて小球の運動は,ばね定数 2k のばねに繋がれたときの単振動と見なせ
る。また,このときの角振動数 ω は,
√
2k(m + M )
ω=
mM
問2 略
2
ケ 問1で示した運動方程式より,
mam + M aM = 0
ゆえに,系の重心は等速直線運動する。
コ 台車が壁から離れた際の小球の速度は v0 である。ゆえに,t1 秒後の重心の位置は,
mv0
t1
m+M
サ 問1の結果より,小球と台車の相対位置は,
v0
sin (ωt1 )
ω
(
)
mv0
1
=
t1 − sin (ωt1 )
m+M
ω
xm − xM =
∴ xM
シ サの結果より,台車の中心の速度は,
vM
(
)
mv0
1 + cos (ωt1 )
=
m+M
ゆえに,最大値は,
2mv0
m+M
ス 最小値は,0
物理問題 II
(1)
イ オームの法則より,
R=
V0
I0
ロ 物質の抵抗率を ρ とすると,
R=ρ
h
S
∴ ρ=
V0 S
I0 h
ハ
V0
sin (ω0 t) = I0 sin (ω0 t)
R
ニ
π
2
3
ホ キルヒホッフの法則より,回路に流れる電流 I は,
√
I = I02 + (ω0 CV0 )2 sin (ω0 t + φ)
φ=
π
4
となればよいので,
π
ω0 CV0
=
4
I0
I0
∴ C=
ω 0 V0
tan
ヘ
C = εr ε0
∴ εr =
S
h
hI0
ε0 Sω0 V0
ト
√
2I0
(2)
チ
Q
C
リ
0
ヌ
V0
r
ル
V0
I0
rI0 + V0
物理問題 III
(1)
あ
∆e = 2mvp vx
4
い
vx
∆t
2L
n=
う
vp
∆t · mvx2
L
∆en =
え
∆en = −
∆L
mvx2
L
お vx = vy = vz より,
m 2
(v + vy2 + vz2 )
2 x
3
= mvx2
2
e=
か 理想気体の単原子分子の内部エネルギーは 32 kT なので,
T =
mvx2
k
き
2∆L
mvx2
3kL
∆T =
く
∆T
2 ∆L
=−
T
3 L
け ボイル・シャルルの法則より,
PV
= Const.
T
また,文中にも示してある通り,ポアッソンの関係式より,
TV
2
3
= Const.
以上より,
P ×V
5
3
= Const.
(2)
こ 気体が熱を吸収するのは,B→C のプロセスにおいてのみである。よって,1 サイクルに気体
が吸収する熱量 Qin は,
3
Qin = R(TC − TB )
2
5
さ 気体が放熱するのは,D→A のプロセスにおいてのみである。よって 1 サイクルに気体が放
熱する熱量 Qout は,
3
Qout = − (TA − TD )
2
3
= (TD − TA )
2
し
Qout
Qin
TD − TA
=1−
TC − TB
η =1−
す
η = 1 − ε− 3
2
6